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日立の「電子フォームワークフロー」で、多種多様な申請業務をワークフローシステム化。
米国SOX法対策と業務改革の両面で大きな成果

世界4大レーベルのひとつである米ワーナーミュージック社。その親会社の上場に伴い、短期間で米国SOX法への対応が必須となった株式会社ワーナーミュージック・ジャパン(以下、ワーナーミュージック・ジャパン)は、ワークフローのシステム化を決断。日立の「電子フォームワークフロー」を使って、社内の多種多様な申請業務のシステム構築を進めている。使い慣れたMicrosoft® Excelの帳票を取り込み、そのままWebブラウザに表示させて入力作業ができるため、エンドユーザーの評判はすこぶる好評だ。利用はスムーズに定着し、ワークフローの可視化と、SOX法に伴う監査の省力化の両面で大きな成果をあげている。

米国SOX法対応を契機にワークフローシステムを導入

「4年ほど前から、業務のスリム化・組織のスリム化を進めるなかで、ワークフローシステムの導入こそが有効であると考えていました」と藤野氏は説明する。

そして2005年、親会社の米ワーナーミュージック社がニューヨーク証券市場に上場したため、日本のワーナーミュージック・ジャパンも、米国SOX法が適用される事になった。

そこでワーナーミュージック・ジャパンは、かねてから検討していたワークフローシステムの本格的な構築に着手。ワークフローシステムは、業務を行えば自然に証跡が残るため、SOX法対策の強力なインフラになるからだ。

使い慣れた帳票イメージで 違和感のないシステム移行

藤野 勲氏の写真
株式会社ワーナーミュージック・ジャパン
システム部マネージャー
藤野 勲氏

ワークフローシステムの基盤としては、システム部による技術検証と、各部門のキーマンに参加してもらっての製品紹介デモとアンケート投票による検討の結果、日立が提供する「電子フォームワークフロー」を選択した。検討のポイントは、ユーザーになるべく負荷を与えることなく、既存の帳票資産を有効に活用できて、コストパフォーマンスが良いものという3点である。

日立の「電子フォームワークフロー」は、Microsoft® ExcelやMicrosoft® Wordの既存帳票を取り込み、GUIツールを使いマウス操作でワークフローを定義するだけで、業務フローをシステム化できる。使い慣れた帳票イメージがそのままWebブラウザ上に表示され、従来の帳票記入と同じ感覚で入力作業ができる。

「まさに使い慣れた帳票が、Webブラウザの中に移動したかのように違和感なくユーザーが受け入れることができました」と藤野氏は言う。

「電子フォームワークフロー」は、柔軟性にも富んでいる。たとえば上司がいないときには代理人が承認できる機能は、出張や外出が多く、組織改変も頻繁に行われるワーナーミュージック・ジャパンにとって、非常に便利な機能である。

Web対応も重要なポイントとなった。

外出の機会が多く、勤務時間も不規則な社員が十分な力を発揮するには、書類業務のためだけに帰社することなく、外出先ですべての業務を完結させられる環境づくりが不可欠だ。

「電子フォームワークフロー」を使えば、モバイルコンピューティングをスムーズに実現できる。リッチクライアントであるため、サーバにつながっていない状態でも申請書を作成できる点も、高く評価した。

ワークフローが見えれば改善のための議論ができる

2006年2月、4つの業務でワークフローシステムが稼働を開始した。実質4ヵ月の短期開発である。

4つのシステムは、交通費などの経費精算、プロモーション関連の広告宣伝費申請、各種製品の経費出庫申請、営業部門のオーダーエントリーである。社員全員が使う経費精算や、「これがシステム化できたら他の業務はすべて適用可能になるというほど流れが複雑」(藤野氏)だという広告宣伝費申請など、さまざまな「典型」を網羅した。

ワークフローシステムを構築したことで、業務は大幅にスピードアップした。目的の帳票をすぐに検索できるなど、省力化・効率化に役立っている。

承認ワークフローの進捗状況をトレースできるのも大きなメリットだ。誰のところで流れが止まっているのかがわかり、上司が出張していれば、即座に代理人へ承認を依頼できる。

「さらに大きな効果は、業務のボトルネックがわかることです。常に書類が滞留してしまうのは、いったい何が悪いのかといったことが、ワークフローで可視化してあるからこそ、ディスカッションをして、業務改善を進めやすくなりました」と藤野氏は語る。

SOX法対策でも、監査の省力化に大きな成果があった。

ワークフローシステムは、職責・権限を明確に定義しており、たとえば、30万円の決裁と50万円の決裁では、承認ルートが変わる。

「書類がワークフローシステムを渡り歩くだけで検証がすでに完了します」(藤野氏)。

しかも、1つの業務パターンが保証されれば、同様の他のパターンが一気に保証され、プリングテストを繰り返す必要がない。

ユーザーの評判も上々だ。特に、申請の進捗状況をチェックできる機能の利用度が高い。「次のワークフローシステムは、うちの部門のこの業務を優先的に開発してほしい」という要望もあがっているほどだ。

「音楽業界では、事務処理能力よりも、創造性やセンスこそが大切です。そういう良い面を活かしつ、会社としてきちんと管理していくうえで、ワークフローシステムは有効でした」と藤野氏は言う。

社員を事務業務で縛りつけることなく、証跡を残せる柔軟なワークフローシステムの構築で、ワーナーミュージック・ジャパンは、創造的な意思決定を着実に支えるインフラを手に入れることができたのである。

ユーザーによるユーザーのためのワークフロー作りに着手

2006年、ワーナーミュージック・ジャパンは、初めてのSOX法監査を無事に完了した。その経験とノウハウを踏まえて、次のワークフロー構築に取り組んでいく。2007年1月には、全社規模のデータ連携も開始する。国内の経費精算の結果をロンドンのデータセンタに送り、ERPの財務会計システムで行う自動計上に取り込んでいく。

最終的には、申請業務はほぼすべて、ワークフロー化していきたい。そのために、今後は、ユーザー自身にMicrosoft® Excelで帳票レイアウトを作ってもらい、それをシステム化していく計画だ。

「これからの著作権管理者は、音楽配信という最もスピードを要求されるビジネスに対応していかなければなりません。意思決定はもっと早くしたい。その手段のひとつが、柔軟なワークフローシステムなのです」と藤野氏は語った。

ワーナーミュージック・ジャパンにとって、「電子フォームワークフロー」は、ますます重要なシステムになるだろう。

ワーナーミュージック・ジャパンのワークフローシステム概要
ワーナーミュージック・ジャパンのワークフローシステム概要

USER PROFILE

株式会社ワーナーミュージック・ジャパン

[本社] 東京都港区北青山1-2-3 青山ビル3階
[設立] 1970年11月11日
[資本金] 1億円
[従業員数] 200名

米ワーナーミュージック社の日本法人として、音楽著作権の管理、CD等の原盤制作、実演家の発掘・育成・管理、音楽ソフト・映像商品の制作・企画・製造・販売を行う。所属ミュージシャンは、米ワーナーミュージック社がマドンナ、日本は絢香、コブクロなど。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 2007年1月8日号」に掲載されたものです。
  • Cosminexusの詳細については,ホームページをご覧ください。
  • Microsoft、Excel、Wordは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標、または登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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