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Hitachi

 

2010年4月1日

トピックス

科学技術計算分野の事業を強化

高性能な科学技術計算用PCクラスターシステム向けソフトウェア群の提供や
運用支援を行う「サイエンス・クラスタ推進センタ」を設立

株式会社日立製作所は、このたび、科学技術計算分野(High Performance Computing分野/以下、HPC分野)において、高性能な科学技術計算用PCクラスターシステム向けのソフトウェア群の提供や運用支援を総合的に行う「サイエンス・クラスタ推進センタ」を2010年4月1日付で設立し、HPC分野でのトータルソリューションの提供と拡販をさらに強化します。本センタを通じ、HPC分野での導入が進むPCクラスターシステムの柔軟、かつ高性能なサービス提供が可能となるほか、ユーザーと一体となったシステム構築・運用を実現します。

従来、HPC分野では、高価な専用CPUに専用ネットワークを備えたベクトル・アーキテクチャーが主流でした。その後、汎用のプロセッサを組み合わせたスカラー・アーキテクチャーのスーパーコンピューターシステムが開発され、機器の価格低減は進むものの、依然として機器の価格、ならびにシステム導入には多額のコストが必要でした。そのような状況の中、研究室単位で容易に導入でき、大幅な価格低減を実現したスーパーコンピューターシステムがPCクラスターシステムです。PCクラスターシステムの開発当初は、少人数でのシステム運用を前提としたものでしたが、近年、大規模な計算センターでの運用に耐えうるソフトウェアや運用ツール群が整備され、HPC市場での導入が大幅に進んでいます。

今回、日立は、よりユーザーに近い立場でPCクラスターシステムに必要なソフトウェアや運用ツール群を開発・販売し、システム導入を可能とする「サイエンス・クラスタ推進センタ」を設立します。本センタは、HPC分野のシステムエンジニアのほか、ハードウェアやソフトウェア部門、そして研究者にセールス部門を加えた事業部横断の製販一体組織です。

本センタでは、大規模かつ高速な並列計算処理を行うPCクラスターシステムにおいて、特に重要視されるソフトウェア群の提供・運用支援を行います。具体的には、自動並列化コンパイラー、ライブラリ、ファイルシステム、ジョブスケジューラー、MPI(*1)通信ライブラリ、性能モニター、稼働監視ツール、運用管理・課金管理ツール等を総合的に提供することで、PCクラスターシステムの構築・運用を支援します。さらに、ユーザーの導入選択肢を日立独自開発ソフトウェアからOSS(*2)までに広げることで、システムニーズに応じたソフトウェアの提供が可能となります。また、先進技術を導入した実験的システムからミッションクリティカルなシステムまでそれぞれのユーザーのニーズに対応したシステムも提案することで、ユーザーと一体となったシステムの構築・運用を進めます。
これらにより、刻々と技術革新を続けるHPC分野のニーズや市場動向などを把握できるため、システムサービスメニューへの反映、ならびにユーザーへの迅速、かつ柔軟な提供を実現します。なお本センタは、約20名のメンバーを核として発足します。

*1
MPI:Message Passing Interface の略で、分散メモリ型並列処理におけるメッセージ交換のためのライブラリのこと。
*2
OSS:Open Source Softwareの略で、プログラムの基となるソースコードを無償で公開し、誰もが自由にそのソフトウェアを改良して再配布することを許すソフトウェア開発方式のこと 。

日立はこれまで、「SR11000」や「SR16000」などのPOWERプロセッサを搭載したスーパーテクニカルサーバー「SRシリーズ」や、Gridシステム、PCクラスターシステム等、幅広くHPC分野のソリューションを手がけてきました。今後も、さらにSRシリーズに代表されるスカラー・アーキテクチャーのスーパーコンピューターシステムの拡販を継続するとともに、今日まで培ったHPC分野における多くの経験と高い技術力を生かしつつ、より先進的、特徴的なPCクラスターシステムをユーザーとともに創出していきます。日立は、HPC分野全体で今後5年間で約600億円をめざします。

以上

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