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最適な方法を選んでバックアップに強くなる!

特集記事:HITACHI USER -ITビジネスNavi Vol.14-

今回は、企業で増え続けているデータそのものの保管の重要性、具体的なバックアップの方法についてご紹介します。

いまなぜ、バックアップが企業活動に不可欠なのか?

デジタル社会の進化とインターネットのさらなる普及、スマートデバイスの浸透などに加え、ビッグデータ時代が到来し、非構造データが増大しています。
また、コンプライアンスへの対応も企業データ増大の一因として挙げられます。

個人情報保護法やe-文書法などに代表される重要情報の取り扱いに関する各種法規制により、情報を単に保管するだけではなく、安全に長期保存することが企業にとっての義務と定められています。

このように、企業データはいま、増大の一途をたどっています。

データの増大は、裏を返せばデータを失った時の損害の増大を意味します。 人為的ミス、コンピュータウイルス、機械の故障、天災、テロ行為など、きっかけに関わらず、データ損失が発生すれば、損害賠償や業務停止による機会損失など、莫大な損失が発生します。データの損失は企業にとって大きなダメージとなります。

企業は、大容量のデータを確実に低コストでバックアップを取得し、いざという時に備えて、データをもとに戻せる環境を整えておくことが必要です。

バックアップ方式

まず、バックアップ取得には、どのような方式があるかご紹介します。

同一サイト内にバックアップを取るローカルバックアップ

D2T(Disk to Tape)
−本稼働のディスクストレージからテープストレージにバックアップを取る手法−

小規模のシステム環境での採用が多い、低コストでの導入が可能な手法です。 消費電力も抑えられます。テープメディアを使用することでデータの長期保管が可能です。 ただ、リストアに比較的時間がかかるなど、クリティカルなシステムでは運用が難しい面があります(図1)。

図1:Disk to Tape
図1:Disk to Tape

D2D(Disk to Disk)
−テープストレージの代わりにディスクストレージにバックアップを取る手法−

アクセス性能の優れたディスクストレージを利用することでバックアップやリストアの所要時間を短縮できます。 ただ、何世代ものバックアップデータを保管するには大きなディスク容量が必要となり、D2Tと比較すると導入、保管コストがかかります。
日立では、ディスクアレイ内にサーバーを経由せず複製ボリュームを作成する「ShadowImage」や「Copy-on-Write Snapshot」といった機能も用意しており、さらなる高速化を支援します(図2)。

図2:Disk to Disk
図2:Disk to Disk

D2D2T(Disk to Disk to Tape)
−ディスクストレージとテープストレージを用いて2段階のバックアップを取る手法−

本稼働のディスクストレージからバックアップ用のディスクストレージに対し、高速バックアップを行い、世代の古いものや長期保管を必要とするものをコストの安いテープストレージに移管します。中・大規模のシステムでは、確実性、運用面、コスト面などで理想的な手法です(図3)。

図3:Disk to Disk to Tape
図3:Disk to Disk to Tape

遠隔地にバックアップを取るリモートバックアップ(ディザスタリカバリ)

事業継続のために、災害の及ばない場所に複製データを保存する特別な措置が必要です。
従来は、遠隔地にテープをトラックで運んで保存する方法が用いられてきました。 しかし、より高速なリストアが求められるようになり、サーバー上のソフトウェアによるデータのコピーから、さらに上位アプリケーションへの影響が少ないストレージ間コピーが行われるようになっています(図4)。

図4:リモートバックアップ
図4:リモートバックアップ

バックアップ方式選択の基準

バックアップシステム選択の重要な指標として、RPO(Recovery Point Objective)とRTO(Recovery Time Objective)があります。
問題が発生した場合に、システムとして、過去のどの時点までのデータを保障して復旧させるか(RPO)、復旧までにかかる時間はどれだけか(RTO)の目標値を設定する必要があります。
両者とも0に近いほうが良いのですが、当然システムのコストがかかるので、その決定はダウンタイムコストとの兼ね合いになります(図5)。

図5:RPOとRTOの考え方
図5:RPOとRTOの考え方

日立のバックアップ技術

企業のバックアップシステムを支援するために、日立が用意している技術をご紹介します。

クラウドへの集中バックアップ

SNS、Eメール、オフィス文書、映像といった非構造データの増大にともない、それぞれを管理する部門ごとにNAS(*)が乱立し、各部門の管理者の工数増大を招いています。

*
NAS(Network Attached Storage):
LAN/WANを使用したファイル共有サービスに特化したファイルストレージ

この課題には、ストレージクラウドにより全国拠点のデータを統合的にバックアップする「Cloud on-Ramp」で応えます。 「Cloud on-Ramp」とは、「クラウドへの入口」という意味です。

各拠点には容量の小さなファイルストレージ「Hitachi Virtual File Platform(VFP)」を置き、データセンターには大容量バックアップ/アーカイブストレージ「Hitachi Content Platform(HCP)」を設置。各拠点で行っていたバックアップや容量管理を自動化/一元化します。 膨大なコンテンツデータの自動集約・一元管理を行うコンテンツクラウドの可能性を拓きます。

重複排除機能

日々増え続けるバックアップデータにともない、ストレージコストも増加の一途を辿っています。

蓄積されるデータには全く同じ内容のものも含まれており、同じデータの重複を排除することはコスト削減に有効です。
重複排除にはファイル単位に同じものを排除する「シングルインスタンス方式」とファイルの内部をさらに細かなブロックに分割して排除率を上げる「ブロック分割方式」があります。 特に「ブロック分割方式」は、重複する部分の多い世代管理されたドキュメントに有効です。
このような場合、日々の増分だけのバックアップを取ることでストレージ容量にかかるコストを削減でき、またネットワークの負荷やバックアップ時間の増加などの負担も軽減できます。

日立では、「JP1/VERITAS」によるサーバーでの重複排除、「Hitachi Capacity Optimization」によるバックアップストレージでの重複排除の双方に対応しています。

サポート体制

日立では複数の製品にまたがる複雑な問題も、ひとつの窓口で受け付け、迅速に問題解決の支援を行います。

この保守・サポートサービスにもモノづくりへのこだわりが継承されています。

2時間以内の解決率、長期化案件数、窓口満足度などの定量的な数値によりサービス品質を把握。サービスの向上をめざすとともに、受付システムや資料採取ツールなどのインフラの改良、エンジニアと連携する際の体制面のしくみまで、常に改善し続けています。

特記事項

  • この記事は、「会報誌 HITACHI USER 2013年7月」に掲載されたものです。
  • 記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標もしくは登録商標です。

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