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Hitachi

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。

2009年6月5日

HD画質の映像を1,200本分同時に配信できる
ストリーミング専用ストレージのデータ入出力制御技術を開発

映像を配信する装置台数を削減するとともに環境負荷を低減

  株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村 隆/以下、日立)は、このたび、配信機能を備えたストリーミング専用ストレージのデータ入出力(In/Out:以下、I/O)制御技術を開発し、この技術を搭載したストレージの試作装置でHD(High Definition)画質の映像を1,200本分同時に配信することに成功しました。これは、Unix™をベースとした既存配信技術の10倍以上の性能で、2007年に日立が発表した試作装置*1と比べても約3倍の性能を達成しています。今回開発した技術は、映像データのI/Oを管理するリアルタイムOSを改良したもので、マルチコアのCPUを有効活用し、映像データのI/Oを効率よく行うことによって映像データの配信性能を向上しました。さらに、本技術はソフトウェアの改良により実現しているため、新たにハードウェアを開発することなく、装置に組み込むだけで配信性能を高めることができます。本技術は、ストレージ1台あたりのデータ配信量を増加させるとともに、ストリーミング配信において必要なストレージ等の装置数を削減できることから、設備コスト、運用管理コストの軽減と環境負荷の低減に貢献します。

  ブロードバンドネットワークの普及に伴い、HD画質の映像データを、ネットワーク経由で配信するサービスが実用化されつつあります。しかし、今後、サービス利用者数の増大と、高画質化への要求が高まるにつれ、配信するデータ量が増加し、サービス事業者が準備すべきストレージ等の装置数が増加することが予想されます。これにより、サービス事業者にとって設備コスト、運用管理コストの負担が増大し、また、消費電力も増えることから、環境への影響も懸念されています。
  このような背景から、日立は、配信機能を備えたストレージ1セットあたりの映像データの配信性能を高め、ハードウェアの能力を効率よく活用できるストリーミング専用ストレージのI/O制御技術を開発しました。今回、日立のミッドレンジ向けストレージ装置をベースに、開発技術を搭載したストレージ装置を試作し、その性能を評価した結果、配信装置1セットあたり12Gbps(10MbpsのHD画質の映像データ1,200本分)の配信性能を確認できました。
  技術の詳細は以下の通りです。

開発技術の詳細

(1) ストレージのI/Oを並列で実行できる技術

  ストリーミング専用ストレージに搭載している各CPUのコアごとにI/O処理を均等に分配し、かつ各I/O処理を並列に実行させるため、CPUのコア数に応じて柔軟に配信性能を向上できます。今回の試作装置において、4個のCPUコアでの並列動作を行った場合でも、性能向上が実現できることを確認しました。

(2) 配信頻度の高い映像をRAMにコピーして配信する技術

  配信される頻度の高い映像データに関しては、ストレージ内のディスクアレイ装置から、64ビットのアドレス空間*2を持つRAM上に映像データのコピーを作成し、それを用いて配信処理を行います。これにより、ストレージのI/O負荷を軽減できるため、要求される配信性能が高くなった場合でもストレージを増設する必要がなくなり、設備コスト、運用管理コストの軽減と消費電力の低減を可能にします。

  日立は、今後、今回開発したストリーミング専用ストレージのI/O制御技術の製品化と、映像配信市場への応用をめざすとともに、その技術の一部を映像関連機器に応用することも検討しています。

  本技術は、2009年6月3日から5日まで米国バージニア州のウィリアムズバーグで開催されている「Network and Operating Systems Support for Digital Audio and Video(NOSSDAV '09)」にて発表したものです。

*1
試作装置 : 2007年3月13日ニュースリリース「コンテンツ配信機能を備えたストリーミング専用ストレージを開発」
*2
アドレス空間 : RAMのデータ格納場所を示す数字(「アドレス」と呼ぶ)を指定することでアクセスできるRAMの領域。64ビットの数字でこの格納場所を指定することで、RAMの非常に大きな範囲にアクセスすることが可能になる。

他社商標

  • Unixは、The Open Groupの登録商標です。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 システム開発研究所 企画室 [担当:塚越]
〒215-0013 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地
TEL : 044-959-0325 (直通)

以上

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