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※「株式会社リクルート キーマンズネット2007/09/19より転載」

名古屋工業大学が、先進的な学生・教職員用ポータルの運用を開始!

名古屋工業大学では、2007年4月1日、全学のシステム連携・情報一元管理への基盤となる「新情報基盤システム」の運用を開始しました。

まず、ICカード認証による統一認証基盤を構築したうえで、「uCosminexus Portal Framework」によるインタフェース統合、「電子フォームワークフロー」によるプロセス統合、情報資産管理基盤「DataStage」による情報統合を実現。SOA的なアプローチによって、利用者にバックエンドで動く複数システムの存在を感じさせない、使い勝手の良いポータルを学生、教職員それぞれに提供しています。

以下で、この「新情報基盤システム」の構築に携わり、拡張・改善を進めている名古屋工業大学の先生方のお話を交え、SOA的アプローチによる先進的な同システムをご紹介していきます。

「新情報基盤システム」構築プロジェクト 学生・教職員用ポータルが始動 業務効率向上を実現したワークフロー 全学統一データベースを構築 SOA的アプローチ 国立大学法人としての変革

国立大学法人 名古屋工業大学プロフィール

所在地

愛知県名古屋市

創立

1905年

学部

工学部

学生数

約6500名

教職員数

約600名(教授、准教授、助教、職員合計)

名古屋高等工業学校を前身とする歴史ある大学。
世界のものづくりの中心地である中京地区の工学リーダーとして、世界の工科系大学と連携しながら、異分野との融合による新たな科学技術創成に取り組んでいる工科大学です。
2004年、従来、学科ごとの縦割りだった教員の所属を廃止し、新たに「おもひ」「しくみ」「つくり」「ながれ」の4つの「領域」に分けられました。それぞれ、発想→設計→製作→運用という、ものづくりの流れの4領域を表しています。学問分野を超えて教員が交流し、横断的で学際的な教育・研究を進めるための挑戦です。




名古屋工業大学では、技術イノベーションと産業振興を牽引するにふさわしい優位な人材を数多く送り出す「工科大学構想」を実現するため、「ひとづくり、ものづくり、未来づくり」を教育理念に、地域性と伝統を生かしつつ時代の新たな要請に応える大学づくりを進めています。

これを実際の大学運営で推し進める中期計画が2003年からスタートしています。そこで掲げられた目標が「事務処理の電子化」「適切な情報管理」「学生が学びやすいIT環境づくり」でした。この達成のために、まずは様々なシステムの共通基盤となる「新情報基盤システム」を構築することになったと言います。

開発は2006年10月にスタートし、半年後の2007年4月1日から全学での運用が始まっています。特筆すべきは、この新情報基盤システムの構築が、インタフェース、プロセス、情報の3層での統合というSOA的アプローチによって進められたことです。では、いったいどのような構成でこのシステムが成り立っているのか、その概要と構築の経緯を伺っていきましょう。

名古屋工業大学
大学院情報工学専攻 教授
情報基盤センター センター長
工学博士 松尾 啓志氏

「何をするにもまずベースになるのは認証基盤です。そこで、PKI認証と連携して機能するシングルサインオンの環境を作り、教職員および学生が自分のICカードでログインする全学統一認証基盤を作りました」

情報管理に厳しい目を向ける大学では、セキュリティ環境をきちんとしないと何も始まらない、と松尾氏は言います。

この認証基盤とシングルサインオン環境の整備により、情報基盤としての利用が考えられていたポータルとグループウェアの構築が進められました。教員、職員、学生の新たな情報環境が求められていたのです。

「学科の壁がなくなり横断的な“領域” で活動を始めた教員に、情報の流れがバラバラになっているという問題が起きていました。また、大学側から学生への情報伝達は依然として掲示板に頼っていました。ICカードさえあれば、いつでもどこからでも情報にアクセスできる環境が必要でした」


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ポータルシステムは学生用、教職員用の2つが提供され、構築には日立の統合システム構築基盤「Cosminexus」のポータル「uCosminexus Portal Framework」が採用されています。

新情報基盤システム全体は複数システムの連携で構成されていますが、ユーザに見えるのはポータルという統一インタフェースだけであり、そこから必要なサービスがスムーズに得られるのです。

学生用ポータル

携帯電話からも利用できる掲示板情報のほか、図書館情報、出欠管理システムの情報、Webメールの送受信状況などが表示されます。履修登録システムはリンクによって利用可能です。また、英語学習支援システムなど外部システムとのリンクもあります。

教職員ポータル

メールボックス、スケジューラ、施設予約情報、電子掲示板、自分が関わっている業務ワークフローの進行状況、新着情報など、個人ごとにカスタマイズされた情報が表示され、必要な情報を即時に把握できます。
スケジューラ、電子掲示板、メールなどのグループウェア機能は、日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration」で構築されています。

名古屋工業大学
大学院情報工学専攻 教授
工学博士
内匠 逸(たくみ いち)氏

このポータルによりインタフェース統合が行われたわけですが、その効果について内匠氏は、図書館システムを例にあげて次のように語ります。

「図書館システムとの連携は、ねらいとしている形に近いポータル連携で、シングルサインオンによって必要な情報を即座に把握できる迅速なアクションを可能にしています。資料の検索や貸出予約ができるのはもちろんですが、借りた本の返却期限が迫ったり、予約した本が貸し出し可能になった時は、ポータル画面に新着情報としてカラー文字で表示されるといった連携がなされています」

名古屋工業大学「新情報基盤システム」の構成イメージ


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今回の新情報基盤システムにおけるポータル構築と並ぶ目玉は、ワークフローの導入だったと皆さんが言います。教職員用ポータルから利用するサービスとして、業務ワークフローが提供されたのです。

旅費精算や物品購入などの申請業務をはじめ、10種類近い業務ワークフローが、日立の「電子フォームワークフロー」を使って学内で開発されました。自ら既存の業務の見直しと調整に走り、ワークフロー開発に当たったのが、情報基盤センターの貝谷氏でした。

名古屋工業大学
情報基盤センター
技術専門職員
貝谷(かいや) 邦夫氏

「単なる承認回覧でなく、財務会計システムと連携しなければならないため、基幹システムとの連携機能が充実している日立の電子フォームワークフローを採用しました。それまで使っていた紙の帳票そのままのイメージで画面に表示できるため、利用者にもスムーズに受け入れてもらえたと思います」

それまでは、申請した案件がどこで滞留しているのか、どこまで処理されたのかわかりませんでした。それがセキュリティを保ったうえで目に見えるようになり、過去の文書の再利用も可能になりました。ペーパレス化にも貢献し、業務効率の向上にもつながっています。


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業務ワークフローは、稼働を開始して3ヵ月目には合計1万案件で利用されるほどになり、導入がスムーズに進んだことがうかがえます。しかし、そのワークフローシステムを立ち上げるには、ある問題を解決しなければなりませんでした。


「ワークフローシステムを正しく的確に動かすには、利用者ごとのアクセス権限の設定が不可欠ですが、その基になる教職員の属性情報が学内に散在していて、どれが信頼できるものなのか判断できませんでした。そこで、学生と教職員を合わせて7000名以上にのぼる属性情報を集めて整理し、信頼できるデータとして一元管理するための全学統一データベースを構築したのです。ワークフローシステムをこの全学統一データベースと連携させることで、正しい権限に基づく的確な運用がはかれているのです」と内匠氏は言う。


全学統一データベースの構築に使われたのが、複数のデータベースからデータを統合するETLツールである、「DataStage(データステージ)」です。
こうしたデータの一元管理の必要性は属性情報に限ったことではありませんでした。新たなシステムの連携や統合を進めるためには、その間で受け渡すデータが信頼でき整合性のあることが必要で、そのための情報統合の基盤を「DataStage」で構築したといえます。これは、SOA的な手法でシステムを構築する際にも重要な基盤となるものです。


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以上のように、名古屋工業大学では、将来に向けた新情報基盤システムを、「インタフェース統合」「プロセス統合」「情報統合」という3層の統合によって実現しました。この3つの統合こそ、日立が考えるSOAのアプローチの基本形です。

「SOAはシステムの理想形ではありますが、その実現にはクリアしなければならない課題も色々あります。しかし、利用者が個別のシステムを意識しないで利用でき、サービスが前面に見えるシステムができたということでは、広義のSOAにはなっていると思います」と松尾氏は語ります。

SOA的アプローチの成功で、情報の流れの一元化、流動的な組織に合わせたサービス提供、ワークフローによる業務効率の向上も達成できたと言えるでしょう。


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学生に対しては特にポータルの使い方を広報してはいませんが、当たり前に使いこなせているといいます。携帯電話からのアクセス以外にも、自宅のPCにカードリーダーを取り付ければ、ICカードを使ってVPN経由で自宅から大学のポータルにアクセスできます。

同大学では今後、更に多様なシステムを新情報基盤システムに組み込んでいく計画ですので、大学生活、研究、業務に必要な多様な情報を、いつでも、どこからでも手に入れられるユビキタス環境が実現していくことになるでしょう。

「国立大学法人は、従来以上の多くの業務を低コストでこなさないといけません。人も組織もシステムも、基本的なあり方を変えていかなければならないのです。新情報基盤システムが、この変革を支え進めていくことを期待しています」と語る松尾氏。

先進的なシステム基盤をつくり上げた名古屋工業大学。今後のシステム変革と先進システムの導入にも柔軟に対応できる環境が整いました。

現在、多くの企業でSOAに基づいたシステム構築へのご検討、あるいは実践が開始されています。 日立では、今回の事例でご紹介したように、オープンミドルウェア製品群と多くの導入実績に基づいたご提案・サポートをご提供して参ります。


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