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ジャパネットたかたのスピード経営を
インフラとして支える「COBOL2002」

2010年はCOBOLが誕生してから50年という記念すべき年です。

現在もCOBOLは世界中の企業や公共機関のシステムを動かしており、 その膨大な資産はIT社会の根幹を支え続けています。
そして日本でも、多くの企業で加速する基幹系システムのオープン化に際し、 安心・確実な業務の移行・継続を可能とするCOBOLの価値が見直されています。

独自のメディアミックスショッピングで家電通販最大手となった株式会社 ジャパネットたかた(以下、ジャパネットたかた)も、 基幹システムのマイグレーションにあたり、主要開発言語にCOBOLを選定。
日立のCOBOL2002と統合システム運用管理「JP1」を適用し、 スピード経営を支える新基盤をすべて自社内で再構築することに成功しました。

星井 龍也 氏の写真
株式会社 ジャパネットたかた
専務執行役員
星井 龍也 氏

桂城 隆 氏の写真
株式会社 ジャパネットたかた
情報システム部 部長
桂城 隆 氏

松瀬 勇治 氏の写真
株式会社 ジャパネットたかた
情報システム部 システム開発課
チーフ代理
松瀬 勇治 氏

スピード経営を支えるため基幹システムを自社でオープン化

テレビ・ラジオショッピングをはじめ、新聞チラシ、カタログ、イン ターネット、モバイルなど、多彩なメディアを通じて商品の魅力を訴 求する「メディアミックス」を確立させ、急成長を続けるジャパネット たかた。

同社のモットーは、単に商品を売るだけでなく、商品の価 値を最大限に表現し、それを使うことにより生活にどのような変化 があるのかを伝え、提案する「快適ライフのパートナー」をめざす ことにあります。

そのため、商品の仕入れから各媒体の企画・制 作、受注、倉庫管理、アフターフォローに至るまでを自社の社員が 一貫して担当する「自前主義」を貫き、常にお客さまの満足を追 求することを企業ミッションと位置づけています。

その姿勢は情報システムの構築・運用においても同様で、 2008年にはそれまで委託開発していたメインフレーム上の基幹シ ステムを自社内でオープン化し、開発・運用を自社のみで行って いく決断を下しました。その経緯を、専務執行役員の星井 龍也 氏は次のように振り返ります。

「通信販売というビジネスでは、新しいサービスが頻繁に追加 されます。
例えば、モバイルPCとセット販売されるデータ通信サー ビスを扱う際には、開通工事の状況確認やセッティング、販売数 に応じたインセンティブなどを管理するメニューを基幹システムに 追加しなければなりませんでした。最近では、政府のエコポイント 対応などでも同様です。
こうしたサービス追加のたびに外部に開 発を委託していては、数か月から1年もの期間がかかり、厳しい競 争に打ち勝つことができません。
差別化を図るには、自社内で開 発に責任を持ち、スピードと方向性を見極めながら前進させる体 制、船で言うならセール(帆)とマスト(帆柱)をしっかりさせること が何よりも重要だと考えたのです」。

ジャパネットたかたは2005年、すでにオープン系で構築してい た情報系システムから徐々に自社開発へと路線を転換。システム 部門の社員に一定のスキルと自信が備わり始めた2008年1月から、 基幹システムのオープン化を通じて自社開発体制を確立させるプ ロジェクトをスタートさせました。

当時、メインフレームのCPU利用率 が90%を超えていました。さらに、約6,000万件のデータをインター ネット通販のEC※1サイトから利用したかったことも、「マイグレーショ ンに踏み切った大きな理由だった」と星井氏は付け加えます。

※1
Electronic Commerce

メイン開発言語をCOBOLにすることを宣言

 「そして、このマイグレーションプロジェクトを契機に、当社のメイ ン開発言語をCOBOLにすることを宣言しました」と語るのは、情 報システム部 部長の桂城 隆氏です。

桂城氏によれば、ジャパ ネットたかたでは十数年前のメインフレーム導入以来、コーディン グやネーミングの規約を守り続けながら約700本/50万ステップに およぶCOBOLプログラムを蓄積してきたとのこと。

その貴重な経 営資産をオープン基盤でも継承し、スピード経営に欠かせない高 い生産性を維持するためにも、「COBOL以外の選択肢はあり得 なかった」と強調します。

星井氏も「COBOLは歴史が長く、現在も国際規格委員会の 手で保守され続けています。ビジネスロジックの書きやすさにおい ても右に出る言語はありません」と明言。

「当社は基幹系以外にも ECサイト、コールセンター、物流センター用の3つのシステムを持っ ており、それぞれの担当者がVisual BasicやC#、Javaといった開 発言語でシステム構築を行ってきました。しかし全体業務を知る ためには基幹システムに踏み込み、COBOLのビジネスロジックを 理解することが必要です。そのためプロジェクトではCOBOLを まったく知らなかった技術者にも、データベースアクセス部分の変 換ツール開発などを通して、実地でCOBOLを学んでもらいまし た」と続けます。

一方、実務作業の指揮に当たった情報システム部 システム開 発課 チーフ代理の松瀬 勇治氏は、「初めてCOBOLに触れたと いう若手も、記述が非常に容易なことから、予想以上に短期間で 戦力になりました。基幹業務の全容を知りたいという積極性も強く 感じられましたね。自分たちがすべてのシステム開発に責任を持 ち、運用していかなければならないという自覚が、大きなモチベー ションにつながったのでしょう」と語ります。

松瀬氏らは各現場担当 者の協力も得ながら、テストと検証に多くの時間を費やし、コン バート後のプログラム品質向上を徹底的に追求。近年ほとんど例 のない、自社内でのマイグレーションを2009年8月に予定通り完了 させたのです。

信頼性と互換性の高さでCOBOL2002を選択

今回のプロジェクトで最も重要な役割を果たしたツールが、既 存のビジネスロジックをオープン環境へ容易に移行できる日立の COBOL2002でした。

数あるCOBOL開発・実行環境の中から ジャパネットたかたがCOBOL2002を選んだのは、「信頼性と互換 性の高さを評価したからだ」と星井氏は語ります。

「日立さんのソ フトウェア製品は基本がしっかりしていて安定性が高い。 COBOL2002も信頼性や互換性の高さは定評どおりで、メインフ レームで使用していた74年規格版COBOLが、UNIX上の COBOL2002でそのままきちんと動作します。変換部分によけいな 手間をかける必要がなかったことが、マイグレーションを成功させ た大きな要因の1つでした」(星井氏)。

桂城氏は、ジョブコントロールの置き換えに適用されたJP1にも 言及。

「JP1/ScriptとJP1/AJS2※2を組み合わせることで、従来の ジョブ制御機能をほぼそのままの形で移行できました。帳票系で も日立さんのソフトウェアを使いましたが、驚くほど手間がかからず、 作業が効率的に進められたことが印象的です」と笑顔で語ります。

今では情報システム部門の全員がCOBOLを不自由なく読み 書きできるようになり、基幹系の開発スピードはオープン化前の3 倍にも高まったとのこと。複数言語を操るスキルと自信が身に付い たことで、システム間の壁もなくなり、業務知識の共有が急速に進 んだこともマイグレーションプロジェクトの大きな成果となりました。

※2
JP1/Automatic Job Management System 2

オープン化の成功で企業文化の継承に自信

「基幹システムのビジネスロジックを正確に移行するだけでなく、 今後も長期にわたって継続利用できる開発・実行環境を整備す るため、われわれは自社で理解でき、何かトラブルが起こっても自 力で復旧できるシンプルな技術を選択しようと考えました。その基 盤となったのが開発言語としてのCOBOLであり、既存資産の オープン活用を支援してくれるCOBOL2002だったのです」と、 COBOLが持つ資産継承力とパフォーマンスの高さを改めて評 価する星井氏。

今後は6,000万件のデータを活用した、マーケティ ング担当者に役立つ機能追加などを計画中とのこと。また、攻め の経営に寄与するため、先進的なクラウドサービスの活用も視野 に入れていると語ります。

「企業文化の継承とスピード経営に必 要なのは、純粋なビジネスロジックとデータベース入出力の部分 のみでいいと私は考えています。それ以外の部分は専門のベン ダーさんにお任せすれば、常に最適なIT環境がスピーディに構 築できる。その意味で大いに期待しているのがクラウドです。今後 は日立さんがお持ちのクラウドサービスの活用も積極的に検討し ていきたいと思います」(星井氏)。

「メディアミックス」と「自前主義」という2つの事業方針を掲げな がら、常にお客さまの満足を追求するための新たなチャレンジを 重ねてきたジャパネットたかた。全員が一丸となって取り組んだマ イグレーションプロジェクトの成功は、「自前主義」という企業文化 が間違いなく社員一人ひとりの人財力と情熱に裏打ちされてい ることを証明しました。

これからも日立は、高信頼のオープンミドルウェアを核としたサー ビスプラットフォームの拡充と幅広いITサービスの提供により、同 社のさらなる競争力向上と企業文化の継承を力強くサポートして まいります。

USER PROFILE

株式会社 ジャパネットたかた

株式会社 ジャパネットたかた

[本社] 長崎県佐世保市日宇町2781
[設立] 1986年1月
[資本金] 1億円
[従業員数] 501名(内パート・アルバイトを含む)(2010年4月1日現在)
[業務内容] 家電、雑貨、健康食品などを扱う通信販売

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2010年8月号」に掲載されたものです。
  • 他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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