特集記事:HITACHI USER -ITビジネスNavi Vol.4-
国内企業のIT投資は、依然抑制 傾向が続いていますが、そのような 中でも、大きな成長をとげているのが 「クラウド」と「スマートフォン」です。
図1:クラウド市場予測
図1はIDCによる震災前の調査結果です。国内のプライベート クラウド市場とパブリッククラウド市場の市場規模予測を示した ものです。プライベートクラウド市場も、パブリッククラウド市場も、 ともに高い成長が見込まれています。
クラウドの導入は、当初は「コスト削減」や「効率向上」という 観点での検討が多かったのですが、昨今では、積極的な「ITによ る事業改革」の一手段としてクラウドを活用するケースも増えて きています。特に震災以降は、自社にシステムを保持することに 不安を感じる企業も多く、クラウドやデータセンターにシステムを 預けることを検討する企業も増えてきています。BCP(Business Continuity Plan)の観点からも、クラウド活用への流れがより一 層、加速するものと考えられます。
図2:インターネット接続機器出荷台数予測
また、図2は、国内のインターネット接続機器の出荷台数の予測
を示したものです。図のとおり、スマートフォンが急速に出荷台数を
伸ばすと見込まれており、2011年には「モバイルPC(=Portable
PC)」の出荷台数をスマートフォンが上回ると予測されています。
個人での利用が先行していたスマートフォンですが、ここ数年の間
に営業ツールとしてなど、企業で導入する事例が増えてきていま
す。そのため、導入台数が大型化しているという傾向がみられます。
このようなトレンドを踏まえて、企業ITシステムの全体像を整理 してみると、データセンターや企業の業務システムにおいては、従 来型のシステムである「オンプレミス」の環境がある一方で、ITリ ソースの有効活用を追求する企業において「プライベートクラウ ド」の導入が進んでいます。
さらに、外部サービスの「パブリッククラウド」の活用も始まっ てきており、これからは、「オンプレミス」、「プライベートクラウド」、 「パブリッククラウド」が混在したシステム環境で、業務やサービ スを運用していく形になっていくことが予想されます。その一方で、 これらが適材適所で共存して使い分けられることで、システム環 境は多様化・複雑化してきていると考えられます。
また、クライアント環境においては、従来から利用されてきた「デス クトップPCやノートPC」に加えて、最近では「デスクトップ仮想化」 環境の活用も進んでいます。さらに、前述のとおりスマートフォンや メディアタブレットの活用も進んできており、利用者が使用するクラ イアント環境もまた多様化・複雑化していると考えられます。(図3)
図3:トレンドを踏まえた企業ITシステムの全体像
「スマートフォン」や「メディアタブレット」が、もはや単なる電話や メール端末としての利用だけではなく、「社内の業務端末としての 利用」や「在庫管理システムへアクセスしての在庫確認」など、従 来のPCに代わって企業ITシステムの一部として浸透し始めてい るということに注目する必要があります。
このような状況において、システム管理者は今までになかった 新たな課題に直面することが予想されます。
クラウド導入の目的の一つに「コスト削減」が挙げられます。
「コスト削減」の面から見てみると、ただ単純に導入しただけで はむしろ負担が増してしまうこともあります。それは、ハードウェアが 減っても、システムの管理手順や運用方法が複雑化して運用コス トが増えてしまうという理由からです。効率的に管理、運用するこ とが課題となります。
また、スマートフォンやメディアタブレットなど、新たな端末を導入 した場合、それらを適切に管理することも必要となります。
クラウドの活用をより価値あるものにするには、まずは現状のシ ステムを見直し、適切な運用管理体制を整えることが重要なポイ ントとなるのです。
こうした課題の解決策として日立が提供するのが、統合システ ム運用管理 JP1 Version 9( V9.5) です。
現在、「パブリッククラウド」を活用し始めている企業が増えてい ますが、パブリッククラウド上にユーザ自身が構築した業務につい ては、ユーザ自身で運用・管理する必要があります。
サービスを提供する事業者が管理ツールを提供するケースもあ りますが、すべての業務がパブリッククラウド上に移行されるわけ ではなく、多くの場合、「オンプレミス」や「プライベートクラウド」と 共存した環境で運用されることになるため、企業内システムで使 い慣れた既存の運用管理ツールでパブリッククラウド上の業務の 運用・管理も実現したい、というお客さまの声が増えています。
そこでJP1 V9.5 では、「オンプレミス」、「プライベートクラウド」 に加えて、「パブリッククラウド」も管理対象とすることで、「パブリッ ククラウド」を利用する際も、使い慣れたJP1で一元的な管理を可 能とし、運用管理者の負担軽減にお役立ていただけます。(図4)
なお、ここでいう「パブリッククラウド」には多くの事業者が提供 するさまざまなサービスがありますが、JP1では、市場のニーズに合 わせて対応するサービスを順次拡大していく予定です。
図4:外部クラウドサービスも含めた一元管理
スマートフォンやメディアタブレットが企業ITシステムの一部とし て活用されるようになると、従来のPCと同様に、企業資産として の適正な管理や情報漏えい対策などが、今後課題になると考えら れます。
スマートフォンやメディアタブレットの管理については、既にキャ リアなどからさまざまな管理サービスが提供されておりますが、JP1 では企業ニーズの高い資産管理にまず対応し、今後は、お客さま のニーズを踏まえて、情報漏えい対策などの対応範囲を順次拡 大していく予定です。
進展するクラウドや多様化するビジネス環境への対応につい て、セミナー「Hitachi Open Middleware World Cloud Day」でご紹介しました。
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