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ビッグデータが注目されるようになった背景には、ハードウェアの性能向上のほか、大量のメモリ やストレージがきわめて安価に、そして安定的に利用できるようになったことがあります。従来から生 産管理や在庫管理などの業務データを分析しビジネスに活用してきましたが、人の動きや車両の 運行情報など、幅広い情報まで広げていこうというのが昨今のビッグデータのトレンドといえます。

しかし、蓄積した大量のデータから企業の競争力を高めるサービスと製品を生み出すことの間 には大きなギャップがあります。本稿ではビッグデータをビジネスへ利活用し、イノベーションを生 み出すための課題・解決策についてご紹介します。

「第3のデータ」の登場とジレンマ

インターネットの黎明期には、ネットの情報は"ノイズの山"と言われ てきました。しかし、Google が提供するPageRank(リンクを人気投票 とみなす画期的なアイデア)などによって、情報が整理され、見つけた い情報を容易に探せるようになりました。

今日の企業内のデータは、インターネット黎明期に経験した「ノイズ が多い」状態にあると言えます。用途が定まらず、大規模なITシステム 化の決断ができない一方で、捨ててしまうと将来のイノベーションが 失われてしまうようなデータ「第3のデータ」が生まれたためです。

こうした第3のデータを使って新しい価値を生み出したい、隠れた関 係を見つけたいといったプロアクティブな使い方に対する期待が、ビッ グデータ利活用に集まっています。

図1:第3 のデータの登場
図1:第3 のデータの登場

ビッグデータの実用化に 向けた取り組み事例

ビッグデータの実用化に向けた取り組みとして、「株価指数配信 サービス」と「人流シミュレーション」の事例についてご紹介します。

東京証券取引所では日立の大量データをストリーミング処理するシ ステムを導入することで、株価指数配信サービスを高速化しました。 相場の変化が指数に反映されるのに秒単位で時間がかかっていたも のを、ミリ秒単位で反映できるようになるという効果を上げています。 その結果、マーケットの動向をより素早く細かく把握して取引を行うこ とができるようになりました。

図2:株価指数配信サービス
図2:株価指数配信サービス

また、ユニークな例では人の移動を検知するセンサーデータや3D 空間データを組み合わせ、施設改善や防災計画、都市計画などの効 果予測・評価を行う「人流シミュレーション」を活用した、人流管理シス テムがあります。

人流管理システムでは、検知システムで把握したデータに基づき、 より正確なシミュレーション予測が行えます。シミュレーション結果は、 即座に案内誘導、設備制御へ反映されます。これによって、人の動き を定量的かつ視覚的に把握でき、さらに施設構造の変更計画に活用 できます。また、旅客流動シミュレータと連携してマクロ/ミクロの両 視点での予測ができます。

図3:人流シュミレーション
図3:人流シュミレーション

ビッグデータ利活用を支える技術要素

株価指数配信サービスや人流シュミレーションなど、いずれも従来 測定・分析できていなかったことが、データを蓄積し、分析したことで新 たな発見へとつながった事例といえます。

ビッグデータを活用して新たな価値を創造するためには、しっかりし た基盤技術の活用が肝要です。目的や用途に合わせた基盤技術の 品揃えと、コア業務を託す情報基盤としての信頼性・拡張性、さらに は既存の業務とも容易に連携できる柔軟性を兼ね備えたITプラット フォームが必要になります。

そこで、日立はITプラットフォームを支える技術として「Field to Future Technology」を体系化しました。"現場の事実から未来の業務 に不可欠な情報を生成する技術"を意味し、4つの解決技術「データ可 視化」「データ抽象化」「データ仮想化」「データ並列化」に沿って、日立 グループ内のビッグデータ関連技術を整理して提供するものです。

図4:ビッグデータ利活用プラットフォームを支える技術
「Field to Future Technology」
図4:ビッグデータ利活用プラットフォームを支える技術「Field to Future Technology」

*1
vRAMcloud サイトへ移動(新規ウィンドウを開く)
*2
Hitachi Advanced Data Binder プラットフォーム サイトへ移動(新規ウィンドウを開く)

ビジネスでビッグデータを利活用するために

ビッグデータを利活用するためのITプラットフォームと両輪で必要な のが、データをどうやって使っていくかという試みです。「高性能なシス テムが欲しいのではない」「データ分析をやりたいわけではない」「デー タを蓄えることで分かることが予測できなければ、システム投資できな い」というのがお客さまの現実的な悩みといえます。

日立では「Field to Future Technology」を基盤に、データ分析の ためのライフサイクルを回していくとともに、お客さまとのつながりを強 化し、データ活用におけるお客さまの目的、課題、目標を共に作り上げ ていくことをビッグデータ利活用のコアと考えています。その中でもお 客さまとの関係性が重要です。お客さまの業務現場や目的を理解しな いで、分析をしてもよい結果が生まれないためです。

莫大なデータの中に隠れている意味を解釈し、お客さまとともに最 適な利活用のシナリオを描き、実用化する。日立はこの一連の活動を 「イノベイティブ・アナリティクス」として体系化しています。

ビッグデータ利活用に関する専門家集団「データ・アナリティクス・ マイスター」が中心となり、「ビジネスダイナミクス」、「EX アプローチ」、 「数理分析」、「ITプラットフォーム」などの手法・技術を用いて、「ビッ グデータ」の中に埋もれている価値ある「ビジネス構造」を抽出します。 これにより、お客さまのビジネスにとって有効な利活用のシナリオを描 き、仮説検証で確信を得た上で、新たな価値創出を支援します。

図5:ビッグデータを価値に変える「イノベイティブ・アナリティクス」
図5:ビッグデータを価値に変える「イノベイティブ・アナリティクス」

*3
事業構造をモデル化するMIT(Massachusetts Institute of Technology)提唱の手法。
日立は豊富な実績と、業種・業界毎の独自テンプレートを保有
*4
お客さまの経験価値を最適化する観点で、現在の業務から将来像を創出協創によって、改善のための具体的なプロセス構築を可能にする

特記事項

  • この記事は、「会報誌 HITACHI USER 2012年9月」に掲載されたものです。
  • PageRank は Google Inc. の登録商標です。
  • その他記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標もしくは登録商標です。