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製造業・流通業向けソリューション

日立の在庫評価コンサルティングサービスの活用でガスメーターの在庫半減に成功し、
メーカーと工事会社を含む「トリプルWIN」を達成

東京ガス株式会社(以下、東京ガス)は、2005年から2007年にかけての1年半で、ガスメーターの在庫を半減しました。
東京ガスは年間約120万台のメーターを購入し、その2ヵ月分に相当する約25万個の在庫を保有してきましたが、メーカーへの発注や工事会社への納品に関するリードタイムを短縮することにより、約13万個に削減したのです。
実現にあたっては、日立が提供する在庫評価コンサルティングサービスを活用。2004年から稼働している日立のSCPパッケージ「SCPLANシリーズ」の機能を最大限に引き出して、根本的な物流改革の推進と、精度の高い需給計画ができる体制づくりに成功しました。

約25万個のガスメーター在庫の「半減」が目標

 世界有数のガス会社である東京ガスの顧客数、つまりガスメーター取り付け数は、約1,000万件。メーターは、企業や家庭に設置されていますが、所有者はガス会社であり、ガス会社の資産の大きな部分を占めています。

 同社は、年間120万個を超えるメーターの購入と取り付けを行っており、従来は2ヵ月分として約25万個の在庫を保有してきました。在庫を多く持つことは、倉庫のスペース確保や維持管理に要するコストの増大を招き、キャッシュフロー上も好ましくありません。このような状況の下、2005年、メーター在庫の半減をめざすプロジェクトがスタートしたのです。

メーカーと工事会社を含む「トリプルWIN」をめざす

写真:東京ガス株式会社 兵藤 元宣 氏
東京ガス株式会社
導管部
メーター統括グループ
グループマネージャー
兵藤 元宣 氏

 「実は、メーターの在庫削減にはプロジェクト開始の数年前から取り組んでおり、発注・購買および資産管理システム、メーター・工材請求システムを次々に刷新してきました。けれども在庫を大幅に減らすまでには至らなかったのです。そこで必要なのは、プロフェッショナルな視点での的確なアドバイスに基づく、思い切った変革であると決断しました」(兵藤氏)。

 同社は2004年に日立のSCPパッケージ「SCPLANシリーズ」を使って需給計画システムを構築し、ガス管などの工事材料の在庫削減に大きな成果をあげてきました。しかし、メーターについては、SCPLANだけでは十分な効果が出せませんでした。そこで利用したのが、日立が提供する在庫評価コンサルティングサービスです。

 「SCPLANは優れたツールですが、これを単に運用するだけでは、欠品を起こさず在庫を大幅に削減することは難しい。購買計画の精度を上げる設定のしかたを工夫するなど、ツールの機能を最大限に引き出す必要があります。日立の生産技術研究所も参画して評価を進めるコンサルティングサービスは、ツールの使いこなしや在庫のとらえ方についてのノウハウを身につけるうえでも有効でした」(兵藤氏)。

写真:株式会社 日立製作所 池澤 克就
株式会社 日立製作所
生産技術研究所
生産システム第一研究部
第1研究室
(SCM・経営システム)
研究員
池澤 克就

 同社は、2005年11月から日立とともに取り組みを開始し、まず在庫の現状分析を行いました。数年分の在庫変動パターンを分析し、100種以上あるメーターの型番ごとに需給特性を把握したうえで、「1年半で在庫を13万個に半減させる」という目標を設定。この目標実現に向けたマスタープランを作成したのです。

 「SCPLANは、日立の生産技術研究所が日立自身のさまざまなSCM改革に取り組んできたノウハウを結集して開発に携わってきた製品ですから、今回の取り組みでは、現場の実情を踏まえた使いこなしの知見を最大限に活かすことができました。さらに本件では、ビジネス環境の変化へ柔軟に対応するための工夫を加えましたので、やりがいがありました」(池澤)。

 マスタープランの基本方針は、東京ガスだけではなく、メーカーと工事会社を含む3者がメリットを享受できる「トリプルWIN」をめざすというものでした。

写真:東京ガス株式会社 岡田 敏雄 氏
東京ガス株式会社
導管部
メーター統括グループ
計画・物流担当部長
岡田 敏雄 氏

 たとえば、メーカーには、発注予定数を事前に内示し、効率的な生産計画を実現するとともに、メーカー倉庫に保有していたメーターを東京ガス指定の配送センターに集約し、在庫管理の負担を減らすことをめざしました。また、東京ガスの在庫拠点から250拠点ある工事会社への供給ルートを、直接配送方式に変更し、工事会社の在庫削減とサービスレベルの向上をめざしました。このように東京ガスでは、両者にメリットを提供し、在庫半減を実現することをめざしたのです。

 「プロジェクトをスタートしてから半年間、在庫はなかなか減少しませんでした。しかし、わたしたちは、日立と共に作成したマスタープラン、在庫分析により抽出した重点監視すべきメーター、理論計算による必要在庫数、これらに自信を持っていたので、メーカーや工事会社を巻き込んだ在庫削減に果敢に取り組むことが出来ました。このような継続した取り組みの中で、約半年後、理想値に向けて保有在庫の急激な減少が始まったのです」(岡田氏)。

図:メーカーと工事会社を含む「トリプルWIN」を達成した東京ガス
メーカーと工事会社を含む「トリプルWIN」を達成した東京ガス
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メーカー在庫もなくなり、発注翌日納品を確立

写真:東京ガス株式会社 山崎 誠二 氏
東京ガス株式会社
資材部
調達企画グループ
兼 導管部
メーター統括グループ
山崎 誠二 氏

 2007年4月、予定より早くメーターの在庫数は目標を達成、その後若干の増減はあったものの、2007年10月からは安定的に平均13万個の在庫で推移するようになりました。1年半で顧客数は約40万件も増えているにもかかわらず、「1年半での在庫半減」に成功したのです。最大時の28万個と、最小時の12万個を比べると、実に16万個の減少であり、単純計算すると16億円のキャッシュフローを確保できたことになります。

 メーカー在庫もなくなりました。また、計画生産ができるようになったことから、メーターの製造期間も従来の2ヵ月から1ヵ月(最短では2週間)へと大幅に短縮することができました。工事会社も注文した品が翌日には配送される体制が整ったため、設置工事にあわせて確実にメーターを手に入れることができるようになりました。在庫を1ヵ月分に圧縮しても、工事会社においてこのように高いサービスレベルを維持できるということはシステムだけではなく、コンサルティングが融合して常に全体最適の視点で在庫の可視化を実現したからにほかなりません。

 「在庫を持たないことで、欠品リスクは大きくなり、在庫管理を担当するわたしたちの責任も重くなってきました。また、在庫削減を追求した結果、発注サイクルは短くなっており、表計算ソフトによる手作業では的確な発注のコントロールは困難な状況です。わたしたちは、日立のコンサルタントからSCPLANの活用方法についてアドバイスを受けながら、毎日地道に在庫の状態をチェックし、発注量やタイミングのコントロールを工夫しています」(山崎氏)。

写真:株式会社 日立製作所 倉田 剛
株式会社 日立製作所
生活産業システム部
主任技師
倉田 剛
日立フーズ&ロジスティクスシステムズ出向中(2008年2月現在)

 「日立が本来めざしているのは、システムを導入することだけではなく、お客さまが実際の効果を享受してくださることです。特に、需給計画などの大規模なシステムは、導入した後できちんと評価と分析のフェーズを設けていただくことが、導入を成功に導くカギとなります。在庫評価コンサルティングサービスは、『もう一段上の改革をしたい』、『せっかく導入したシステムをもっと使いこなしたい』と考える意欲的なお客さまを常に適正な形で支援します」(倉田)。

 日立の在庫評価コンサルティングサービスが提供する知見を最大限に活用することで、なかなか実現できなかった在庫削減についに成功した東京ガス。今後は、「平均13万個」の水準維持に努めつつ、さらなる需給計画の精度向上に知恵を絞っていく計画です。

[お客さまプロフィール]東京ガス株式会社

写真:エコウィル

[本社] 東京都港区海岸1-5-20
[創立] 1885年10月1日
[資本金] 1,418億4,400万円(2007年3月末現在)
[従業員数] 7,968名(2007年3月末現在)
●事業概要
ガスの製造・供給および販売、ガス機器の製作・販売およびこれに関連する建設工事、冷温水および蒸気の地域供給、電気供給事業を展開。「2006〜2010年度グループ中期経営計画」を実行中で、関東200km圏のより広域なエリアにおけるガス・電力のマルチエネルギー供給をめざす。

1kW家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステム「ECOWILL(エコウィル)」は、都市ガスを使ってガスエンジンを動かして発電すると同時に、排熱を利用してお湯を作り、給湯や暖房に利用する。高効率な運転で快適かつ、エコロジーで経済的な生活を支援する。

用語解説

  • SCP : Supply Chain Planning
  • SCM : Supply Chain Management
  • *本サイトで紹介しておりますソリューションについてのお問い合わせは株式会社 日立製作所 産業・流通ビジネスユニット 営業統括本部が承っております。掲載団体への直接のお問い合わせはご遠慮願います。
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