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Hitachi

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2010年5月24日
株式会社日立製作所
株式会社日立産機システム

日立創業製品「5馬力モータ」を15分の1に小型化した磁石モータを試作

  株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)と株式会社日立産機システム(取締役社長:椎木 清彦/以下、日立産機)は、独自に開発した最適設計技術などにより、1910年の日立創業製品である「5馬力(3.7kW)誘導モータ*1」に比べ、体積で15分の1となる、5馬力永久磁石同期モータ*2(以下、磁石モータ)を試作しました。本モータは、大幅な小型化を実現しながらも、連続運転試験では94%の高効率性能を実現しています。
  日立と日立産機は、社会イノベーション事業を支えるキーデバイスであるモータに、今回開発した技術を適用し、さらなる小型化・高効率化を追求していきます。

  1910年、日立製作所創業時の製品であったモータは、その後100年を経過し、現在、産業、家電、自動車などのキーデバイスとして広く利用されています。近年では、地球温暖化防止の観点から、モータのエネルギー消費を抑制するため、さらなる小型化、高効率化が求められています。
  モータは主に、磁性材料(鉄心、磁石)と導電材料(コイル)および、これらを支える構造部材で構成されています。モータの小型化と高効率化を両立するには、モータ内で発生する様々なエネルギー損失を可能な限り抑制するとともに、小型化に伴う放熱性能の低下を補う必要があります。
  このような背景から、今回、日立と日立産機は、最大40%の小型化を実現する高放熱化技術、磁石モータ内の磁束と熱の流れを同時に解析する磁界−熱連成解析技術、さらにはこの解析技術に基づく最適設計技術を開発しました。また、これらの技術を適用して試作した5馬力(3.7kW)磁石モータは、1910年の日立創業製品である「5馬力(3.7kW)誘導モータ」に比べ、15分の1の体積を実現するとともに、回転子に日立金属株式会社製の高残留磁束密度*3のNd-Fe-B焼結磁石*4を適用したほか、日立電線株式会社のエナメル線、日立化成工業株式会社の有機材料など、日立グループの先端材料を結集して開発しています。
  開発した技術の詳細は、以下の通りです。

1. 磁界-熱連成解析技術

  辺要素有限要素法*5による磁界解析と熱解析を組合せ、磁界と熱を同時に解析する磁界−熱連成解析技術を開発しました。これにより、温度上昇に伴う永久磁石の減磁*6や、材料物性値の温度依存性を考慮したモータ性能(トルク、電圧など)を、高い精度で予測することが可能になりました。

2. 最適設計技術

  磁界−熱連成解析技術に数理計画法*7を応用した最適化アルゴリズムを組み合わせることで、減磁、電圧、コイル温度など、モータ設計における重要な要素を考慮した磁石モータの最適設計技術を開発しました。これにより、永久磁石などの磁性材料の特性を活かした小型で高効率なモータを実現することが可能となりました。

  日立と日立産機は、今回のモータ開発で得られた知見を基に、顧客ニーズに即した付加価値の高い小形・高効率モータを、今後も開発していきます。

  なお、本技術の詳細は、2010年5月28日開催の電気学会「回転機/半導体電力変換/モータドライブ合同研究会」(場所:東京、日本電機工業会会館)にて発表する予定です。

*1
誘導モータ: 電磁誘導の原理を利用してトルクを発生するモータ。
*2
永久磁石同期モータ: 永久磁石付き回転子が発生する磁界と、固定子による磁界が同期して回転することによりトルクを発生するモータ。
*3
残留磁束密度: 永久磁石の磁力を表す指標。これが大きいほど、強力な磁石と言える。
*4
Nd-Fe-B焼結磁石: 現在、最も強力な磁力を有する磁石。サーボモータなどの高性能磁石モータに適用されている。
*5
辺要素有限要素法: 解析対象の空間を要素に分割し、各要素の辺に未知数を設定して電磁界を求める数値計算方法。
*6
減磁:永久磁石の磁力が磁石の温度や外部からの大きな磁界により失われる現象のこと。
*7
数理計画法: 最適化問題を解くためのアルゴリズム。

[画像]試作モータ、現行モータと創業モータの外観比較

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当:鈴木]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
TEL : 0294-52-7508 (直通)

株式会社日立産機システム 企画統括部 販売推進部 広報・企画グループ [担当:橋本]
〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3番地
TEL : 03-4345-6450 (直通)

以上

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