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仮想化/クラウド時代のシステム運用のあり方

特集記事:HITACHI USER -ITビジネスNavi Vol.10-

仮想化、クラウド化が進む一方、システム運用はより複雑化、多様化しています。

今回は、このような状況の中、運用コストの削 減とミスの低減を実現し、さらにシステムの信頼性、保守性、運用容易性の向上と属人性を排除した止まらないシステム運用 のご提案を紹介します。

市場状況

IT投資の最適化など、導入コストを抑える効果を期待し、サー バ統合による仮想化の導入が進んでいます。今後も仮想化ソフト ウェア市場は増加が予想されており(図1)、2016年には、社内に おける仮想OSの比率は50%近くになると予測されます( 図2)。

図1:国内仮想化ソフトウェア市場予測2010年 〜 2016年
図1:国内仮想化ソフトウェア市場予測
2010年 〜 2016年

図2:社内で稼働している全OSの比率現在と将来
図2:社内で稼働している全OSの比率
現在と将来

また、今までの仮想化導入の目的というのは、ハードウェア老朽化に よるサーバ延命や非基幹業務のサーバ統合を目的としていましたが、 これからの仮想化導入はプライベートクラウドを構築してITリソースを 最適化することによるコスト削減が主な目的となっています。

図3:プライベートクラウドの構築計画状況
図3:プライベートクラウドの構築計画状況

これにより、クラウド環境で稼働するシステムも多くなり、管理す る対象が複雑になることにより、運用管理の重要性が考えられるよ うになってきました(図3)。 

このように、仮想化、クラウド化を進めると、システム導入時のコ ストは削減されますが、仮想化の恩恵を生かすためには、運用面を 十分に検討する必要があります。一つのミスが重大な事故を引き起 こすという懸念もあり、複雑化したシステムを効率よく、安全に運用 したいというニーズが拡大しています。

では、複雑化、多様化したシステムにおける現場での運用管理 の課題をみてみましょう。

市場動向として、仮想化/クラウドの浸透によって管理が複雑 化する一方でさまざまなプラットフォームやスマートフォンなどの増加 で、管理対象が多岐にわたっています。そのような状況の中、ユー ザーとしては、運用コストの低減、業務の改善などを求めています。

そこで発生する課題は、運用ノウハウの不足、管理業務の複 雑化、運用作業の負担増大、管理ツールの多様化、属人化され た管理、人手不足など、多くの要因が考えられます 。 

ビジネスを止めることのできないシステム運用では、品質、効 率ともに高度なものが求められます。今までの担当者に頼ってき ていた運用だけでは立ち行かなくなってきています(図4)。

図4:システム運用の現場で抱える課題
図4:システム運用の現場で抱える課題

これからの運用管理に必要な考え方

システム運用の現場で抱える課題を認識した上で、これからの システムのあるべき姿は、高度化された運用が重要であると考えま す。高度化された運用のポイントは、運用(稼働状況/影響範囲) の見える化、運用ノウハウの共有化、運用手順の標準化/自動 化、それらによる運用コストの削減とミスの低減です。さらに、信頼 性、保守性、運用容易性において優れたシステム、属人性を排除 した止まらないシステムが重要であると考えます。

システム運用を高度化するにはどうすればよいでしょう。 「運用の見える化/共有化」、「運用の標準化/自動化」という 観点からアプローチしてみましょう。

●「運用の見える化/共有化」

  • 運用プロセスの見える化による属人性の排除
  • 運用プロセスの共有化による属人性の排除

発生した問題がどこで起こっているのか、どこに影響を与えるの か、何を調べればよいのか、どのような対処をするのか。各プロセス の作業記録を管理し、検索できるようにすることで、類似案件の迅 速な対処を可能にし、システム/サービスの稼働率を向上できます。

運用プロセスの見える化/共有化に向けた仕組みを作るこ とにより、発生した問題をもれなく効率的に解決へ導くことが できます。

●「運用の標準化/自動化」

  • 運用手順の標準化による作業ミスの削減
  • 運用手順の自動化による作業効率の向上

各運用プロセスでの作業手順をシステムで見える化し、ベテ ラン、新人を問わず運用品質の均質化を図ります。自動化できる 手順は自動化を推進し、作業ミスの撲滅を推進できます。

システム運用の高度化を支援するJP1

2012年10月に販売を開始したJP1 Version 10 では、IT運用オペレーションの自動化を支援する製品 JP1/Automatic Operation (JP1/AO)の提供を開始しました。

JP1/AOの概要と特長

運用手順書をもとに手動で実行していた複雑なオペレーションを自動化 します。日立が社内クラウド/データセンターで培った運用手順のノウハ ウを提供することにより容易な導入を実現、IT運用オペレーションの効 率向上と人的ミスを軽減します。

すぐに利用できるIT運用ノウハウ
仮想マシン運用、サーバ設定などの運用手順書を必要とする操作をテン プレート化。Webからもダウンロードできるコンテンツとして提供します。
自動化を可能にするフロー制御
繰り返しとなる同一操作や人の判断や処理が必要な手順についても 自動化、フローに組み込むことができます。
実行履歴を活用したIT運用の効率化
IT運用に不可欠な実行履歴を活用することにより、サービス定義の見 直しや効率化などに役立てることができます。
運用の標準化によるノウハウ共有
利用したコンテンツを共通化することにより、運用を標準化できます。
容易な導入
実行処理の対象となるサーバに、エージェントの導入やシェルの配置 は不要です。
使いやすいWeb画面
オペレーターが扱いやすい、シンプルなWeb画面を提供します。

情報システムの開発部門は、膨大な運用手順書を作成・メンテナンスす る必要がなくなり、サービスのリリースや他システムへの流用も容易にな ります。運用部門は、JP1/AOの簡単な操作方法だけを習得すればよ く、運用がシンプルになります。

図5:JP1/AOの特長
図5:JP1/AOの特長

このように、システムの安定稼働、業務継続性を考えた運用し やすく、ミスの少ない、属人性を排除したシステムを考える時代 になったといえるのではないでしょうか。

また、JP1/AO導入による効果としては、日立データセンターに おける仮想サーバを1台構築する場合の作業時間(仮想サーバ 新規作成)が60%減となったという結果が出ています。

ソフトウェア開発拠点のご紹介
〜お客さまの価値と感動を創造する最先端のソフトウェア開発拠点をめざして〜

横浜事業所の写真

2012年6月、株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム 事業本部 横浜事業所が竣工しました。本事業 所は、先進のエコ配慮型オフィスと開発者に優しい環境で、グローバルに通用するITプラットフォーム製品・サービスを提供し、 お客さまの価値と感動を創造するモノづくりに挑戦する新しいオフィスです。

特記事項

  • この記事は、「会報誌 HITACHI USER 2012年11月」に掲載されたものです。
  • 記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標もしくは登録商標です。