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公共ITソリューション

 

2015年8月31日

トピックス

火山噴火の溶岩流による被害予測を実現する研究システムを防災科研へ導入

日立の「Hitachi Advanced Data Binder プラットフォーム」によってビッグデータを高速検索

株式会社日立製作所(以下、日立)は防災科学技術研究所(以下、防災科研)へ「火山リスクマネジメントシステム(以下、本システム)」を導入し、2015年4月1日から稼働を開始しました。
本システムは火山噴火が発生した場合、溶岩流によってどの建造物が被害を受けるかGIS(*1)を活用し、時間経過に沿って地図上に可視化するシステムです。本システムは防災科研が保有する研究データをビッグデータ技術により高速に検索・出力し、被害状況を可視化するため日立の高速データアクセス基盤「Hitachi Advanced Data Binder プラットフォーム(以下、HADBプラットフォーム)」(*2)を採用しています。これにより、防災科研の研究者は迅速に被害を把握することができ、防災対策への実用化に向けた研究が可能となりました。

*1
GIS(Geographic Information System):位置に関連するさまざまな情報をシステム上に重ね合わせ、視覚的に表示するシステム。
*2
内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川 東大教授/国立情報学研究所所長)の成果を利用。

昨今、活発な火山活動による噴火被害が懸念されています。防災科研では火山噴火による自然現象を解明した研究成果を応用し、溶岩流や火砕流、火山灰などの被害予測の実現に向けた研究を検討していました。防災科研は本システムを導入し、まずは溶岩流によってどの建造物に被害が発生するかを対象として被害予測に向けた研究を開始しました。

本システムでは、防災科研と日立などが開発した溶岩流シミュレーションコード「LavaSIM(*3)」などを活用して溶岩流の挙動をシミュレーション解析したデータや、東京大学空間情報科学研究センターが整備した建造物データといった研究データをHADBプラットフォームに格納しています。
さらに、株式会社日立ソリューションズのGISであるエンタープライズ型地理情報システム「GeoMation」によって、これらの研究データから溶岩流の進路や被害を受ける建造物を、100メートル四方ごとに短時間で地図上に可視化します。防災科研では、従来のデータベースを活用した場合、研究データを検索・出力するまでに長時間を要するため、防災対策の実用化に向けた迅速な被害予測が困難でしたが、各命令の処理完了を待たずに次々に処理を並列して行う非順序型実行原理(*4)を採用したHADBプラットフォームを用いると、短時間で必要な研究データを検索・出力することが可能となります。HADBプラットフォームによって実現した本システムの特徴は下記の通りです。

*3
LavaSIM:溶岩流が地上で固まりながらどのように流れるかなど、溶岩流の複雑な挙動をシミュレーション解析するプログラム。
*4
喜連川 東大教授/国立情報学研究所所長・合田 東大特任准教授が考案した原理。

1.噴火後100時間先の影響を約2,400億通りのデータから約2時間で地図上に表示

本システムは、溶岩流の挙動をシミュレーション解析したデータと、建造物データの約2,400億通りもの組み合わせに対し、HADBプラットフォームを活用し、被害予測を高速に評価しています。これにより、被害予測の評価から溶岩流の進路と被害を受ける建造物の地図画像の生成までをわずか約2時間で完了し、100時間先の被害状況を時間経過に沿って可視化することが可能です。本システムによって防災科研の研究者は、刻々と変化する被害状況を予測するための研究が可能となりました。

2.研究者はさまざまなデータをHADBプラットフォームに格納可能

防災科研では、HADBプラットフォームに膨大な件数の研究データが格納されており、その内、今回の研究に活用されないテスト用データなども含まれています。従来のデータベースでは、不要なデータが格納されている場合は処理速度が低下することがありましたが、HADBプラットフォームではデータの処理速度低下を最小限にすることが可能です。このため防災科研の研究者は、データベースの処理速度の低下を考慮し、データベースに格納するデータを選定する必要がありません。

3.システム構築や運用コストを抑制

本システムにおいて、HADBプラットフォームはサーバ1台とストレージの組み合わせというシンプルな構成で、データの高速処理を実現しています。従来のデータベースのように高速処理のために、複数のサーバを並列分散処理させる必要がないため、システム構築や運用コストを抑制できました。

防災科研は火山被害の予測精度をさらに向上するため、今後さまざまな種類の研究データを分析の対象に加える予定です。例えば、住民の人流や交通のデータを加えると、建物被害だけでなく住民や交通機関への被害を予測することができます。そのため本システムは、動くもののシミュレーションデータの交換を目的として2015年2月に成立した最新の国際標準OGC® Moving Features形式のデータに対応しています。なお、日立ではHADBプラットフォームを用いて人流や交通のデータとシミュレーションデータを複合させて解析する技術(*5)の開発をすすめており、今後、本システムへの適用を検討しています。
さらに防災科研は、溶岩流に加えて気象の影響を受ける火砕流や火山灰などによる被害の予測をめざしています。そのため、本システムは気象分野のシミュレーション解析に広く活用されているNetCDF形式のデータに対応しています。

*5
総務省「G空間プラットフォームにおけるリアルタイム情報の利活用技術に関する研究開発」による委託を受けて実施した研究開発による成果を活用。

本システムの概要

[イメージ]本システムの概要

Hitachi Advanced Data Binder プラットフォームについて

共同研究の成果である「非順序型実行原理」に基づく超高速データベースエンジンと、日立製のサーバおよびストレージを最適に組み合わせた事前検証済みの構成で提供し、迅速かつ容易にビッグデータの高速検索および分析を可能にする高速データアクセス基盤です。

非順序型実行原理を採用した超高速データベースエンジンとは

HADBプラットフォームに搭載されている超高速データベースエンジンは、大量の非同期入出力を発行し、非順序的に入出力完了した結果集合に対して、関係演算処理を実行するという「非順序型実行原理」に基づいて、設計されています。従来型のデータベースエンジンは、基本的に1つの命令を実行し、それが完了すると、次の処理を実行する順序型の処理になっています。大量データを処理する場合では、入出力完了の待ち時間がCPU実行時間の多くを占めることになり、CPUリソースや複数ドライブを有する高速ストレージの能力を必ずしも十分に使い切れていませんでした。これに対して、非順序型の超高速データベースエンジンでは、各命令の処理完了を待たずに、次々にスレッドを立ち上げて処理を並列に行います。複数のハードディスクドライブを搭載するストレージと、大容量のメモリ、マルチコアのCPUといったリソースを、無駄なく活用することが可能となります。

[イメージ]従来方式 順序実行方式、新方式 非順序型実行原理

GeoMationに関するWebサイト

本件に関するお問い合わせ先

株式会社日立製作所 情報・通信システム社 公共システム営業統括本部
カスタマ・リレーションズセンタ [担当:西本、佐々木]
〒136‐8632 東京都江東区新砂一丁目6-27 新砂プラザ

以上

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