日立製作所 半導体グループ（グループ長＆CEO 伊藤 達）は、このたび、システム内の電圧の異なるIC間でのデータ転送時などに使用され、異なる電圧レベルの信号を効率よく伝達するレベルシフタとして、デジタルカメラ、携帯電話等の低電圧・小型の高速システム用に、16ビットバス幅では業界初の1.2Vに対応した超低電圧・超高速レベルシフタIC「HD74ALVC165245」「HD74ALVC166245」を製品化しました。2003年4月よりサンプル出荷を開始します。

　本シリーズは、1.2〜3.6Vの異電圧間での双方向のデータ転送に超高速かつ低消費電力で対応します。16ビットバス幅でのデータ転送速度(tpd)は4.4ns max.(VccA=3.3±0.3V, VccB=2.5±0.2V時)を実現。また、入出力トレラント機能内蔵により、システムパワーダウン時の本ICに対する電流の流れ込みを防げるため、システムの低消費電力化も図れます。

＜背景＞
　近年、デジタルカメラや携帯電話等の小型バッテリー駆動機器の小型・高速化は著しく、バッテリーの長寿命化を図るため電子部品の低電圧化が加速されてきています。CPUや DSP等の高速動作が要求される基幹部品については2.5Vからさらに1.8Vクラスまで電源電圧が引き下げられており、さらなる低電圧化の傾向があります。一方で、その周辺部品の低電圧化が必ずしも同時に実現しておらず、システム内の同じ基板上に異なった電圧レベルの信号が混在することも珍しくありません。このような異電圧間の信号のレベル変換をスムーズに行うために、超高速で動作するレベルシフタのポテンシャルも高くなってきています。
　このようなニーズに対応するため、当社ではこれまでに8ビットバス幅でのデータ転送で2.3〜5.5Vまでの信号に対応した「HD74LVCC3245A」等の低電圧対応レベルシフタ（双方向対応）を量産中です。しかし、基幹部品のさらなる低電圧化、高速化に伴い、今回、さらに1.2Vまでの信号をサポートし、かつ、さらなる高速化に対応した「HD74ALVC165245」「HD74ALVC166245」を製品化しました。

＜製品について＞
　本「HD74ALVC165245」「HD74ALVC166245」は、当社の標準ロジックICにおける低電圧・超高速版である「HD74ALVCシリーズ」と同様の0.35μmプロセスを採用し、電源電圧1.2V〜3.6V、データ転送速度が4.4ns max.(VccA=3.3±0.3V, VccB=2.5±0.2V時)と超低電圧・超高速性能を実現しています。
　そして、入出力に本来ICを動作させる電源電圧以上の電圧がかかってもICを保護する入出力トレラント機能を内蔵しています。システムのパーシャルパワーダウン等で本ICの動作が不要な際に、Vccより高い電圧が入出力端子にかかることによる本IC側への不必要な電流の流れ込みが防げるため、低消費電力が要求されるバッテリー駆動の携帯機器に適した仕様となっています。
　また、ドライブ能力（出力電流）はバス駆動に適した24mA(Vcc=3.3V時)です。

　本ICはVccA とVccBの2つの電源を使用します。「HD74ALVC165245」は、電源電圧がVccA>VccBのようにコントロール信号系の電源電圧VccBが低いタイプで、「HD74ALVC166245」は、電源電圧がVccA<VccBのようにコントロール信号系の電源電圧VccBが高いタイプです。

　パッケージとしては、48ピンのTSSOPパッケージ（外形サイズ：8.1mm×12.5mm×1.2mm (typ.))を採用しており、システムの小型化に貢献します。

■応用製品例
デジタルカメラ、携帯電話、ノートPC等のバッテリー駆動の小型・高速システム

■価 格

製 品 名 1万個発注時価格 （円/個） HD74ALVC165245 150 HD74ALVC166245 150

■仕 様 １．「HD74ALVC165245」電気的特性仕様

２．「HD74ALVC166245」電気的特性仕様