流通小売業向けソリューション「RealGate™」の基盤に日立の「Cosminexus」を採用。
顧客メリット向上のために信頼性を強化
1953年に国内初のセルフサービス方式を導入するなど、日本の流通業の近代化に大きく貢献してきた日本NCR株式会社(以下、日本NCR)は、リアルタイム・リテーリングを実現するパッケージとして、流通小売業向けPOSリアルタイムオンラインシステム「RealGate(リアルゲート)」を販売している。RealGateは、センター集約型オンラインシステムの短期構築を目指す百貨店・スーパー・チェーンストアで、需要が急増しているため、Webアプリケーションサーバとして日立の「Cosminexus(コズミネクサス)」を採用し、インフラを強化した。信頼性・性能・サポートを併せ持つCosminexusの採用で、日本NCRは顧客満足度の向上と拡販に注力できる体制を実現したのである。
日本NCR株式会社
流通システム本部
執行役員
本部長代行
鵜飼信久氏
1970年から店舗レベルのPOSリアルタイムオンラインシステムを提供してきた日本NCR。百貨店POS累計出荷台数では42%のシェアを誇る(出典:2005年DSS研究所)。エンタープライズレベルのPOSリアルタイムオンラインシステムを1983年より提供を開始し、百貨店を中心に導入されてきた。
「POSの役割を店舗内の売上処理にとどめることなく、エンタープライズレベルでリアルタイムな情報集約を行うオンラインシステム構築の提案が、日本の百貨店で高く評価されてきたのです」と鵜飼氏は言う。
POSデータを夜間バッチで本部に集める仕組みに比べて、リアルタイム・リテーリングを実現すれば、顧客サービスが格段に向上する。
たとえば、商品購入時に付加されたポイントをすぐに別の店舗で使用するといったことができる。また、店舗間での在庫引き当てや、受発注のタイミングも早くなり、品切れが削減できる。さらに、人気の商材を確保したり、本部一括発注をするなど、戦略的な仕入れも展開できる。
「クレジットカードの判定やルールにもとづいた割引処理なども自動化して監査記録を残したり、お客さまの情報を一元管理できますので、経営の透明性やコンプライアンスを高めるうえでも貢献します」と鵜飼氏は付け加える。
日本NCR株式会社
流通システム本部 SA開発担当第一
RealGate開発担当
担当部長
稲田隆司氏
インターネット時代を迎え、スーパーやチェーンストアでも、コンビニエンスストア並みの機敏なマーチャンダイジングや、多様なサービスで競争力を高めたいというニーズが高まってきた。そこで日本NCRは2002年、流通小売業向けPOSリアルタイムオンラインシステム「RealGate」を発売した。
RealGateは、センター集約型のPOSオンラインシステムを短期間で構築するためのパッケージ製品だ。
RealGateは、店舗で発生するあらゆる売上データを取り込み、営業活動の実態をリアルタイムに把握するためのさまざまなアプリケーションを実装している。
これらのアプリケーションは共通プラットフォーム上で稼働するため、販売計画などの基幹系業務まで容易にリアルタイム化できるのである。
共通プラットフォームは、店舗システム、Webアプリケーションサーバ、データベースサーバの3階層で構成される。業務ロジックを担うWebアプリケーションサーバとして、2002年当初はオープンソースを使っていた。
「発売後短期間で、10社以上で導入が進み、個別対応をしてきました。さらに需要の拡大が見込まれるなかで、Webアプリケーションサーバの信頼性とサポート体制を強化するため、商用製品へ移行することが急務になってきたのです」と稲田氏は説明する。
日本NCRは、商用Webアプリケーションサーバを選定するにあたり、まずは機能と価格で2つの製品に絞ってから詳細な性能検証テストを行った。
日本NCRは、外部プロダクト選定時の評価基準を標準化して定めているが、その指標は20〜30に及ぶ。たとえば処理性能としては、ミリセカンド単位のレスポンスを追求している。
この厳しい性能評価テストにおいて、Cosminexusは総合的に高い評価を獲得した。特に、安定性に優れていることは高く評価された。
耐障害性も突出して優れていた。サーバが二重化されているときに、片方のサーバの電源を抜くといった過酷な障害テストでも、Cosminexusは、スペック通りに難なく切り替えを行い、1件のロスやエラーもなく稼働し続けた。
「お客さまの商品購入時に付加されるポイントが付加されなかったら大問題です。サービスを止めるわけにはいきません。万一の障害時でもCosminexusなら各種ログが詳細に記録されるため、障害原因を容易に判別できます」と稲田氏は語る。
Cosminexusの実行環境は、「uCosminexus(ユーコズミネクサス) Application Server」が担う。日立は、Webアプリケーションサーバの性能を左右するJava™ VMのソースコードを保有しているので独自に機能拡張や最適化を行い、ハイパフォーマンスを実現している。また、Java™VMのメモリー使用状況に関する情報や、性能解析トレース情報も容易に取得できるので、迅速な障害対策を可能にする。
「機能や性能について質問や問題を投げかけたときの対応も日立は非常に速く、『何か起きたら、Cosminexusの開発者が直接対応してくれる』という安心感を抱きました」と稲田氏は言う。
2005年8月、日本NCRはCosminexusの採用を決定。オープンソースからCosminexusへの移行は、わずか2日程で完了した。
2005年9月から、Cosminexusを組み込んだRealGateを顧客先に納入を開始。すでに複数のユーザー企業で安定稼働を実証し続けている。Cosminexusの採用により、日本NCRは、顧客メリットに貢献するアプリケーションの機能強化や拡販に力を注ぐことができるようになった。
「Webアプリケーションサーバは、技術革新が急ピッチで進んでいる分野でもありますから、日立も最新技術にさらに磨きをかけていただきたい。お客さまの価値を高めるための革新的で高信頼なソリューションを提供するために、ともに挑戦を重ねていきましょう」と鵜飼氏は、Cosminexusのたゆまぬ進化に信頼と期待を寄せている。
RealGate システム概要
USER PROFILE (2014年8月現在)
1953年に日本初のセルフサービス方式を提供、1970年には日本初のオンラインPOSシステムを発表するなど、流通業界の近代化に貢献。百貨店や専門店、スーパーマーケットなど、さまざまな業態のビジネス現場から培った経験やノウハウと、無人レジなどの最新テクノロジーを採り入れながら、常に顧客とエンドユーザーの接点に目を向けたソリューションを提供している。