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ITインフラの標準化と全体最適化を推進し、プライベート・クラウドを構築。
運用管理の標準ツールとして「JP1」を採用

日本通運株式会社(以下、日通)は、大規模なプライベート・クラウドを構築し、全社規模のIT インフラを移行中である。ベンダー依存から脱却し、柔軟なITインフラの活用を図ることが大き なねらいだ。

プライベート・クラウドの構築にあたっては、サーバやOS、ストレージなどの標準化 に取り組み、運用管理の標準ツールとして日立の統合システム運用管理「JP1」を採用した。 マルチベンダー対応であり、各ベンダーが公平に使える存在であることが、JP1を選んだ最大の 理由だ。

2010年10月の運用開始以来、JP1は仮想サーバが約500台にもなる大規模プライベー ト・クラウドの安定稼働を支えている。

ベンダー依存からの脱却を目指し ITインフラの標準化を推進

永瀬 裕伸氏の写真
日通情報システム
株式会社
取締役
永瀬 裕伸氏

国際関連事業のさらなる強化を目指して、 「グローバルロジスティクス企業としての成長」 「戦略的環境経営の推進」と、その実現に向 けた「経営基盤の強化」「CSR経営の推進」 を合わせた4つの基本戦略に取り組んでいる 日通。ITに関しても、早くから業務アプリケー ションをオープンシステムへ移行するなど、効 率化やコスト削減に取り組んできた。

しかし、業務アプリケーションが増加するに つれてシステム数が増加し、運用コストも膨ら む傾向にあった。

「業務アプリケーションごとの最適化を追求 した結果、システムが縦割りになりサーバが 乱立。システムが孤立するサイロ化現象によ り、最初に構築したベンダーに再構築も任せ るしかないというベンダー依存体質にも陥って いました」と日通グループの情報サービスを支 える日通情報システム株式会社(以下、日通 情報システム)の永瀬氏は当時を振り返る。

そこで日通は、ベンダー依存からの脱却と 柔軟なITインフラの活用を目指し、2008年に 「インフラ標準化プロジェクト」をスタート。その 後、2011年2月にITインフラの企画から構 築・運用を日通情報システムへ移管。日通自 身は業務アプリケーションの開発に専念し、 ビジネスニーズの変化へ柔軟に対応できる 体制を整えた。

マルチベンダー対応を評価し 標準ツールとして「JP1」を採用

大沼 勇夫氏の写真
日通情報システム
株式会社
クラウド企画部
部長
大沼 勇夫氏

山口 健治氏の写真
日通情報システム
株式会社
クラウド企画部
グループ
リーダー
山口 健治氏

プロジェクトを進めるにあたって、まずはサー バやOSなどの標準化に取り組んだ。

「サーバはPCサーバ、OSはLinuxまたは Windows®など、さまざまな標準化を徹底しま した。その成果として、要件に合った製品を 自由に選べるようになり、ベンダー依存からの 脱却が大きく進みました」(永瀬氏)。

運用管理の標準ツールとしては、日立の統 合システム運用管理「JP1」を採用。

従来は、運用管理も業務アプリケーション チームごとに管理していたため、複数の運用 管理ツールが動いていた。

運用管理ツールのデファクトスタンダードに 成長したJP1は、マルチベンダー対応がそもそ もの設計コンセプトであるだけに、ベンダー依 存からの脱却を目指す同社にとって最適な選 択だった。

「各ベンダーが公平に使っていただける存 在であることが、JP1を選んだ最大の理由で した。どのベンダーもJP1であれば基本操作 をご存知ですし、設定などでわからない点があ れば、日立が各ベンダーと協力して支援して くれます」と大沼氏は説明する。

仮想マシンと物理マシンを統合監視できる など、クラウド・仮想化環境を管理する機能 が充実しているのもJP1の特長だ。

「仮想化環境に適応した機能を、標準的 な機能として実装している点も評価しました」 と山口氏は語る。

「無停止でバージョンアップ作業が行えるな ど、運用管理の現場が望む機能を着実に製 品開発に盛り込んでいる点も評価していま す」と福井氏は続ける。

標準化とともに、全体最適化を進めるため に仮想化技術も導入。先進的なプライベー ト・クラウドをいち早く構築する形になったの は、ごく自然な流れであった。

ITインフラコストを抑制できることもあって、 災害対策用のバックアップサイトも新たに構 築。BCP(*)(事業継続計画)も強化した。

(*)
BCP:Business Continuity Plan

わかりやすい「JP1」で 運用管理ノウハウも社内に蓄積

福井 雅也氏の写真
日通情報システム
株式会社
クラウド企画部
福井 雅也氏

松舘 智志氏の写真
日本情報通信
株式会社
松舘 智志氏

島崎 尚徳氏の写真
日本情報通信
株式会社
島崎 尚徳氏

日通のプライベート・クラウドは、2010年 10月に運用を開始。日々の運用管理業務 は、日本情報通信株式会社が担当している。

JP1は、膨大な数のジョブ管理と、サーバ やストレージ、ネットワーク機器などの死活監 視およびサーバなどの稼働監視を行い、仮想 サーバが約500台にもなる大規模プライベー ト・クラウドの安定稼働を支えている。

また、バックアップサイトが立ち上がると自 動的に監視を始めるなど、メインサイトとバック アップサイトをシームレスに統合監視しており、 BCP体制を支える役割も果たしている。

運用はリモート監視で行い、アラートやメー ルで通報し、緊急性の高いものはパトライト が鳴り即座に対応できるようになっている。

「JP1は基本操作がGUIなので、直観的に 操作できます」と松舘氏は語る。

「機能別に分かれた製品体系がわかりやす く管理しやすい」と島崎氏は続ける。

必要な機能を追加していくことで、小さく導 入して大きく育てることができるのもJP1の特 長のひとつだ。日通は、ライセンス管理や構 成管理、インシデント管理などの機能に関して も導入を検討しているそうだ。

「JP1を選んだことで、日立のサポートを受 けながら、社内で設定などができるようになり、 運用管理のノウハウを社内に蓄積することが できるようになりました」(大沼氏)。

プライベート・クラウドの さらなる効率的な運用を目指す

日通におけるプライベート・クラウドの構築 効果はきわめて大きい。

物理サーバは従来の約4分の1に削減し、 ITインフラの構築と運用にかかるコストは約 30%削減する見込みだ。また、業務アプリ ケーションチームの求めに応じて、ITインフラ の引き渡しを迅速に行えるようになったことも 大きな成果だ。従来は2 〜 3ヵ月かかってい たものが、わずか10日へと大幅に短縮した。

「業務アプリケーションチームからの新たな 依頼が急増していることからも、クラウド化が 成功していると言えるでしょう。ビジネスニー ズの変化へ即応できるようになったのです」 (大沼氏)。

さらに、災害対策などを考慮して、拠点に 分散している1,000台規模のサーバについて もクラウド化を検討している。

「クラウド化が進むことで、さらに規模が拡 大し複雑化します。クラウドのグローバルな 対応も重要なテーマですが、こうしたさまざま なニーズに対応しながらクラウドをより効率的 に運用するためにも、今後も日立からの提案 に期待しています」(永瀬氏)。

折しもJP1の最新バージョンでは、ITリソー ス管理やサービスレベル管理など、クラウド・ 仮想化環境をより効率的に管理する機能が 強化されている。

グローバルロジスティクス企業として躍進を 続ける日通のプライベート・クラウドを、JP1が 今後も支援していく。

日本通運(株)のプライベート・クラウド概要
日本通運(株)のプライベート・クラウド概要

USER PROFILE

日本通運株式会社

日本通運株式会社

[本社] 東京都港区東新橋1-9-3
[設立] 1937年10月1日
[資本金] 701億7,500万円
[従業員数] 36,746名(2011年6月30日現在)
自動車輸送、鉄道利用輸送、海上輸送、 船舶利用輸送、利用航空輸送など、総合 的な物流事業を展開。海外37ヵ国213都 市に拠点を持ち、グローバルな物流ニーズ に対応したロジスティクスソリューションを 提供。

日通情報システム株式会社

日通情報システム株式会社

[本社] 東京都港区東新橋1-9-3 日通本社ビル6階
[設立] 2004年4月1日
[資本金] 3,000万円
[従業員数] 231名(2011年12月1日現在)
日通グループの情報サービスの中核を担う ために2004年設立。システムインテグレー ションやコンサルティング、運用アウトソー シングなどを中心に、IT全般にわたる事業 を幅広く展開。

特記事項

  • この記事は、日経BP/ITpro(2012年3月6日)に掲載されたものです。
  • Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
  • Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
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