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株式会社リクルートキーマンズネット(新規ウィンドウを開く)に2011 年 02 月 21 日に掲載された記事より転載掲載しています。
サービス内容、料金などは、掲載日または更新日時点のものです。
日立製作所
JP1+アシスト
IT機器の頻繁な移動や、複雑化する企業システムの中、「IT資産」はどう管理する?

IT機器の頻繁な移動やシステムが複雑化する中、IT資産を効率的に管理するには?これまで数々のIT資産管理の現場に携わってきた、日立製作所 ソフトウェア事業部の加藤氏と、アシスト システム基盤ソフトウェア事業部の蝦名氏にインタビュー。 IT資産管理の課題と解決策、今後の展望とは?

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第1章 IT資産管理の実情と課題

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第2章 IT資産の「確実な把握」と「一元管理」

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第3章 IT資産情報の更なる活用と効率化のために

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最終章 今後のIT資産管理

――現在、景気の動向や経済情勢の変化にビジネスを柔軟に対応させるため、企業合併や部門の統廃合などを行う企業が増えています。 企業のシステムも、部署変更などにともないIT資産が頻繁に移動するような状況で、その管理は大きな問題です。今回は、その解決策を伺いたいのですが、まずはIT資産管理の実情や背景と、課題をお聞かせ下さい。

日立製作所 加藤氏:
IT資産管理はこれまでも、セキュリティ対策として、またはコンプライアンス対策や内部統制の一環として、企業システムのニーズに合わせて何年かおきにブームとなり注目を浴びてきた分野です。

多くの企業がIT資産管理を行うようになり、現在はこの管理にコスト、人、時間をかけないようにしたいという意識が強まりました。部門の統廃合や仮想化への対応など、システムが複雑化し、管理する資産が増えていく中で、効率的なIT資産管理を行う方法を検討しているようです。

例えば「ライセンス管理」で、企業の合併や部門の統廃合で“グレー”な部分が発生した場合、グレーの部分を明確にしたい。そこで、システム全体をコストをかけずに正確・適切に管理するために、“ツール”を使って効率化したいというニーズが強まっているのではないのでしょうか。

アシスト 蝦名氏:
そうですね。まずはクライアントPCやサーバ、ネットワーク機器の構成情報などインベントリ情報を正確に把握する必要があります。しかし、様々なプラットフォーム上の情報を人手だけで管理するのは非常に難しいので、管理ツールは重要です。更に、収集したデータはほかのシステムのデータベースと連携させて活用するという要望も最近では増えてきました。

日立製作所 加藤氏:
IT資産と言った時に、管理の幅がとても広がっているところが、現在のIT資産管理の難しさの1つかもしれませんね。

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――日立では、IT資産管理を効率化する“ツール”として「JP1」を提供していますが、第1章の課題に対しどう取り組んでいるのでしょうか?

日立製作所 加藤氏:
現在、IT資産管理の現場では、資産情報を部署ごとに管理することが多々あります。しかし、これだと企業全体から見れば管理の方法やITリソースの活用という面であまり効率的とは言えず、「手間とコストがかかってしまう」状況です。これを改善するための方法について詳しく説明しましょう。

「手間とコストをかけないIT資産管理」とは「資産のライフサイクルに沿った適切な管理」ということ。IT資産のライフサイクルは、「調達」から始まり、「導入」⇒「運用」⇒「廃棄」そしてまた「調達」するという一連の流れです。

上図のように、IT資産のライフサイクルを適切に“回し続ける”ことが、ムダなく効率的な管理とえます。ところが今、大きな2つの問題点が、ムダのないIT資産管理=IT資産のライフサイクル管理の妨げとなっています。

1つ目は「IT資産を把握できない」という【管理の問題】。例えば、他部署には余っているIT機器などがあるのに、それを知らずに新たに調達してしまうなど、ムダ遣いのもとに。逆に、あると思っていたIT資産が実はなかったというように、“分からない”ことがムダのもとに。

2つ目は「情報が一元管理されていない」という【運用の問題】です。これは、機器のリース期限の情報が、IT資産情報とは別のデータベースに収められている状態などが考えられます。知らない間にリースが切れていた、ほかにリース中の機器があるのに新しい機器を購入した…など、ムダなコストが発生する原因にもなります。

この2つの問題を解決するためにも、IT資産を“1つのところに”管理することが必要です。しかし、現在のIT資産の管理は複雑化し、これまでの管理ツールや人の力だけでは対応できないことも考えられます。では、この問題を根本的に解決するには、どのようにすればいいのでしょうか?

そこで私たちがおすすめしたいのが、JP1によるIT資産管理です。JP1は、企業内のネットワークに接続された機器類の情報を収集して管理できますので、台帳を持って企業内の機器をチェックしなくてもよくなります。更に、機器だけではなく、ソフトウェアのバージョンなどがきちんと管理できる点も注目です。

ライセンス管理が問題となっている昨今。JP1では、保有するライセンス数を設定することができますので「特定のソフトウェアの数」の把握と「誰にインストールされているか」が分かります。ライセンスが「不足」か「オーバー」か…「オーバー」していたら、誰のPCに不正にインストールされているのか、といったことまで分かります。更に、リース機器などの契約情報もJP1のIT資産情報と紐付けて管理できるので、IT資産情報・ライセンス関連情報・契約情報といった様々な情報を相互に関連付けながら管理できるようになります。

それに、JP1にはExcelなどで作った台帳を取り込むこともできるので、これまで収集・管理してきた情報も含めて資産管理データベースとして統合的に管理できます。

こうしてIT資産を一元的に把握し管理することが、「調達」「導入」「運用」「廃棄」のライフサイクルを適切に行うことの第一歩。ムダな調達をなくし、適切に導入から社員への配布などが行われるようになるわけです。

上図は、複雑化するシステムと組織両面からJP1で管理しているイメージです。企業内で管理されている「資産情報」「ハードウェア情報」「ソフトウェア情報」などの情報と「人」とがちゃんと紐付けられた管理が行える状態になります。「XX部署」の「Aさん」は「このPC」を使い、「ソフトウェア」の「ライセンス」もきちんと分かるというような状態です。それはつまり、部署、人、機器、ソフトウェアなど、どの切り口からでも分かるようになるように管理されているということです。

柔軟な拡張も可能ですので、ほかのシステムとの連携を行うことで、更なる管理業務効率の向上や、管理コストの削減、コンプライアンス支援などの効果が期待できるのではないでしょうか。

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――今、「JP1は柔軟な拡張性を持っている」とのお話がありましたが、アシストでは、その強みを更に活かすために、何か取り組んでいることはありますか?

アシスト 蝦名氏:
企業にはそれぞれ、独自に管理を強化したい部分があります。それには必要な情報をデータベースから取り出して連携しなければなりません。

第2章の終わりに出てきた図が象徴的ですが、JP1による管理は、すべてのIT資産情報を“1つの器”に入れるようなイメージです。全社からIT資産情報を1つのところに集め、出し入れしやすいようにするという、管理・活用しやすい状態です。アシストでは、この“集められたIT資産の情報”を活用できるソリューションを、実際に多くの企業に提供してきました。

例えば、具体的にはこんなケースがありました。ある、全国に1000台のPCを保有する企業なのですが、拠点ごとに資産情報の集計やレポートを作ると毎月1週間かかってしまう…。これを、JP1とアシストのデータ連携ソフトウェア「DataSpider Servista(開発元:アプレッソ)(以下、DataSpider)」を活用することで、わずか1日でできるようになったという例です。

JP1では、ワークフローの活用により「購入」から「廃棄」までのIT資産のライフサイクル管理を実現しました。アシスト側では、基幹システムの情報が持つ組織情報などのデータベースとの自動連携、月次レポートの作成などDataSpiderが持つ“各種システムとの連携”機能を駆使し、更なる効果を上げることができたのです。

JP1では“1つのところ”にデータをまとめる、アシストでは各種データベースにある情報と連携させる…互いを活かす仕組みが提供できました。

ほかにも「基幹システムのデータベースにあるリース期間を計算して金額を計算」「ライセンス管理」「契約管理」「ヘルプデスク管理」など、集められたIT資産の情報を活用することが可能となります。

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――今後も企業システムを取り巻く状況はどんどん変わっていくと思いますが、近い将来、IT資産管理はどうなるでしょうか?その展望について、お聞かせ下さい。

アシスト 蝦名氏:
今後、システムの仮想化が進むと、IT資産管理の重要性は更に増すと考えられます。物理的なハードと仮想マシンとを紐付けた管理は必須となるはずです。

ほかにスマートフォンやタブレット端末などがビジネスに活用されると、「管理したいもの」が大きく増加します。「ネットにつながった固定の端末だけ管理すればよい」時代は終わりに近いのではないでしょうか。

日立製作所 加藤氏:
また、今後はコンプライアンスやITガバナンスの一環として、これまで以上に適切なソフトウェア資産管理が求められるようになります。ソフトウェア資産をライフサイクルに沿って管理する仕組みである「SAM」は、まさにJP1のコンセプトとも合致していますから、JP1を活用する機会が今後ますます増えていくと思います。

このような変化に合わせて、私たちは管理対象の複雑化と増加に備え、今後もビジネスニーズに合わせたIT資産管理を提供していきます。そして変化に合わせると同時に、企業のベーシックな管理体制をきちんと提供できる製品でありたいですね。過剰になりすぎず、適切に提供することがJP1の大事な役割だと感じています。

※SAM:Software Asset Management

アシスト 蝦名氏:
その点では、JP1は拡張性の高い製品です。私たちは、JP1をベースにその時々変化するビジネスシーンに対応するべく、付加価値をつけて提供することが役割と考えています。今後も是非、開発しやすい環境を提供していただければと思います。

――本日はお忙しいところ貴重なお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。

まとめ

今回は、企業のIT資産管理の現状と課題、そして解決策について、“最前線”にいる両名に分かりやすく解説していただきました。激動の時代である今、企業にとって必要なIT資産管理のポイントがつかめたのではないでしょうか。

更に詳しく知りたい方は、下記の関連リンクを是非、ご一読下さい。
また、お問い合わせも受け付けていますので、お気軽にどうぞ!

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