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ミドルウェア

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開発環境をオンデマンドで提供する 「SecureOnline」サービス

システム開発の現場では、本番システムだけでなく、開発用のハードやソフトの予算が必要です。 また調達にも煩雑な社内手続きが必要で、開発スケジュールが圧迫されるほか、分散開発環境におけるセキュリティ対策などでも多大な負担が生じます。

そこで日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(以下、日立ソフト)は、VMware®(ヴイエムウェア)とBladeSymphony(ブレードシンフォニー)、 日立ディスクアレイサブシステムを基盤とした仮想サーバ環境をオンデマンドで提供する「SecureOnline(セキュア オンライン)」サービスを開発。 サーバ調達コストの削減と分散開発環境の統制強化を実現しました。
このサービスの信頼性と業務効率の向上を支えているのが、 JP1やCosminexusをはじめとする日立オープンミドルウェアです。

BladeSymphonyとVMware®による
仮想化環境

中村 輝雄 氏の写真
日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
セキュリティサービス本部
本部長
SecureOnline主席アーキテクト
中村 輝雄 氏

ミッションクリティカルな大規模システムやパッケージ開発などで培った 高品質・高信頼な「モノづくり」の技術とノウハウを基盤に、常に先進的な 事業領域への挑戦を続けている日立ソフト。日本の基幹産業をはじめと する幅広いお客さま企業のシステム開発を手がけている同社では、社員 と開発パートナー会社も含めた約13,000人ものエンジニアが多数の開発 プロジェクトに携わり、保持する開発用サーバも2006年時点で約1,600台 に上っていました。

「しかし開発用サーバは一定期間しか使わず、CPU稼働率は5%程度 でしかありません。また、サーバが分散していると運用面でもセキュリティ 面でも統制がとれなくなるおそれがあります。そこで開発用サーバの TCO※1削減と統制強化を図るため、サーバ仮想化技術の活用とデータ センターへの集約を考えました」と語るのは、セキュリティサービス本部 本 部長の中村 輝雄氏。

日立ソフトでは早速、厳重なセキュリティや災害対策を施したデータセン ターへのサーバ集約を実行。BladeSymphonyの高性能サーバモジュー ルと日立ディスクアレイサブシステムで構成されたサーバ環境に、仮想化 ソフトウェアVMware®をインストールすることで、900台の論理サーバに 多重化する環境を構築しました。「これにより、開発用サーバのコストは従 来の半分以下になりました。またデータセンターへの集約で、運用コストの 低減とセキュリティ強化も実現できたのです」(中村氏)。サーバの更新 時期に合わせ、既存サーバをBladeSymphonyとVMware®の仮想化環 境に順次置き換えつつ、2006年4月より社内向けの「開発サーバ ホスティ ングサービス」がスタートしました。

*1
Total Cost of Ownership

「賃貸マンション」型の
開発環境オンデマンドサービス

仮想化環境を利用した200もの社内プロジェクトからは、「マシンを調達 する手間が省けた」「使いたいときに使える」といった高い評価が寄せら れました。また、多重化環境でもレスポンスにはまったく問題がなく、64bit マシンならではのハイパフォーマンスで開発効率の向上にも寄与したとの こと。こうした社内実績をふまえ、2007年1月からは同環境をMSP※2サー ビスとして外部にも提供する「SecureOnline統制IT基盤提供サービス」 が開始されました。

「お客さまのシステム開発を担うIT基盤を1か月単位で購入していただ ける、国内でも例のないユーティリティコンピューティングサービスです。従 来の開発用サーバ環境を『注文一戸建住宅』に例えるなら、Secure Onlineは『賃貸マンション』です。もうお客さまは、面倒な設計作業や高い 構築費、長期の構築期間などに頭を悩ませる必要がありません。Secure Onlineなら月々の家賃を支払うだけで、ご希望の部屋にすぐ入居でき、 OSやミドルウェア、アプリケーションといった“インテリア”も自在に選ぶこと ができるのです」(中村氏)。

セキュアなクローズドネットワーク内にお客さまやプロジェクト別に構築さ れた仮想サーバ環境は、申し込みから3営業日内に準備され、予算申請 から廃棄までの面倒な手続きを大幅に軽減。IT基盤はISMS※3に準拠し たデータセンターで運用されるため、お客さまデータの保全やセキュリティ 対策においても高度な運用統制を実現することができます。

「通常のサーバなら資産計上してバランスシートに載せる必要がありま すが、SecureOnlineなら月々の経費で落とせます。これもお客さまにとっ ては大きなメリットになるはずです」と笑顔を見せる中村氏。このサービス を利用することで、お客さま企業はイニシャルコストの削減、開発スケジュー ルの短縮、開発環境のスケーラブルな拡張、開発プロセスの統制など、さ まざまな効果を期待することができます。

*2
Managed Service Provider:お客さまの情報システムの運用管理を代行するサービス提供者。お客さまIT資産の運用 コスト削減および開発IT基盤の統制を強化する
*3
情報セキュリティマネジメントシステム

JP1やCosminexusなど日立オープンミドルウェア製品が
サービスを強力に支援

SecureOnlineが備えるもう1つの付加価値は、信頼性の高い仮想化環 境を安心して利用できるということです。VMware®のほか、Windows®や LinuxなどのサーバOS、CosminexusやOracle Database、SQL Server などの各種ミドルウェアをお客さまのニーズに合わせて選択いただける環 境をご用意しています。その物理的な基盤となるBladeSymphonyは、日立 での確実な動作検証のもと日立ソフトに提供されており、そのシステムパフォー マンスを最大限に活用することができます。また統合システム運用管理JP1 によって、サービス全体の稼働状態や障害発生の予兆が詳細にモニタリ ングされており、万一の際には遠隔監視を行っている日立電子サービス株 式会社が迅速なリカバリーを行うため、システムダウンの心配もありません。

一方、将来的にはSecureOnlineのリアルタイムな利用申請基盤として 注目されているのが、ワークフローによる作業の自動化です。「現在でも契 約の締結からサービスのご提供まで、短期間で対応していますが、Web を通じたお客さまからのリクエストを各部署へ迅速に展開するプロセスで は、受付から申請・承認・回答までを確実に自動化し、新規業務も容易に 開発できるワークフローが欠かせません。現在は試行的に一部利用して おり、今後も適用範囲の拡大で、サービスのさらなるスピードアップを図っ ていきます」(中村氏)。

そのほか、日立ソフトではSecureOnlineを開発環境として社内で積 極活用し、そこで扱うプログラム変更などに関する申請から承認までの 作業の自動化(Cosminexus電子フォームワークフロー)とレポーティング (uCosminexus Business Activity Reporter(ユーコズミネクサス ビジネス アクティビティ レポーター))、申請書類の保管・ 閲覧(DocumentBroker(ドキュメントブローカー)、EUR(イーユーアール)、DataStage(データステージ)、EUR+活文ReportMission(レポートミッション))、 さらにそれら帳票の持ち出し制御による情報漏えい防止(活文NAVIstaff(ナビスタッフ)) を実現する「内部統制支援共通インフラ基盤」を設置。これを社内各 事業部で利用し、お客さまにもご利用いただけるよう取り組んでいます。 このようにSecureOnlineと日立オープンミドルウェアを組み合わせた新し いソリューションも随時ご提供していきます。


SecureOnline統制IT基盤提供サービスシステム構成
図1 SecureOnline統制IT基盤提供サービスシステム構成

既存PCをシンクライアント化して
セキュアな分散開発を実現

SecureOnlineサービスの本格展開にともない、活用シーンも多様化し てきました。その一例が、総合建設機械メーカー「日立建機株式会社」の システム刷新プロジェクトで適用された「シンクライアントソリューション」で す。これは、400人を超える開発パートナー会社のエンジニアを、開発拠点 である茨城県土浦市に集めることなく、セキュアで柔軟な分散開発を実 現するために考案されたソリューションです。

「開発パートナー会社がそれぞれの拠点でシンクライアントPCを利用し、 USBキーによってSecureOnlineの仮想PCにネットワークをつないで開発 作業を行っていただく仕組みです。PC側ではデータのダウンロードや印 刷を行うことも、他のパートナー会社との相互接続もできません。成果物は センターとお客さまの開発サーバ環境に集約されるため、情報漏えいリス クを極小化できます。オンサイト開発につきものの、開発要員の移動費用 や宿泊コストの心配もありません」と中村氏。まさに、分散開発にかかわる コストとリスクを大幅に低減する画期的な開発スタイルといえるでしょう。

このようにSecureOnlineでは、お客さまや開発パートナー会社が仮想 ファイルサーバをセキュアに共有することができます。そこで日立ソフトは 海外の開発パートナー会社にもこのサービスを適用することで、重要なデー タを国内のデータセンターに置いたまま、技術者を来日させることなく統合 テストまでを行えるオフショア開発の仕組みを考案。「すでに、当社の中国 オフショア先に適用し、グローバルなシステム開発における、さらなるコスト 削減とセキュリティ強化につなげています」(中村氏)。


シンクライアントソリューション
図2 分散開発にかかわるコストとリスクを大幅に低減する「シンクライアントソリューション」

サービスメニューをさらに拡張。
進化を続けるSecureOnline

これまでは日立ソフトが管理するデータセンター内にお客さま環境を保 持することで、セキュアで柔軟な開発環境を実現していたSecure Online。 しかしこのソリューションを自社内でも運用したいというニーズが急速に増 えてきたことから、日立ソフトでは「1(ワン)ラックソリューション」という新たなサー ビスメニューを開発しました。

「1ラックのシステムに詰め込まれたSecureOnlineの環境と、当社の運用 マニュアルを、そっくりお客さまにお貸しするフランチャイズモデルです。これ により、重要なデータを自社内で管理しながら、SecureOnlineならではの 高効率で低コストなシステム運用を実現していただけます。他社には容易 にまねのできないシステムだからこそ、外部にも自信を持って提供すること ができるのです」と力強く語る中村氏。日立ソフトのビジネスにおいて、新た なコアコンピタンスになりつつあるSecureOnline。そのサービスの進化と発 展を、日立オープンミドルウェアはこれからもバックアップし続けてまいります。

USER PROFILE

日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社 ロゴ

日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社

[本社] 東京都品川区東品川4-12-7
[設立] 1970年9月21日
[資本金] 341億円
[従業員数] 5,166名(2008年3月31日現在)

[事業内容]
システム開発、サービス、プロダクト&パッケージ、情報処理機器、およびシステムインテグレーションの提供

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2008年7月号」に掲載されたものです。
  • JP1Cosminexusの詳細については、ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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