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ミドルウェア

uVALUE 実業×IT

Hitachi

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株式会社リクルートキーマンズネット(新規ウィンドウを開く)に2008年05月30日に掲載された記事より転載掲載しています。
サービス内容、料金などは、掲載日または更新日時点のものです。
“情報共有”は序章…「グループウェア」が「企業情報ポータル」と呼ばれる日。

メーラやスケジューラなど情報共有ツールとして日々用いられるグループウェア。“増築”され続ける業務システムの中、ある意味 「情報共有だけ」のツールはどう存在していくのだろうか?そんな問いかけからグループウェアのリサーチはスタートした。調査の結果、感じたのは、近い将来、「ポータル」へと向かうであろうグループウェアの姿であった――。

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プロローグ グループウェアのあるべき姿を探って

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Research 1
「グループウェア」と「ポータル」の関係

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Research 2 ケーススタディ
「ポータル」を利用した新しいワークスタイル

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エピローグ 美しい「グループウェア」に欠かせない「ポータル」




グループウェアも例外ではない、
今日の企業システムが抱える課題



近年、オフィスのITは相当な速度で“進化”し続けてきた。「情報共有」のためのグループウェア、「業務効率向上」のための各種業務システムなど、目的に応じた様々なシステムが企業内にどんどん構築され続けた。また、最近では、「内部統制」需要の高まりから、「ワークフロー」や「文書管理」などのシステムが注目を集めているのはご存知の通り。

こういったシステムの“進化”の結果 、オフィスには様々な業務サーバや大量のコンテンツが混在。管理者は、日々変化するシステムのメンテナンスに追われ、運用・管理の効率化に頭を悩ませることとなった。
また、エンドユーザにとっては、個別の業務では作業が便利になった反面、リプレイスの度にわずらわしい手間が増えている。メール、ワークフロー、業務アプリなどの各種システムごとへのログインし直し、重複項目への都度入力などが必要となるからだ。この“日々の手間”も積み重なれば、作業効率が悪化し、企業として経営的な損失につながりかねない。

グループウェアは今後どうなる?
「企業情報ポータル」に進化する可能性



こうして複雑化した企業システムの中、グループウェアはどうあるべきか――筆者はその解答を探すためにリサーチを試みた。
こうして得た1つの解決策が「企業情報ポータル」。混在する様々なシステムを1つの基盤上で扱い、それを「ポータル」画面から操作するという考え方だ。
そこで今回は、本格的なポータル基盤を提供している日立の uCosminexus Collaboration を例に、今後のグループウェアのあり方を考えていこう。

グループウェア以外にも、オフィスには様々な業務システムが混在する。それは、エンドユーザにとって使い勝手がよいものだろうか?運用・管理しやすいものだろうか?

■ uCosminexus Collaborationとは?
統合システム構築基盤 Cosminexus (コズミネクサス)の一製品、 uCosminexus Collaboration は、従来のグループウェアのように、メール、スケジュール、電子会議室、ファイル共有などの機能を搭載し、企業の情報共有を支援する。
さらに、共通の目的ごとに集まった社員同士が「コミュニティ」をつくり、Webブラウザ経由で専用の「ワークプレース」を利用してセキュアにファイルをやりとりすることも可能だ。また、右クリックメニュー、ダブルクリック、ドラッグ&ドロップが各所で使え、慣れ親しんだWindows(R)アプリケーションに近い操作が可能という使い勝手のよさも特長の1つとして挙げられる。


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――筆者が注目した日立の uCosminexus Collaboration の特長は、「ほかの業務システムと共通の基盤上に構築できるグループウェア」という点。ここでは、具体的にどのようなイメージで使われるか紹介する。

「ポータル」が必要になる背景とは?
業務システムの混在――それはエンドユーザ、管理者ともに業務の負担増加や効率低下を招く (右上図参照) 。その解消には、「企業情報ポータル」で様々なシステムを統合・集約するという形が理想的だろう。

具体的に、我々がもっとも接する機会の多い“業務システム”であるメールを例にその効果を見ていこう。

朝、出社すると、まず新着メールを読む。そのときにポータル画面上ならば、重要な社内外のニュースやワークフローの新着案件を確認しつつ、業務指示やToDoを基にして該当システムへ素早くアクセスできる。
グループウェアとポータルの組み合わせにより、すべての情報が同一画面上に集約されるため、メールを基点にして次のアクションへとつながり、1日の業務の流れがスムーズになるのだ。

―― uCosminexus Collaboration の特長である「コミュニティ」。前述したように、1つの目的のもと、いくつもの部署から集まった社員が様々な情報や業務を共有するという概念に基づくものだ。こうした体制を実現するには細やかなアクセス権限の管理が必要になる。しかし、これが無理なく実現できるのは、そこに「ポータル」基盤があるからにほかならない。

では次に、さらに具体的な「ポータル」の姿を見ていこう。
 

「ポータル」の実現で見える“情報共有”の一歩先
右図の uCosminexus Collaboration の「ポータル基盤」を通じ、グループウェアやワークフローなど各種業務システムが連携している。このポータルによる uCosminexus Collaboration のメリットを、エンドユーザと、システム管理者の立場からそれぞれ見ていこう。

・エンドユーザ
1.使い慣れた操作のまま扱える
(扱うシステムが増えたり、バージョンが変わったりしても、インターフェースが変わらない)
2.自分が使いやすいように画面をカスタマイズできる
3.各種システムへのログインやデータの重複入力といった手間が減る
(シングルサインオンにより、面倒な入力作業が不要に)

・システム管理者
1.特別な教育が不要になる
(従来使っていた業務システムをそのままポータル上から使用できる)
2.アクセス管理が容易になる
(役職や権限もしくは業務ごとに異なる画面のレイアウト設定ができる)
3.機能拡張が容易になる
(ポータル上にアドオンしていくため、短期間での拡張ができる)
 

情報をパーソナライズ――あなたにマッチしたポータル画面はどれ?
 
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――次に、実際にグループウェアとワークフローを1つの「ポータル」上で扱うA社のケースを取り上げよう。A社が導入しているのは、 uCosminexus Collaboration と日立の Cosminexus 電子フォームワークフロー。果たして、どのようなメリットがあったのだろうか。

A社に聞く「ポータル」化のメリット
――まず、「ポータル」を導入した経緯を教えて下さい。

A社のシステム管理者(以下A) :当社では以前からグループウェアを使っていました。しかし、様々な業務システムが混在してくると、管理負担が増大してしまいました。さらに、業務プロセスを統制するためにワークフロー導入も検討しなければならず、何か抜本的に改革しなければならない状況になったのです。

――以前に使用していたグループウェアにはワークフロー機能は搭載されていなかったのですか?

A :搭載されていました。しかし、全社レベルで運用される複雑なフローに対応するためのきめ細かな分岐条件の設定や、差し戻しや引き戻しなどといった操作ができないなどの理由から、実際の業務を行うには、やはり本格的なワークフローが必要ということが分かりました。
また、ワークフローと連携した業務システムが増えれば、ユーザへの教育が再度必要です。こうした点をすべてクリアするためには、システム基盤からリプレイスするのが将来的にも効果的と考えて Cosminexus を導入しました。そうすれば、ポータル上での操作性を損なわずに業務システムや基幹システムとも連携して、業務プロセスの制御・モニタリングができるようになると考えたためです。

―― Cosminexus を選定したのは、グループウェア、ワークフローを1つのポータル上で使用できるからでしょうか?

A :もちろんです。管理面では圧倒的に楽になりました。ユーザは今まで慣れ親しんでいるグループウェアがそのまま使えます。また、シングルサインオン機能により、管理・現場ともに業務の流れがスムーズになり、効率向上に役立っていると実感しています。

――ワークフローの使い勝手はどうでしょう?

A : Cosminexus 電子フォームワークフローの機能は予想以上でした。全社レベルで運用する複雑なワークフローには、電子フォームワークフローの「スマート開発機能」によって問題なく対応できました。
さらに、部署内だけで完結するような簡単な申請についても「かんたん開発機能 (右図参照) 」でユーザ部門が個別にワークフローを構築し運用できるようになりました。以前は、各部門からの依頼を受けていたため時間がかかっていましたが、スピーディな構築が実現できて、こちらの負担も減らすことができました。
また、当然のことですが、どちらの機能で開発したワークフローも同じ基盤上で扱えますので、プロセスの統制に関する不安や、運用面の負担も感じていません。

――今後はポータルをどう使っていきたいと考えていますか?

A :Eラーニングシステムをポータル上で稼働させることや、外部のWebサービスと既存システムの連携を実現する「スマートナビゲーション」機能で、経路検索サービスと自社の旅費精算システムをマッシュアップしたサービスを提供するなど、業務システム連携の幅を拡張していく予定です。
 

■ かんたん開発機能
Webブラウザ上に表示される手順に沿って開発できる機能だ。わずか5つのステップで業務で使えるワークフローが作成できてしまう。
その部門だけで利用する、「社内英語検定申し込み」「テニスコート利用申し込み」といった依頼書を情報システム部門に制作依頼するのは時間もコストもかかり大変…という部門管理者にとって有効な機能だ。
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A社は、システム基盤を Cosminexus にすることで抜本的な業務改革を図った。バラバラだった業務システムは1つのポータルに集約され、管理者、利用者ともに使い勝手はよくなった。今後も当然、業務システムの増築やグループウェアのリプレイスなども行うはずだが、すべて1つの基盤上で行われるので、エンドユーザ視点で見れば「ポータル」は何も変わらないというわけだ。


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グループウェアの今と今後のあり方を探ったこのリサーチを通じて、筆者は「ポータル」の重要性を深く認識するに至った。
例えば「個別に増築を重ねてしまった結果、全体としていびつになってしまった建造物」のようになってからでは、企業のシステムを整理するのは難しい。しかるべき“基盤”の上にこそ美しい建築物が建てられるのだ。
グループウェアにとって、グループウェアでは提供できない業務システムとの連携が今後の重要な課題となる。そのときに必要となるのが「ポータル」という考え方だ。それこそ、グループウェアが「ポータル」になるかもしれない。
――こうした考察を深めるためにも、ポータルだけにとどまらず、企業のシステム全体を最適化するためのアプローチを探るべく、筆者はまず『HITACHI Open Middleware World 2008』(下記コラム参照)に足を運ぶことにした。これから企業のITはどう変わっていくのだろうか…興味はつきない。



セミナーのお知らせ
日立製作所では、今回紹介した Cosminexus を基盤とした各種製品のセミナーを定期的に開催しています。この機会にぜひ、「情報共有」だけじゃないグループウェアや、「企業情報ポータル」に触れてみてはいかがでしょうか。詳細、申し込みは右のボタンをクリック。
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