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2026年5月20日
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![[イメージ]「マイポータル」の画面例日立と京都大学が策定した、「社会的処方」による地域共生社会モデル](/Div/jkk/press/news/image/img_20260520_1.jpg)
日立と京都大学が策定した、「社会的処方」による地域共生社会モデル
社会的処方とは、1980年代にイギリスで始まった、医療だけでは解決できない健康問題に対して社会的な働きかけを行う取り組みです。医師による治療や薬の処方だけでなく、趣味活動やボランティア、コミュニティ活動など人とのつながりや社会参加の機会を処方することで、人々の健康の維持・向上や孤立解決を図ります。
近年、日本においても、少子高齢化にともなう孤立問題や認知症リスクへの懸念などから、社会的処方の必要性が高まっています。政府も社会的処方を推進する方針*4を示すなど、医療に加えて、予防の観点での取り組みを促進しています。こうした背景から、社会参加をより広く定着させていくことや、医療機関と地域をつなぐ制度整備を進めていくことが重要となっており、今後さらに社会的処方を公的制度に組み込み、社会実装を加速させていくことが期待されています。
今回、日立は、京都大学との共同研究を通じて、「社会的処方」により住民の健康と地域のつながりを同時に高めていく「地域共生社会」を実現する双循環モデルを策定しました。本モデルは、医療・福祉と地域資源を横断的につなぎ、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチを一体で進める社会的処方の仕組みを体系化したものです。
本モデルに描く社会では、住民は、医療機関での診察や健康診断、自治体の保健師との相談などをきっかけに、自身の健康状態や生活状況に応じた支援を受けます。リンクワーカー*5の伴走支援のもとで地域とのつながりを見つけ、民間事業者やNPOなどが提供する地域イベントや活動へと参加していきます。こうした個人の行動変容の成果は、地域全体の予防施策や社会参加の基盤強化へと還元されます。
また、本モデルを支える基盤として、医療機関、自治体、民間企業などの連携やEBPM*6の実現を支援する「社会的処方支援プラットフォーム」が重要となります。このプラットフォームは、ハイリスクアプローチおよびポピュレーションアプローチを通じて得られる医療・保健データに加え、住民の社会参加状況や生活背景といった社会生活情報を総合的に分析することで、地域予防と個別支援の高度化、ならびに地域全体の医療費適正化を推進するものです。
今後も、本モデルの実現に向けた制度化の検討に加え、ハイリスクアプローチおよびポピュレーションアプローチのそれぞれにおける、自治体などでの社会的処方の実装で得られた知見をふまえ、両アプローチを横断した、相互に循環させる事業プロセスの実証に取り組みます。具体的には、制度内で得られるハイリスク層への介入成果やデータを地域全体の予防施策に還元するとともに、ポピュレーションアプローチによって醸成された地域のつながりや予防基盤を、ハイリスク層の支援にも活用していきます。このような双方向の循環構造により、医療・介護費の適正化と地域活性化を同時に実現する、持続可能な社会的処方モデルの構築をめざします。
日本を取り巻く社会課題が年々複雑化・深刻化する中、日立は公共分野の事業において、自治体や官公庁の基幹システムに長年携わってきた知見や技術、ノウハウを生かし、One Hitachiで社会課題の解決に取り組んでいます。
なかでも、「医療・介護DX」分野では、「予防を文化に」をコンセプトに、予防から医療・介護までを見据えた幅広い取り組みを推進しています。健康・予防サービスなどを通じた医療・介護費の適正化に貢献するとともに、誰もが安心して最適な医療・介護サービスを受けられる社会の実現をめざします。今回の京都大学との、「社会的処方」による地域共生社会モデルの策定は、こうしたビジョンの実現に向けた取り組みの一つです。
人々の健康や暮らしを取り巻く課題が多様化する中で、医療や福祉だけでは十分に対応できない場面が増えています。こうした状況において、リンクワーカーを介して人々を地域の多様な資源につなぐ「社会的処方」は、住民の暮らしを支える有効なアプローチであると考えています。
本共同研究で整理された地域共生社会モデルは、医療・福祉と地域活動を切れ目なく結び、予防から支援までを地域全体で支える枠組みを示すものです。本モデルが各地域の実情に応じて展開され、全国に広がっていくことで、誰もがつながりの中で健康に暮らし続けられる社会の実現につながることを期待しています。
2026年5月27日(水)〜28日(木)に、京都大学で開催される「京都大学国際シンポジウム 社会的処方・文化的処方国際会議(ISPC2026)」のトークセッションにおいて、日本における先行的な社会的処方の取り組みや本モデルについてご紹介します。
以上