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2008年9月9日

金属の精密接合に適したパルス通電接合の
高精度化・省電力化技術を開発

接合部材の変形を約40%低減*1するとともに接合時間を半減

  株式会社日立製作所(社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、金属の精密接合に適したパルス通電接合において、従来に比べ接合部材の変形を約40%低減させるとともに接合時間を半減する、高精度化・省電力化技術を開発しました。
  パルス通電接合は、接合部材に電流を流し、発生した熱により接合を行う技術で、エンジン用部品や油圧機器用部品など、複雑な形状の金属部品の精密接合に適していることから、様々な要望に応えることが可能な接合技術として注目されています。
  今回日立は、パルス通電接合において、接合中の部材の変形度合いを検知し、その度合いに応じて接合の圧力や通電時間をより適切に調整する「通電・加圧力制御技術」を開発し、接合部材の変形を約40%低減できることを確認しました。これにより、変形の少ない高精度な部品製造が可能になるほか、通電時間も短縮します。また、接合中の部材の酸化を防ぐために、接合部材の周囲のみを不活性ガス*2で覆う「雰囲気*3制御技術」を開発しました。従来の部材全体を不活性ガスで覆う方式と比べ、接合前に酸化防止のために雰囲気を調整する時間が短縮され、接合時間を半減します。これらの技術により、従来より高精度で通電時間の少ない接合が可能になり、結果として接合の省電力化を実現しました。

  現在、金属材料を面と面で接触させ直接接合する方法としては、接合する部材を熱処理炉に入れ、圧力をかけた状態のまま、全体を高温で加熱し接合する「拡散接合」が広く用いられています。しかし、接合に伴う変形が大きいこと、接合に要する時間が長いこと、エネルギー使用量が大きいことなどの課題がありました。これに対し、パルス通電接合は、接合したい部分を中心に加熱するため、接合に伴う変形が少なく、接合時間の短縮が可能なことから、現在は金型の冷却用部品の接合に用いられているほか、近年、エンジン部品や油圧機器の部品などの複雑で精度が要求される部品への応用も検討されています。また、さらなる接合コストの低減や接合精度の向上に加え、環境負荷軽減のための一層の省電力化が望まれています。このような背景から、日立はこのたび、パルス通電接合の高精度化と省電力化の技術を開発しました。
  今後、様々な材料への応用検討を進め、エンジン用部品、油圧機器用部品、航空機用部品など、幅広い製品分野での展開を進めていきます。

  なお、本技術の詳細は、9月10日から12日に北九州市の北九州国際会議場で開催される「溶接学会秋季全国大会」にて発表する予定です。

開発技術の詳細

(1) 接合部材の変形を低減し、通電時間を短縮する通電・加圧力制御技術

  接合中の接合部材の変形度合いを検知し、その度合いに応じて接合の圧力や通電時間をより適切に調整する「通電・加圧力制御技術」を開発しました。これにより、接合部材の変形を低減すると共に、通電時間を短縮することができるため、高精度の部品製造を省電力で行うことができます。あわせて、接合する材質毎に最適な圧力制御を行うことで、強度を損なうことなく変形を抑制します。今回、試作した装置でチタン系材料(Ti-6Al-4V)を接合した結果、従来に比べ接合部材の変形を約40%低減できることを確認しました。

(2) 接合時間を半減する雰囲気制御技術

  パルス通電接合は、接合中に部材が酸化すると大幅に強度が落ちることから、従来は酸化防止のために、部材全体を接合チャンバ*4内に入れ、内部を真空や不活性ガスで充満させる必要がありました。今回、接合部材の周囲のみを不活性ガスで覆い、酸化を防止する「雰囲気制御技術」を開発しました。これにより、接合前に酸化防止のために雰囲気を調整する時間が短縮され、接合時間を半減することができます。

*1
チタン系材料(Ti-6Al-4V)を接合した場合。
*2
不活性ガス : 化学的に活性の低い(化学反応しにくい)ガス。アルゴン(Ar)やヘリウム(He)など。
*3
雰囲気 : 接合する部材周囲の環境における気体の存在状態。
*4
接合チャンバ:接合装置において部材を装填し接合を行うための処理室。

[画像]左:本技術を用いて、ステンレス(SUS304)と無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper)を接合した例、右:内部
本技術を用いて、ステンレス(SUS304)と無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper)
を接合した例(左)と、その内部(右)

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当:鈴木]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
TEL : 0294-52-7508 (直通)

以上

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