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Hitachi

小川 純
独自技術による最適化を
国内、海外のより多くのお客さまへ。

株式会社 日立製作所
金融ビジネスユニット
金融第一システム事業部
第二本部

デジタルエンジニア小川 純

日立の最適化ソリューションを支えるエキスパートを紹介するインタビューシリーズ。今回話を聞いたのは、金融システムの開発担当を経て、CMOSアニーリングの事業推進プロジェクトマネージャーを務めている小川純。日立の独自技術CMOSアニーリングとの出会い、新技術を活用したさまざまな最適化案件と事業の展望などについて語ってもらいました。

磁性体の性質を説明するために考案されたイジングモデルを用いて組み合わせ最適化問題を解くために日立が開発している新型コンピューター。

Q1 これまでの経歴を教えてください

学部・大学院での専攻は純粋数学でしたが、数学だけでは生活していけないと思い、その知識を生かせる分野として金融に関心を持ちました。そこからシステム、業務とより幅広く知識が獲得できそうな職種としてSEをめざし、数学の専門資格を持って働いている先輩の存在を知ったことなどから、自分もそのように数学を生かせる仕事に就けたらと日立に入社しました。入社後は地方銀行のマーケットリスクを定量的に評価するシステムの開発を2年ほど担当し、続いて証券取引所や地方銀行の資金証券システム、国際会計基準のプロジェクト、メガバンクの勘定系システム開発などを経験してきました。その後、日立の中央研究所でCMOSアニーリングという新技術に出会い、お客さまとの協創で勤務シフト最適化やポートフォリオの最適化への適用を進めるとともに、新たな事業の推進に従事してきました。

Q2 最適化のどのような業務を担当していますか

プロジェクトマネージャーとして、CMOSアニーリングの事業推進を行うとともに、提案やニーズ調査といった上流工程の業務を担当しています。私自身は特定の業種に限定せずに、チームのメンバーが担当しているさまざまなお客さまの最適化課題にアプローチして、困難な課題においては担当メンバーやお客さまと一緒になって解決策を探っています。最適化の効果を最大限発揮するには、現状の業務を見直していくことも必要であり、CMOSアニーリングを使ったシミュレーションで効果を示しながら、業務改革の提案や交渉を行っています。

またCMOSアニーリング自体がさまざまな進化を遂げる可能性の高い技術なのでどのようにほかの技術と差別化し、どのように高度化させていくかも検討していて、お客さまの声や実証実験の情報を基に製品事業部や研究開発グループとアップデートに向けた議論を重ねています。

小川 純

Q3 CMOSアニーリングに関わるきっかけは

メガバンクの開発プロジェクト終了後に当時注目を集めていたAIを使った提案に関わっていましたが、AIを活用した案件は他社との競合が多く、採用される確率も低かったため、より日立独自の強みを持つ技術がないかと探していました。そうしたときに研究所で開発が進んでいたCMOSアニーリングの存在を知り、新規事業化の担当を希望しました。最初に取り組んだのはポートフォリオ最適化の案件で、入社以来携わってきた銀行のリスク管理の業務知識が生かせるものでした。その案件の経験からほかの業務課題にもCMOSアニーリングを適用できると確信して、さまざまなお客さまにこの新技術を紹介しながら協創を進め、勤務シフトや配送計画などさまざまな最適化課題に挑戦してきました。

Q4 最適化に取り組むようになって変わったことは

お客さまと会話を重ねて、業務の中身を理解してシステムをつくるという仕事の取り組み方は、最適化においても業務の細部まで理解して課題を見つけることに生かされていると思います。またCMOSアニーリングという新しい技術を扱うようになっても、広く浅く見る視点と、ターゲットを見つけたときに深く掘り下げていくことの両方が大切なのは変わりません。変わったことといえば、金融業界以外のお客さまの案件が大幅に増えたことでしょうか。例えば、勤務シフト最適化にしても、人員不足というのはどの業界にとっても今後の重要な業務課題なので、より多くのお客さまに採用していただき喜んでいただければと思っています。最近では、ベトナムの郵便配送計画を、CMOSアニーリングを使って最適化するプロジェクトがスタートしました。これをきっかけに、世界各国の配送業務の活用をめざすと共に、その他世界各国で使ってもらえるユースケースを作り上げて行きたいと考えています。

小川 純

Q5 最適化における日立の強みはなんでしょう

日立には、それぞれのお客さまの業務に精通したSEがいます。そうした人財と最適化の専門部門である私たちが一体となって対応することで、業務課題にフィットした最適化を提供できると思っています。最適化の提案にはお客さまの業務を知ることが欠かせませんが、SEが蓄積している情報を我々最適化チームが事前に把握できるので業務内容や課題の理解に近づくことができます。日立の事業領域は幅広いので、幅広な分野の専門SEの知見を活かせることが大きな強みになっていると思います。

また、製品開発部門や研究開発部門が同じ社内にあることです。CMOSアニーリングに関しても、私たちから適用に際しての技術的な課題を伝えると、それに対する解決策を検討してくれるなど、お互いにキャッチボールしながらソリューションをパワーアップしていける体制が整っていることが強みだと思います。

Q6 今後に向けた取り組みとめざしていきたいもの

お客さまにより早く最適化の効果を実感していただけるように、CMOSアニーリングクラウドサービスを立ち上げました。クラウドサービスを使ってお客さまのデータを最適化することで、メリットを示しながら運用に向けた提案ができるように進めています。これからも最適化へのニーズが高まっていくと考えられる中、アニーリングという分野に関しては日本が世界をリードしていると思うので、技術的により強化しながら海外の市場にもアピールしていきたいと思っています。私個人としては、 CMOSアニーリングと出会えたことで、お客さまと価値協創をしながら新しいビジネスに関われていることに、とてもやりがいを感じています。将来的には、ほかの技術にも取り組んで、世界で誰もやっていないビジネスをつくり上げていきたいと考えています。

プロフィール

経歴

2001年入社
金融システム事業部で地方銀行向けのリスク管理システム、資金証券システムでシステム設計、導入などを経験し2012年よりメガバンクの勘定系システム更改を担当。2018年にCMOSアニーリングと出会い、以降本事業を推進するにいたる。

担当業務(得意)領域

  • 事業推進およびチームマネジメント、各案件では適用可能性の議論や提案を中心に活動

これまでの主な実績

  • 銀行:勤務シフト最適化PoC
  • 保険:再保険ポートフォリオ最適化PoC
  • 鉄道:車両割当・乗務員運用最適化PoC
  • 流通:配送計画最適化PoC
  • 卸売業:倉庫内の在庫配置最適化PoC
  • 物流業:配送計画最適化PoC
  • 運輸業: 経路最適化PoC
  • 事務センター:要員配置最適化PoC
  • 通信キャリア:要員配置最適化
  • 金融機関:要員配置最適化、事務作業計画最適化

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