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データセンターに求められる高い可用性を「JP1」で実現。
グループ内外の多様なニーズにも統合管理で効率良く対応

株式会社メイテツコム(以下、メイテツコム)のデータセンター(以下、メイコムデータセンター)では、大規模システムの可用性を維持するために、日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」で統合運用管理を行っている。たとえば、名鉄運輸株式会社(以下、名鉄運輸)の基幹システムの管理では、全国に分散配置した約350台のPCサーバ(店所サーバ)を管理し、メインフレームとの複雑なデータ連携も安定稼働させている。また、サーバのハウジングサービスでは、顧客ごとに異なるサービスレベルを維持するために、きめ細かい個別対応を行っている。しかも、多種多様な運用管理情報を1台の管理コンソールで統合管理。大規模システムの安定稼働を効率よく実現している。

高可用性に加えて多様なニーズへの対応が求められるデータセンター

横井 正人 氏の写真
株式会社メイテツコム
事業統括本部
メイコムデータセンター
ゼネラルマネージャー
横井 正人 氏

大手私鉄の名古屋鉄道株式会社(以下、名古屋鉄道)を中心に、約250社の関連企業で形成される名鉄グループ。運輸事業から、不動産、レジャー、流通など、幅広い業種/業態が所属する同グループにあって、情報システム会社として30年近い歴史を培ってきたのが、メイテツコムである。

メイテツコムは、システムの企画/開発から運用管理支援や情報処理アウトソーシングまで、総合的なサービスを提供できるのが特長である。グループ企業の多様なニーズに対応してきたノウハウをグループ外企業にも積極的に提供しており、現在ではグループ外企業への売上が3割を占めるほどである。

メイテツコムは基本的に顧客別あるいは業種別で、ニーズ密着型の活動をする。これに対して、業種などを横断した対応をするのが、メイコムデータセンターである。メイテツコムの顧客としては、名古屋鉄道、名鉄運輸、名鉄百貨店、名鉄観光サービスをはじめとするグループ企業のほか、中部地方の有力企業や自治体なども数多く名を連ねている。

「メイコムデータセンターでは、機密性/完全性/可用性という3つのテーマを追求し続けてきました」と、メイテツコム 事業統括本部 メイコムデータセンター ゼネラルマネージャー 横井 正人氏は語る。その成果は、日本情報処理開発協会が規定するISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を2002年に取得したことにも現れている。

数多くの顧客を抱えるデータセンターであるだけに、機密性/完全性/可用性という3つのテーマの中でも、可用性には特にこだわってきた。サービス提供は24時間365日対応があたりまえ。CVCF(Constant-Voltage Constant-Frequency)設備に加えて自家発電設備を備え、建物の耐震構造のみならずフロア単位で免震構造にするなど、災害への備えも手厚い。

スケールメリットを出すためのデータセンター利用から、きめ細かい個別ニーズの対応へと、顧客のニーズはシフトしているなか、さらに最近ではもうひとつのテーマとして、すべての運用管理情報を一元的に把握できる「統合管理」がクローズアップされるようになってきた。

「運用管理コストを上げずに多様なニーズに応えるためには、統合管理の観点が大事。メイテツコムとしては、グループ外にもビジネスをさらに伸ばしたいと考えていますが、この経営課題を実現するためにも、データセンターは統合管理を追求していかなければなりません」と横井氏は強調する。

大規模分散システムの統合管理を実現するために「JP1」を導入

名鉄グループではミッションクリティカル性を重視し、長年にわたって、日立のメインフレームを中心に堅牢なシステムを構築/運用してきた。初めて大規模なオープンシステムが登場したのは、2001年のことだ。名鉄運輸が、基幹オンラインシステムをダウンサイジングし、同時に、インターネットを使った貨物追跡サービスも開始したのである。

名鉄運輸のシステムは、全国約300ヵ所の営業店に配置された合計約350台の店所サーバからのデータを、データセンターに設置したセンターサーバで処理したうえで、日立のエンタープライズサーバ「MP5600シリーズ」ともデータ連携させる大規模システムである。メイコムデータセンターでは、センターサーバと約350台の店所サーバまで管理するというニーズに、管理要員を増やすことなく対応しなければならなかった。またクライアント/サーバ型のシステムであるため、店所サーバへのプログラム配布を確実に行う手段も用意しておく必要があった。

これらの課題を解決する仕組みとして、日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」を選んだのは、メイテツコムが求める「統合管理」を高いレベルで実現できたからである。

「JP1は、ネットワーク監視、サーバ監視、データベース監視、ジョブ管理など、多様な機能がバランスよく統合されています」と横井氏は言う。豊富な機能を過不足なく実現しているため、将来にわたって、運用管理に関する最新技術を幅広くキャッチアップできるのも魅力だった。

ジョブ管理の機能が優れていることも評価ポイントとなった。

名鉄運輸のシステムでは、大量のトランザクションデータを処理するために、きめ細かく、しかも高い信頼性で、大規模なジョブ管理ができる仕組みが必要だった。

メイコムデータセンターでは、2001年に名鉄運輸の基幹システムの運用管理を目的にJP1を導入。使用した結果、性能と使いやすさを高く評価して、メイコムデータセンターのオープンシステム管理の標準ツールに定めたのである。

稼働予測や予防保守など運用管理機能をさらに充実

蜷川 三郎 氏の写真
株式会社メイテツコム
事業統括本部
メイコムデータセンター
センター事業担当
マネージャー
蜷川 三郎 氏

横幕 浩一 氏の写真
株式会社メイテツコム
事業統括本部
メイコムデータセンター
センター事業担当
横幕 浩一 氏

メイコムデータセンターでは現在、名鉄運輸系、名古屋鉄道系、グループ外企業のハウジングサービスと、大きく分けて3系統のサーバを管理している。

名鉄運輸系としては、ジョブ管理/サーバ監視/ネットワーク監視を実施。センターサーバや店所サーバのログ管理やプログラム配布にもJP1を使っている。

名古屋鉄道系のサーバに対しても、ジョブ管理/サーバ監視/ネットワーク監視などの基本サービスを行っている。

サービスレベルに対する要望が多様なのは、ハウジングサービスの顧客である。ある顧客はセキュリティに高い要求があり、データの改ざんがないか、また、ファイルへのアクセス履歴まで記録することを求めている。ある顧客はレスポンス維持への要求が強く、パフォーマンス管理を求めている。つまり、顧客によって、収集するメッセージも異なり、対応も異なるのである。

こうした多様な管理を、データセンターのオペレータの人数を増やすことなく、24時間確実に実施できるのは、JP1の統合管理機能のおかげである。ネットワークの現状から、サーバの稼働状況、ジョブ自動運用の状況まで、統合コンソール「JP1/Integrated Manager」の画面1つで集中管理できる。一部で、運用管理者がプログラミングした独自ツールも使っているが、そのツールの情報まで統合コンソールに一括表示できる。しかも、顧客ごとに設定してある個別のしきい値を超えた場合にはパトロールランプが点滅して知らせるため、オペレータは常に監視している必要はない。

「JP1の統合運用管理によって、大規模分散システムを安定稼働させ、データセンター全体の可用性を向上させることができました」と、メイテツコム 事業統括本部 メイコムデータセンター センター事業担当 マネージャー 蜷川 三郎氏は喜ぶ。

データセンターのサービスはさらに多様化していく。2004年3月には、サーバリソース監視サービス、プロセス監視サービスを開始する。セキュリティを強化するために、資産管理や構成管理も導入する計画だ。さらに、稼働予測を行ったり、オペレータの対処記録をデータベース化して、予防保守に活かしたいとも考えている。運用管理のライフサイクルを網羅的にカバーするフレームワークとしてITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)への取り組みもスタートした。

「今後も運用管理で必要となる機能は増え続けていきます。さまざまなことをするときに100種類のソフトウェアを使っていても、オペレータが見る画面は1つに統合されている、そういう理想的な統合管理を実現できるのがJP1なのです」と、メイテツコム 事業統括本部 メイコムデータセンター センター事業担当 横幕 浩一氏は強調する。

さらに横井氏は、「日立の提案するサービスプラットフォームコンセプトHarmonious Computingに共鳴しています。運用管理は最終的には、自律運用管理を目指すべきであり、この領域での日立の活躍にも期待しています」と語る。今後の技術開発による運用管理工数の劇的な削減にも、大きな期待が寄せられているのである。

メイコムデータセンターの統合運用管理概念図

USER PROFILE

株式会社メイテツコム

[本社] 名古屋市中村区名駅1-2-4 名鉄バスターミナルビル10階
[設立] 1976年9月27日
[資本金] 4億円
[売上高] 77億円(2003年3月期)
[従業員数] 370名

名鉄グループの情報システム会社として、システムの企画、開発、情報処理のアウトソーシングまで 総合的に提供。VANの運営、ネットワーク構築、業種別パッケージの開発、インターネットコマース・電子商取引システムの構築、マルチメディア・コンテンツの企画/制作など、多様なシステム開発/インテグレーション事業を手がける。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ」 2004年3月22日号 に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 記載の会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
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