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ミドルウェア

uVALUE 実業×IT

Hitachi

サービスのさらなる向上と事務処理プロセス自動化を目指し
イメージワークフローシステムを構築。
生保ビジネスの新展開を支えるHarmonious Computing

中小企業向け保険のリーディング・カンパニーである大同生命保険株式会社(以下、大同生命)では、今後の生保ビジネスを支える「新事務システム」を稼働させた。顧客サービスのさらなる向上と、事務処理プロセスの自動化・効率化を図るのが狙いである。この目的を実現するためには、顧客情報の一元管理と各種の業務をシームレスに連携できるインフラが不可欠。そこで同社では、システムの中核となるイメージワークフローシステムに日立のワーク管理製品「WorkCoordinator」を採用。また「Cosminexus」「日立Hub&Spoke」「JP1」など、日立が提案するサービスプラットフォームコンセプトHarmonious Computing(ハーモニアスコンピューティング)を構成するミドルウェア群も活用し、業界トップクラスの先進的なビジネス環境を実現している。

コアビジネスへの特化で堅実な成長を果たす

山内 茂樹氏の写真
T&D情報システム株式会社
新事務システム開発推進室
部長
山内 茂樹氏

「中小企業市場における制度商品販売」をコアビジネスに、多彩な保険サービスを提供する大同生命。強みを持つ事業領域に注力する戦略が功を奏し、この分野において業界をリードし続けている。同社では「独自性」「先進性」「健全性」の3点を、ビジネス上の重要なキーワードとして掲げている。その具体的な内容としては、企業市場を主要なマーケットとする営業活動、戦略的な業務提携、健全な財務体質などが挙げられる。生保業界全体を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあるが、同社ではこうした強みを武器に堅実な成長を続けているのだ。

また同社では生保事業の社会性・公共性を強く意識し、ディスクロージャーにも積極的に取り組んでいる。同社が数多くの顧客の信頼を勝ち得ているのも、こうした透明性の高い事業展開を行っているからこそと言えるだろう。1999年に実施された太陽生命保険株式会社(以下、太陽生命)との全面的な業務提携に続き、2004年4月にはT&Dフィナンシャル生命保険株式会社を加えた3社と持株会社「株式会社T&Dホールディングス」を設立。異なる分野に強みを持つ3社が連携することで、さらなる飛躍を遂げようとしている。

現代の金融・保険業においては、ITの活用も非常に重要な意味を持つ。そこでグループ企業の情報化を支えるIT企業としてT&D情報システム株式会社(以下、T&D情報システム)を設立。「生命保険会社のシステムは、数十年にもわたる契約を継続的にサポートし続けるため、非常に寿命が長いという特徴があります。しかしその一方で、時代に応じた新たなサービスも展開しなくてはなりません。この相反する条件を確実にクリアし、お客さまへの最適なサービス提供に貢献していきたい」と山内氏は語る。

全サービス向上と業務効率化を実現すべく「新事務システム」の構築に着手

大同生命では、2004年4月より「新事務システム」と呼ばれる新たな業務インフラを稼働させた。システム再構築の背景を、山内氏は「最大の理由はお客さまに対するサービス品質の向上です。保険事務に関する処理は関連会社のT&Dカスタマーサービス株式会社で集中的に行っていますが、ここで処理された内容を各地の支社が知らないとなると、お客さまへの対応に齟齬が生じてしまいます。そこでお客さまがどのチャネルにアクセスされても、統一的な対応や均質なサービス提供が行える環境を目指しました」と説明する。

またもう一つ課題となったのが、事務処理プロセスの効率化だ。もちろん従来から業務のIT化には積極的に取り組んでいた。しかし構築から時間がたつにつれ、個別業務のシステム化だけではカバーできない点も明らかになっていたのだ。  保険業務においては、同じ契約者から同時に異なる二つの申し出が行われる場合がある。たとえば「法人の代表者の名義変更を行おうと思ったら、保険証券を紛失していることに気付いた」といったケースがこれに相当する。この場合、「名義変更」と「保険証券の再発行」の二つの処理が必要だ。

しかし単純に二つの処理を行うことはできない。名義変更が済む前に再発行処理を行ったのでは、旧代表者のまま保険証券を再発行してしまう。このため正しい順番で処理が行なわれているかどうか、必ず人が確認しなくてはならなかったのだ。「新システムでは、契約単位の処理からお客さま単位の処理に移行し、こうした業務と業務をつなぐプロセスそのものもシステム化・自動化したいと考えたのです」と山内氏は語る。

T&D情報システムでは、新事務システム構築のITパートナーとして日立を選択。山内氏はその理由を「複数のITベンダーから提案を受けましたが、日立の提案は『イメージデータを含めた基幹業務ワークフローの実現』『全業務システムのWebシステム化』『メンテナンス性の高さ』『良好な操作性』など、我々の要件をすべてカバーしていました。このため日立をパートナーに選びました」と語る。

Harmonious Computingを構成するプロダクト群を全面的に採用

南條 豊氏の写真
T&D情報システム株式会社
新事務システム開発推進室
課長
南條 豊氏

鈴木 昭広氏の写真
T&D情報システム株式会社
新事務システム開発推進室
リーダー
鈴木 昭広氏

新事務システムには、日立のサービスプラットフォームコンセプトHarmonious Computingを構成する製品が数多く活用されている。

イメージデータも含めたビジネスプロセスの自動化は、ワーク管理製品「WorkCoodinator」で実現。「WorkCoordinatorは大手金融機関でも実績のある製品であり、大規模基幹業務でも安心して利用できる点がポイントとなりました。イメージワークフローが処理する業務データは一日約13万件、イメージデータも一日10万枚弱投入されますが、性能・信頼性面での不安は感じていません」と南條氏は高く評価する。先に述べた業務処理の優先制御を行う仕組みなども、日立と共同開発を行うことで問題なく実現できた。

また分散システムでのWebトランザクション処理には、日立のEビジネスプラットフォーム「Cosminexus」を活用。「こちらの性能・信頼性にも大いに満足しています。新事務システムでは一日15万件程度のオンライントランザクションが発生しますが、Cosminexusはこれを確実に処理してくれています」と鈴木氏は語る。

契約データを管理するメインフレームや周辺システムとの連携には、ハブ&スポーク型アーキテクチャを実現するEAI基盤として、「日立Hub&Spoke」を採用。既存システム間のシームレスな連携が実現できただけでなく、今後他のシステムとの連携の場合にも問題なく実現できる環境を整えた。

Webシステムの構築で問題になったのが画面数の多さである。今回は実に約1,400もの業務画面を設計しなくてはならなかったのだ。そこでCosminexusファミリーの開発ツール「RammWare for JavaTM」を活用。南條氏は「RammWare for Javaは、プログラムレスで画面を生成できますので、開発生産性の向上に絶大な威力を発揮してくれました」とにこやかに語る。

ツインディスプレイの様子
ツインディスプレイを活用し、正確かつ迅速な処理を行う。

業界屈指のシステム環境を実現 グループ企業間連携も可能に

今回構築されたシステム基盤には、新契約業務・保全業務・支払業務・収納業務・コールセンター業務・共通業務など、さまざまな業務が載せられている。新契約業務など単体業務をWebシステム化したケースは他にもあるが、主要な基幹業務をすべて同一基盤上でWebシステム化した事例は保険業界でも他に例を見ない。しかも出力システムを太陽生命と共通化するなど、グループ企業間連携も実現。システムの中には日立以外の製品も利用されているが、こうした他社製品ともスムーズな連携が行われている。

新事務システムの導入メリットを「懸案であったお客さまに対して一元的なサービス提供が行える環境が実現。また保険証券を発送するまでの日程を約3日短縮するなど、ビジネスプロセス自動化に取り組んだ効果も現れています」と力強く語る鈴木氏。

「今回のシステム構築を通じて、日立の基盤ソフトウェアの信頼性や柔軟性の高さを強く感じました。おかげで将来的な発展性も備えたITインフラを確立することができました。しかしサービス品質の追求には終わりがありませんので、Harmonious Computingの今後にも大いに期待しています」と山内氏は語った。

大同生命新事務システム概念図
大同生命新事務システム概念図

USER PROFILE (1999年5月 現在)

大同生命保険株式会社

[本社] 大阪市西区江戸堀1-2-1
東京都中央区日本橋2-7-4
[設立] 1947年7月14日
[資本金] 750億円
[売上高] 1兆1,900億円(2003年度)
[従業員数] 8,387名(2004年3月末現在)

T&D保険グループの中核企業として、多彩な商品・サービスを展開する生保大手。「独自性」「先進性」「健全性」の3つをキーワードに、中小企業のお客さまに「最高の安心」と「最大の満足」を提供する生命保険会社をめざし、常に挑戦・行動する人材を育成・活用するとともに、コンプライアンスを重視し、公正で誠実な企業活動を展開している。

PARTNER PROFILE

T&D情報システム株式会社

[東京本部] 埼玉県さいたま市浦和区針ヶ谷4-2-18
[大阪本部] 大阪府大阪市西区江戸堀1-2-1
[設立] 1999年7月15日
[資本金] 3億円
[従業員数] 560名

戦略的IT投資により先進的サービス提供とコスト競争力強化を図るため、太陽情報産業株式会社と大同生命保険株式会社システム部および大同生命計算センターとシステム組織を統合。また、2002年10月にはT&Dシステムサービス株式会社と合併。常に先進的で高度な技術を探求し、T&D保険グループ企業各社に対して、システム構築・運用などのサービスを提供している。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ」2004年9月20日号に掲載されたものです。
  • JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴは、米国ならびに他の国における米国Sun Microsystems, Inc.の商標または登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
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