――昨年は、企業による個人情報漏洩や偽装が大きな社会問題になり、企業への「信頼」が大きく揺らいだ年とも言えるのではないでしょうか。一方で、環境問題対策など、企業の社会貢献への「期待」は高まっているかと思います。こうした社会背景は製品開発にどう影響してくるのでしょうか?
確かに、企業には「信頼」が求められる時代になっていると思います。これは言い換えれば、社会的責任を果たすことが、企業価値向上につながるということでもあります。社会的責任を果たすために、ITを使って企業が取り組むべき課題は大きく2つあると考えています。
まず1つ目は、「信頼」される企業となるための内部統制の徹底強化、つまりは“攻めの内部統制”。もう1つは、今や企業が避けては通れない、温暖化対策など環境問題対策への「期待」――これは"グリーンIT"への取り組みです。こうした2つの社会的な課題がすなわち、新しいJP1の強化ポイントとなりました。
――社会の変化と製品開発には密接な関係があるのだと感じます。ところで、“攻めの内部統制”とは、従来の内部統制とはどう違うのでしょうか?
昨年までは、日本版SOX法に対応するための統制で、実際には業務プロセスを定め、それを文書化するなどの作業に終始することで精一杯だったという企業も多いのではないでしょうか。これを“守り”の内部統制だとすれば、今後はその次のフェーズ――定めた業務プロセスの見直しと定着を実施し企業改革を進める、といった“攻め”に転ずる段階にきたと感じています。多くの企業が内部統制を単に法対応だけの問題ではなく、企業価値向上へのステップととらえ、競争力強化のために行うのが“攻めの内部統制”なのです。
――では、もう1つのグリーンITについてお聞きします。地球温暖化対策は確かに重要な問題ですが、JP1はどのように係わってくるのでしょうか?
IT機器の増加により、消費電力が増え続ける一方の今日、CO2排出量削減などの温暖化対策は多くの企業が取り組むべき社会的な課題ですよね。そこで、いかにして消費電力を抑えるか、という取り組みがグリーンITとして広く認識され始めています。グリーンITというとデータセンタにおける熱処理、省電力をまず思い浮かべますが、実際に今、使っているクライアントPCの消費電力を運用面から“統制”するだけでも、電力消費量には大きな差が出ることを知っていただきたいと思います。つまり、クライアントPCを省電力という目的の下にきちんと統制し、運用面からサポートする製品がJP1なのです。
JP1ではこうしたグリーンITへの取り組みをマシン室/データセンタ、オフィス部門のそれぞれにおいて支援しています(図1)。
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