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事業継続性の向上 〜データ保護に対する投資の考え方〜

特集記事:HITACHI USER -ITビジネスNavi Vol.6-

東日本大震災を契機に、自社の事業継続性をいかに確保するのかを見直す機運が高まっています。 中でも特に関心を集めているのが「データ保護」です。

東日本大震災後、バックアップの運用を見直す機運が高まった

震災以前から、ディザスタリカバリ(災害などで被害を受けた 際に、システムを迅速に復旧する体制)の一環として、多くの 企業で業務に必要なデータをバックアップしているという認識 は持っていました。しかし、今回の震災では事務所やオフィスの 被害が大きく、「バックアップ先のIT機器・設備が被害を受けた」 「基幹系業務のデータはバックアップしていたが、その他の保護 すべきデータを見落としていた」など、業務上必要なデータが消 失する被害が報告されています。

こうした背景から、データのバックアップ運用を見直し、ディザ スタリカバリを強化する企業が増えてきました。一方で、一般的 なディザスタリカバリは大規模システム向けで、遠隔地にバック アップ用のシステムを設置しなければならない、メインシステムと 同等の構成にしなければならないなど、コストが膨れ上がることを 懸念する経営者も少なくありません。しかし、すべての業務データ に対して、ディザスタリカバリと同等のデータ保護を適用する必 要はありません。データの重要度とコストに応じて、自社の事業 形態に適したデータ保護の方法を選択することが大切です。

データ保護に対する投資の考え方 〜適材適所な使い分けを〜

データ保護の方法は「バックアップ」と「レプリケーション」に 分けられます。バックアップは、ある時点のデータを別の記憶媒 体に定期的に複製することです。データの長期保存や世代管理 に向いており、比較的低コストで実施できます。レプリケーション は、ある時点でのデータをリアルタイムに複製することです。瞬時 に別のサーバへデータを複製するため、迅速に通常の状態に復 旧できます。ただし、保存先に同一のシステム構成を用意する必 要があるため、コストがかかる傾向にあります。

こうした特徴を踏まえた上で、それぞれの適用範囲を示したの が「図1:バックアップとレプリケーションの適用範囲」です。バッ クアップは人為的ミス、ウィルス感染、さらに自然災害などの天災 に効果があり、カバー範囲が広くなっています。一方でレプリケー ションは天災などに対する即時復旧という面で効果的です。目的 を絞ってどこにコストをかけるか、またはどのようにバランスをとる かという適材適所な使い分けが重要です。

図1:バックアップとレプリケーションの適用範囲
図1:バックアップとレプリケーションの適用範囲

また、データを復旧する際の要件として考えておきたいの が、RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)とRTO (Recovery Time Objective:目標復旧時間)です。こうした RPO、RTOを軸にデータ保護の方法を当てはめたものが「図2: RPO、RTOを考慮したデータ保護の選択基準」です。

真ん中のゾーンが最もデータ復旧時間が早く、データも最新 の状態に近いということを表しています。その分システムへの投 資が必要となり、コストが高くなります。RPO、RTOともに短いこ とが望まれますが、自社の事業活動において目標とする業務再 開までの時間と、どの期間までのデータ消失なら許されるのか を、あらかじめ決めておくことがポイントになります。

図2:RPO、RTOを考慮したデータ保護の選択基準
図2:RPO、RTOを考慮したデータ保護の選択基準

投資対効果を考えたデータ保護モデル

これまで、一般の企業ではバックアップデータをローカルディ スクへ保管、一部の業種や企業では大規模なディザスタリカバ リの仕組みを構築するというパターンが主流でした。しかし、最近 はその保管先をテープにするというケースやバックアップデータ を遠隔地に保管、リモートコピーまたそれを多重化というお客さま が非常に多くなってきています。

バックアップのメリット、レプリケーションのメリットの両方を持 ち、人災や天災に強いデータ保護のモデルとして、今後適用が 増えると予測されるのが「遠隔地への多重レプリケーション」(図 3)です。バックアップデータを複数の遠隔地に自動でコピーで き、特別な機能を持ったディスク装置が不要なので既存資産を 活用できます。復旧時間やバックアップ頻度に比較的余裕があ り、レプリケーション機能のついたストレージを導入するほどコス トをかけられない企業に向いています。さらに、重複排除機能に よってデータ量を削減できるので、ディスクの容量とネットワーク 負荷を抑えられます。

また、同等の構成を二つ用意するため投資規模が大きくなりが ちであったディザスタリカバリは、バックアップ先のシステムを仮 想化する、外部のクラウド環境(データセンタ)に預けるなど、ハー ドウェアへの投資を抑えるというのが最近の動向といえます。

図3:遠隔地への多重レプリケーション
図3:遠隔地への多重レプリケーション

こうしたデータ保護の方法を投資対効果に応じて整理したも のが「図4:投資対効果を考えたデータ保護モデル」です。右上に いくほど投資金額も増えますが、それだけデータを復旧するポイン トは最新になり、業務再開までの復旧時間は短くなります。

図4:投資対効果を考えたデータ保護モデル
図4:投資対効果を考えたデータ保護モデル

日立ではこうしたデータ保護モデルの提案を通じてお客さまの 事業継続性の向上を支援しているほか、幅広い領域でお客さま のニーズに応えるクラウドソリューション「Harmonious Cloud」 を提供しています。仮想化技術によって災害復旧用システムの 新設/運用コストを抑制する、さらに日立のデータセンタを利用す ることで安全性を高めるだけでなく投資対効果を高めるソリュー ションとしてご活用いただけます。

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特記事項

  • この記事は、「会報誌 HITACHI USER 2012年3月」に掲載されたものです。
  • その他記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標もしくは登録商標です。