ニュースリリース

日立、イタリア・ジェノバで画期的なスマートデジタル交通アプリの商用サービスを開始

  株式会社日立製作所(以下、日立)の鉄道システム事業におけるグループ会社である日立レール社は、このたび、イタリア・ジェノバ市の交通当局AMTと新たな契約を締結しました。これにより、日立が世界に先駆けてジェノバ市に導入した、同市の公共交通インフラ全体を結ぶ「360Passアプリ」の利用が、60万人のジェノバ市民と、同市を訪問する年間350万人の観光客に開放されます。
  一年間のトライアルを成功させた360Passアプリは、ジェノバで「GoGoGe」として知られており、市内のマルチモーダル交通に変革をもたらします。本サービスは、市内の公共交通機関と民間交通機関を連携させることで、ジェノバに住んでいる人やジェノバを訪れるすべての人に、複数の交通機関を利用した旅程の計画、予約、最安値の運賃の支払いを可能にします。今月から利用可能で、ダウンロードは完全に無料です。
  本サービスにより、ジェノバでは、バス(663台)、バス停(2,500カ所)、地下鉄(年間利用者数1,500万人)、ケーブルカー(2基)、登山鉄道(1路線)、公共エレベーター(10基)、郊外バス(2路線、全長50km)がデジタルで接続されています。利用者は携帯電話のボタンを押すだけで、電気自動車のレンタルや、駐車場料金の支払い、電動スクーターがどこにあるかの確認などもできます。
  360Passアプリは、乗客が最速で最も便利なマルチモーダルな旅程の候補やリアルタイムの交通情報を提供します。また、乗客はアプリを通じてバスの混雑状況を確認し、混雑していない交通バスを選択することができます。この技術の価値を明確に示すために、日立が実施した 「グローバルにおける公共交通機関に対する意識調査」 によると、混雑状況に関するリアルタイム情報を見ることができれば、73%の人が公共交通機関を利用する可能性が高いことが分かりました。
  このアプリにより、従来の紙のチケットを購入するために並んだり、異なる交通サービスのために複数のアプリをダウンロードしたりする必要がなくなりました。360Passは、乗り物や街中の駅や停留所に設置された5Gブルートゥースセンサーで、モバイルアプリを利用した乗客がいつ搭乗し、どのくらいの距離を移動し、いつ降りたかを識別します。これにより、利用者は異なる交通手段を使用している場合でも、最安値の運賃を支払うことができます。
  本サービスの開始に加えて、トレニタリア社(Trenitalia／Ferrovie dello Stato=イタリア鉄道グループ傘下の鉄道事業会社)との新たなパートナーシップにより、アプリ利用者はジェノバの公共交通機関だけでなく、ローカル電車やインターシティ電車でも移動できるようになります。また利用者は、一週間の最安値の運賃で支払うことができるようになります。
  このアプリは、利用者が市内のバス、トラム、地下鉄を利用した際の交通費が、1週間チケットの値段である17.5ユーロ(約2,700円)に達したことを自動的に検知します。その時点から、その週の残りは無料で移動することができ、利用者にはそれ以上の費用は請求されません。これにより、交通機関を定期的に利用する乗客はかなりの節約をすることができるようになり、例えば、週5日バスと地下鉄で通勤している乗客は、自動的に毎週12.50ユーロ(約1,900円)を節約することができます。

日立レール社 Group Head of Digital Sales and Smart Ticketing, Alessandro de Graziaのコメント

「これは、都市の公共交通インフラ全体をデジタルで接続するという画期的な取り組みの大きな成果です。完全に無料で使用できる360Passアプリは、人々の移動方法を変革します。人々は初めて、都市間の電車、トラム、バス、地下鉄、電動スクーターを含むマルチモーダルな旅程の計画、予約、支払いを1つのアプリで行うことができます。このアプリは、60万人のジェノバ市民と、同市を訪問する年間350万人の観光客の双方が、自家用車ではなく公共交通機関で移動することを促進します。アプリのパワーとシンプルさは、街の排気ガスや渋滞の削減に貢献します。」

  日立は2022年7月から、 「Lumada Intelligent Mobility Management」 と呼ばれるスマートモビリティソリューションを使用し、ジェノバの公共交通機関と民間交通機関を360Passアプリでデジタル接続しています。
  GoGoGeアプリは、日立、AMT、ジェノバ市のパートナーシップの成果であり、ジェノバの多くの乗客のラストワンマイルのニーズを満たすソリューションを提供することで、公共交通機関の利用と電気自動車の採用を促進することを目的としています。

360Passアプリについて

  このアプリは、自家用車への依存を減らし、自治体が渋滞緩和や排出量削減の目標を達成することを支援し、地域全体のコストと輸送手段の提供を最適化します。
  乗客向けのモバイルアプリ360Passに加えて、Lumada Intelligent Mobility Managementソリューションは、都市の交通網全体をリアルタイムで接続、拡張、最適化する機能を運行事業者に提供します。
  ジェノバに設置された7,000以上のブルートゥースセンサーは、この地域の交通と乗客のエンドツーエンドのマルチモーダルな旅の 「デジタルツイン」 の構築を可能にします。都市の動きを示すこのリアルタイムの電子地図は、運行事業者がサービスや時刻表を最適化し、変化する乗客需要のピークや谷に対応するシステムを構築するための強力なツールです。渋滞、排気ガス、混雑、乗客のニーズに合わない運行ダイヤなど、人々の公共交通機関の利用を妨げる問題を特定することができます。
  スマートチケットに加えて、運行管理者が交通の流れやサービスパターンをリアルタイムで制御できるようにするソリューションを組み合わせることで、運行管理者は運行停止時間や街中で行われる大規模なイベント(コンサートやスポーツ)による影響に、効果的に対応できるようになります。さらに、異なる地域の排出量や混雑状況に関する情報を連携させることで、運行管理者はまずどの区間のサービスを電動化し、どこを電気バスや電気自動車の充電地点とするか、スマートな判断を下すことができるようになります。

*1

1ユーロ=155.93円で計算

日立製作所について

  日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。

以上