特集記事:キーマンズネット掲載
企業業務の多くがITシステムに依存している今日。業務効率化のために導入した「ITシステム」ではあるが、システムが複雑になるにつれてIT部門は運用や改修に、ユーザは使い勝手に課題を感じているのではないだろうか?
こうした課題を解決するには、システムを「全体」としてとらえた業務プロセス改革が必要だ。しかし、全体的な改革となると、あまりに大がかりで手が付けられない、と考えるのが実情ではないだろうか。 そこで今回、様々な業務システムやデータを「サービス」として組み合わせることで、経営環境の変化に対応した全体最適なシステム化をはかる SOA (Service Oriented Architecture)の、実現可能な取り組み方について、日立製作所ソフトウェア事業部の和氣氏に話を聞いた。果たして、「大がかり」ではない全体最適化の取り組みとはどのようなものなのだろうか。 |
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――本日は、業務プロセス改革に向けた全体最適なシステムはどうすれば実現するのか、日立の和氣氏にお聞きしたいと思います。
現在、基幹システムをはじめ、業務システムは改修や増築を積み重ねた結果、IT部門では運用負担増、ユーザにとっては使い勝手がよくないといわれています。具体的にどのような点が問題なのでしょうか?
和氣氏
:企業のシステムは、部署ごとに個別に設計・開発した結果、複雑化しているケースがよくあります。右の図1のように、改修などで手を加えても、ほかのシステムにどのような影響が現れるか分からない、複雑にからみ合っている上に境界があいまいという、いわゆる「スパゲッティ状態」です。でも、その背景には、設計・開発の標準化が不十分、標準の連携インタフェースがない、システムどうしがバラバラ、といった課題があるんです。
そのため、IT部門ではシステム改修に手間がかかり、システム同士をつなげるのも一苦労、そして運用も複雑。そして、エンドユーザにとっては、リードタイムが長い、何度もログインしなければならない、ウィンドウを切り替えるのが手間、など日常的なオペレーションが非効率になりがちです。
――部分的に手を入れにくいとはいえ、システムすべてを一度に入れ替えるのは、コスト・労力を考えると難しいのではないでしょうか。全体最適化を行う「SOA」も、理想的ですが困難に見えるのですが…?
和氣氏
:SOAの実現を考えた時に、図2のような状況が理想的ですが、それは大変そう…ということですよね。でも実は、一度に全部改革する必要はないのですよ。段階的に効果を感じられるところから手を付けることでも全体最適化はできるのです。
右の図3をご覧下さい。SOA実現までを3つのフェーズに分けています。右図の「フェーズ1」では、まず、審査・承認のワークフローを「人手による回覧」から「システム」に移行していることを表しています。身近なところをまず、システム化することを第一段階に設定しているわけです。 次に、「フェーズ2」では、「在庫管理システム」と「注文管理システム」という、業務の一連の流れを統一基盤のシステム上で使用できるようにしました。ここで「プロセス統合」をスタート。 そして「フェーズ3」では、同じ基盤のシステム上に、様々なシステムを構築していく…という流れになります。
――「段階的」にシステムが1つの基盤に載っていくイメージですね。では、次に、どのようにしてそれを実現するのか、教えて下さい。
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和氣氏
:日立には長年のSI経験がありますので、現場で豊富な導入事例に触れることができました。こうして、実際の経験とお客様から寄せられた課題には、ある“傾向”があることが分かってきたのです。日立では、これを分類・整理して、適切な解決策を「5つのシステムパターン」としてまとめました。
――どういった「課題」の解決に効果を発揮するのでしょうか?
和氣氏
:IT部門、マネージャ、オペレータと、それぞれの部署特有の課題があると思います。例えば、オペレータでしたら、「業務の効率化」、IT部門でしたら「業務プロセスの見直し」や「改修できないシステムの連携」などが考えられます。これらの課題に対し、適切な「パターン」をあてはめることで課題解決につなげるというわけです。この「パターン」を提供するための基盤が、統合システム運用基盤である
「Cosminexus(コズミネクサス)」
です。
では次の章で、5つのパターンについて詳しくご紹介しましょう。 |
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A社の通常の業務の流れは、営業がお客さまからの注文を受けたら倉庫に在庫確認。在庫が確認できたら審査を依頼し、審査承認後に注文を確定する。確認書をお客さまに送付するという流れ。
A社でまず課題になったのは審査依頼だった。審査の際には紙による回覧処理なので、出張時などに対応できない上、審査の状況が見えないので状況把握にも時間がかかり非効率。 また、部署間での業務システムのつながりが悪く、リードタイムが長くなってしまっていた。同一のデータなのに複数部署で入力しなければならないので、業務プロセスの改善を検討していた。 |
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そこでまず、
【パターン4】対話ワークフローパターン
を適用。対話ワークフロー基盤の導入により、処理フローが自動化。業務の流れが可視化しされて業務ルールも統一できたので、スムーズな審査が実現した。また、これまで部署間の業務連携の部分に、
【パターン2】ワンストップサービスパターン
を適用。注文から受付、確認書を発行するまでの業務プロセスが統合できた。また、この統合は「疎結合(変化に対応しやすい連携方法)」なので、業務の拡張やメンテナンスの際にも便利。現場のオペレーションから、IT部門の運用管理まで大きなメリットがあった。
――こうして、具体的な効果が実感できるところから、パターンを適用して改善を進めたA社。次の目標もはっきり定めやすくなり、SOA実現への計画に本格的に着手できるようになった。 ![]() |
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今回は、効率的に全体最適化を行う方法を探るべく、日立の和氣氏に話を聞いた。
一見、大がかりで手が付けられないようなSOAも、まずは身近な課題を解決し、次なるフェーズに段階的に移行していくことで、実現に近づけることが分かっていただけただろうか。 また、その時にはCosminexusが提供する5つの「パターン」を使うことが、効果的な業務プロセス改善につながるのだ。 SOAを難しく考えていたユーザはぜひ、「部分的な業務改善」と「パターン」の適用で、自社がどのように変わっていくか検討してみてはいかがだろうか。 最後になるが、さらにSOAについて詳しく知りたい人のために、下記のセミナーを紹介しよう。 ![]() |
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日立では、Cosminexusを使い、SOA適用システム構築を実体験できる「体験セミナー」をはじめ、SOAについて詳しく分かるセミナーを随時、開催しています。
この機会にぜひ、受講を検討してはいかがでしょうか。
※開催日以降または満員等により、上記セミナーは予告なく締め切らせていただくことがございます。
あらかじめご了承下さい。 ![]() |