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日立ワークスタイル変革ソリューション

日立が挑む、未来をひらく幸せな働き方

多くの企業が、長時間労働の削減をめざしてワークスタイル変革に取り組んでいる。一方、この取り組みの本当の目的を考えたとき、果たして労働時間の削減はゴールといえるだろうか。「真のゴールは、捻出した時間で新たな価値創出を実現することにある」--。

こうしたアプローチに基づき、日立製作所(以下、日立)が実践しているのが「ピープルアナリティクス」だ。

その内容と成果について、キーパーソン2人に話を聞いた。


社員の「意識」と「行動」をデータによって見える化する

写真:本 真樹 氏
株式会社 日立製作所
人財統括本部
システム&サービス人事総務本部
担当本部長 本 真樹 氏

昨今、企業の重要な課題の1つとなっている「ワークスタイル変革」。多くの場合、人事総務部門がその旗振り役となり、さまざまな施策を立案・実施している。ところが、なかなか成果が上がらずに悩む企業も少なくない。これについて日立の本 真樹氏は次のように語る。

「とかくワークスタイル変革では労働時間の削減に目が向きがちですが、それはゴールではなく単なるスタートだと我々は考えています。大事なのは、それによって生みだされた時間をどうやってより新たな価値を創造するような仕事に充てていくかを考え、実現していくこと。そのためには、私たちが普段、無意識に行っている業務中の行動を見える化し、その実態を測るための何らかのインジケーターが必要だと考えて取り組んできました」

この考え方のもと、日立が進めているのが「ピープルアナリティクス」だ。これは、社員の「意識」と「行動」に関するデータを収集し、AIによって分析(アナリティクス)することで、問題点の可視化と改善につなげる取り組みである。

具体的に、まず意識に関するデータの収集方法として、日立は筑波大学の学術指導のもと、2つのサーベイ(調査)を開発した。1つは生産性に対する意識を測るもの、もう1つは自身の配置・配属に対するフィット感を測るものである。いずれもアンケート形式で、11の因子を5段階評価し、各社員が“ご機嫌”な状態で働けているかどうかを見える化している。

「イノベーティブな仕事への挑戦意欲は、この“ご機嫌”な状態があって初めて生まれてくると考えています。また、本人に行動変容を起こさせたり、上司が最適なフォローを行えるようにすることが目的なので、サーベイの結果は包み隠さず伝えるようにしているのも特徴です」と本氏は紹介する。

もう1つの行動のデータについては、勤怠管理システムや、各社員の業務用PCの操作ログなどから収集。これらを人事や財務のデータと組み合わせてAIで分析することで、組織がどのような状態にあるのかなどを明らかにしているという。

一人ひとりに寄り添うきめ細かな施策を実現

「人事部門の仕事は、効果を定量化しづらい性質を持っています。そのため、何をやれば何が得られる、ということをなかなか明示できず、従来は人事担当者の経験や勘に基づく施策が中心となっていました」と 本氏は話す。同様に、社員一人ひとりの状況を把握することが困難なため、どうしても施策がマスに向けたものになりがちだったことも課題だったという。

「ピープルアナリティクス」は、この点をITの力で解決しつつある。データに基づき、人事部門が社員一人ひとりに寄り添い、最適な働き方の実現をともに考えることが可能になりつつある。「これは私たち人事部門が長年、やりたいと考えてきたことでもあります。ITの進化によって、それがようやく実現可能になってきたと考えています」(本氏)。

また、「ピープルアナリティクス」は、ワークスタイル変革における施策の立案・実施プロセスにも良い影響をもたらした。つまり、施策の効果を定量的に測れるようになったため、内容のブラッシュアップや施策自体の継続可否に関する判断をタイムリーに行えるようになったのだ。

「例えば、データを分析していく過程で、ある部署では『金曜日に残業しているチームは生産性が低い傾向がある』ということが見えてきました。そこで現在、この部署では金曜日を『ノー会議デー』とすることで日中に業務に集中しやすくなる施策を実施中です。こうした具体的なトライアルが行いやすくなったことは大きな進歩といえます」と本氏は語る。

データに基づく日立のワークスタイル変革の取り組みは、「第3回 HRテクノロジー大賞」で大賞を受賞。ワークスタイル変革の先進事例として外部からも高く評価されている。

※ 2018年9月発表、主催:「HRテクノロジー大賞」実行委員会

自社の取り組みを基にソリューション化も進める

写真:桃木 典子 氏
株式会社 日立製作所
サービスプラットフォーム事業本部
アプリケーションクラウドサービス事業部
事業部長 桃木 典子 氏

日立は、自社の取り組みで得た知見を、顧客向けのワークスタイル変革ソリューションの開発にも役立てている。

「ソリューションのコンセプトは、「Life(働きたいときに、働きたい場所で)」「Work(ルーティンからクリエイティブへの変革)」「Healthcare(笑顔が、組織を強くする)」「Innovation(新たな価値を生み出すのは人)」の4つの観点であり、めざすのはお客さまの企業内に『イキイキ社員』を増やすことです。心身ともに健康で、モチベーションが高く前向きに働く社員が増えれば、生産性が向上し、企業、そして日本の社会全体が必ず良い方向に向かっていくと考えているからです」と日立の桃木 典子氏は述べる。

例えば、データに基づき、生産性の高い社員の行動パターンや組織の活性度などを可視化できるソリューションや、社員の健康状態を可視化するソリューション、会議効率化を支援するソリューションなどを用意。多様な顧客のワークスタイル変革を支援することが可能だという。

「少子高齢化が加速する時代においても、人を生かそう、育てようという文化があり、社員一人ひとりに寄り添おうとする会社は、必ず競争力を維持できると確信しています。日立自身はぜひそうありたいと思い、この取り組みを続けていきます。同時に、そこから得た知見を積極的にお客さまにもご提供させていただくことで、ともに日本全体の新しい働き方の実現を盛り上げていければと願っています」と本氏は強調する。

ITの力によって、社員一人ひとりに寄り添うワークスタイル変革を具現化した日立。その方法論と、「ピープルアナリティクス」などをベースとした具体的な実践手法は、ワークスタイル変革に悩む多くの企業にヒントを与えてくれるはずだ。


日立ワークスタイル変革ソリューションのコンセプト


イキイキ社員の創出と生産性向上のダブルスパイラルアップで日本を元気に


  • この記事は、日経ビジネス3月29日発売号(4月1日号)に掲載されたものです。
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