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毎日約1,400本ものジョブネットを安定稼働。
「JP1」の豊富な機能を活用し、
運用効率アップとともに内部統制も強化

世界トップクラスの“ばね”技術を中核に、幅広い事業を展開する日本発条株式会社(以下、ニッパツ)では、ERPシステムの「SAP® ERP 6.0」へのアップグレードを契機に、日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony(ブレードシンフォニー)」や「日立ディスクアレイサブシステム」を導入し、IT基盤と運用体制を刷新。

さらに、バッチジョブ運用の安定稼働と運用効率アップを目的に、日立の統合システム運用管理「JP1」のジョブスケジューラ「JP1/AJS2」にジョブ管理ツールを統一。
毎日約1,400本ものジョブネットの安定稼働と運用効率アップに加えて、アクセス制御や証跡管理など、内部統制も強化した。

ERPのアップグレードを機に
IT基盤と運用体制を刷新

石北 雅士氏の写真
日本発条株式会社
企画本部
情報システム部長
石北 雅士氏

五十嵐 祐二氏の写真
株式会社 ニッパツサービス
情報システム部長
五十嵐 祐二氏

自動車用懸架ばね、自動車用シート、HDD用サスペンションなど、ばねを中心としたキーパーツ製造などで、世界的規模の躍進を続けるニッパツ。同社は、新規事業の開拓とグローバル化への対応を目標に、基幹システムにERPパッケージ「SAP® R/3」を導入。2008年1月には、その最新版である「SAP® ERP 6.0」へのアップグレードを果たした。その際に、ERPのアップグレード・コンサルティングやサーバとストレージシステムの更新、信頼性の高いデータセンターでの基幹システム運用といった複数要件を一括して担当したのが、日立である。

同社のシステムの責任者である石北氏は、「サーバのサイジングから、BCP(事業継続計画)を意識したデータセンター移行まで、日立に一貫した対応をしてもらい、高信頼なシステム環境を作り上げることができました」と評価する。

また、システムをより安定して稼働させるために、ジョブ管理ツールの見直しも行った。

ニッパツグループのシステムを管理する株式会社ニッパツサービス(以下、ニッパツサービス)の責任者・五十嵐氏は、「『安心・安定』をキーワードとして、ネットワークやシステム連携などを見直し、さらに、バッチジョブをスケジュール運用するジョブ管理環境も一新しました」と語る。

大規模システムへの対応など
総合的に「JP1」を評価

金子 茂氏の写真
株式会社 ニッパツサービス
情報システム部 主任
金子 茂氏

従来のジョブスケジューラは、バッチサーバに共存する形で導入されていたため、バッチの処理負荷が増大すると、バッチサーバのレスポンスが悪化したり、バッチジョブが停止してしまう危険を抱えていた。

また、当日実行予定のジョブネットが1画面に全て表示されてしまうため、画面をスクロールして探さなければならなかった。さらに、ジョブネットのマップが自動生成されるため、マップが日々変化してしまい、該当するジョブネットを特定するのに時間を要していた。

そこで、このような課題を解決して、バッチジョブ運用の安定稼働と運用効率アップを目的に、以前からグループ企業のシステム運用でも利用していた、日立の統合システム運用管理「JP1」のジョブスケジューラ「JP1/AJS2」にジョブ管理ツールを統一した。

「大規模システムに対応し、現在抱えている問題を改善できる製品として、JP1を選びました。もうひとつ重視したのは、拡張性です。ジョブ管理にとどまらず、監視を含めたさまざまな角度からの、統合的な運用管理ができる点を評価しました」(五十嵐氏)。

教育体制が整っていることも、JP1が選ばれたポイントだ。

日立では「JP1認定資格講座」を開催しており、運用管理者がこの講座を受講することで、短期間で運用管理のポイントやJP1に関する知識とスキルを身につけて、JP1の導入をスムーズに進めることができた。

ニッパツサービスで運用管理を担当する金子氏は、「まず私自身が、認定講座の受講とその後の認定試験を受験し、JP1認定コンサルタントの資格を取得。さらに、アウトソーシング先の技術者にも講座を受講してもらい、技術力とJP1に関する知識を同じレベルにしてもらうことで、さまざまな運用ノウハウを正確に伝えることができたのです」と語る。

ジョブネット構成を適正化
スケジュールミスも低減

現在、JP1/AJS2で業務を実行する対象は、ERP用に導入した日立のBladeSymphony のハイエンドモデル「BS1000」を中心とした約30台のサーバである。

運用管理サーバには、BladeSymphony の小型高集積モデル「BS320」を採用。1台の予備サーバを複数のサーバで共有する「N+1コールドスタンバイ」により、ERPシステムの安定稼働とともに、運用管理サーバそのものの可用性も向上。複数のサーバ間にまたがって動くジョブも安定して運用できるようになった。

また、複数のジョブネットをネスト(階層化)させて、まとめるなどの整理統合により12%程削減し、ジョブネット構成を適正化。各ジョブIDにコメント情報を加えることで、ジョブの処理概要も把握しやすくなった。

スケジュール管理を工夫したことも、可用性の向上に貢献している。

「当社のお客さまは、業界ごとにカレンダーが大きく異なります。従来は、取引先別のカレンダーを見ながら、ジョブの起動タイミングを個別に設定していました。そこで、JP1/AJS2でカレンダー定義専用のジョブグループを作り、これを参照してジョブネットが起動する設定にしたのです」(金子氏)。

これにより、ジョブネットごとのスケジュール設定が不要となり、作業負荷が軽減。スケジューリングを原因とするトラブルも激減した。

メール自動通知で運用効率アップ
ジョブ定義修正作業も大幅削減

運用効率も大幅に向上した。

統合コンソール「JP1/IM」を用いて、各種イベントを統合監視。バッチジョブの異常終了や実行遅延などの障害をメールで自動通知し、オペレータの負荷を減らすとともに、作業漏れ削減にもつながっている。

ジョブ定義の修正作業には、ジョブ定義をMicrosoft® Excelで編集し、一括定義ができる「JP1/AJS2 - Definition Assistant」を活用。

「大量にジョブ定義を修正する際、大幅に作業工数を減らすことができました。この機能は、ジョブ定義の管理資料作成やジョブ定義内容のチェックにも活用しています」(金子氏)。

アクセス制御と証跡管理で
内部統制も強化

従来は、担当するジョブの実行環境などは、ジョブの制御や定義変更の権限をもつ、運用管理者しか参照できなかった。JP1では、グループ単位など柔軟にアクセス権限を設定できるため、開発担当者に対しては参照権限のみを設定することで、開発担当者にもジョブスケジュールを公開することが可能となった。

さらに2008年9月には、監査証跡管理「JP1/NETM/Audit」を導入。ジョブ実行履歴やジョブ定義変更履歴などの証跡を保存し、内部統制の強化に役立てている。

「こうした効果は、JP1の豊富な機能を活用して、運用管理を総合的に刷新したからこその成果です。今後もJP1のさまざまな機能を活用し、適用範囲を広げていきたい」(石北氏)。

世界的規模の躍進を続けるニッパツを、JP1と日立の総合力が支えていく。


USER PROFILE


サッカーやラグビーファンに親しまれる「ニッパツ三ツ沢球技場」

ニッパツ(日本発条株式会社)

[本社] 神奈川県横浜市金沢区福浦3-10
[設立] 1939年9月
[資本金] 170億957万円(2008年3月末現在)
[従業員数] 17,324名(連結、臨時従業員含む2008年3月末現在)


懸架ばね、自動車用シート、精密ばね、HDD用サスペンション、HDD用機構部品、産業機器(ろう付製品、セラミック製品、配管支持装置、ポリウレタン製品、プリント配線板、駐車装置)、セキュリティ製品などの製造販売を行う

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 4月29日号」に掲載されたものです。
  • JP1JP1 認定資格制度の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • ERP:Enterprise Resource Planning JP1/AJS2:JP1/Automatic Job Management System 2 JP1/IM:JP1/Integrated Management
  • SAPは、SAP AGのドイツおよびその他の国における登録商標です。
  • Microsoft Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標、または登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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