ページの本文へ

Hitachi

2020年2月10日
株式会社日立製作所

  株式会社日立製作所(以下、日立)が開発した循環器科向け超音波診断装置が、米国のR&D World社が主催する2019 R&D 100 Awardsを受賞しました。

  R&D 100 Awardsは、産業界・学界・政府支援による研究を対象に、過去1年間に実用化された製品・技術の中から最も優れた100件を選出し表彰するものです。1963年から「技術の優位性」を評価基準にて本表彰を行ってきた歴史があり、世界的に権威のある技術賞のひとつです。今回の受賞は、製品の社会的価値、技術発展の可能性が評価されたものです。

  超音波診断装置は、被検者の身体を傷つけることなく、リアルタイムに体内を画像化できるため、医療現場で欠かせない検査機器となっています。従来の2D画像撮像用のプローブで心臓の心室体積を計測するためには、検査者が被験者の胸に当てるプローブの向きを変えて画像を複数枚取り込む必要がありました。この場合、心臓の各断面は異なる心拍の画像となってしまうため、心室体積の正確な計測のためには同一心拍内の同期が取れた複数断面画像を得ることが望まれていました。日立は3D経胸壁マトリックスプローブ*1を2018年に開発し、検査者がプローブを動かさずに必要な心臓の断面全てを一心拍の間に取り込むことを可能としました。さらに開発した駆出率*2自動計測機能は、3Dプローブで取得した一心拍分の画像データから、最適断面と、心室容積が最大(拡張末期)・最小(収縮末期)になるタイミングを自動的に選択し、心臓のポンプ機能を診断するための重要な指標である駆出率を計測します。これによりエコー検査時間の大幅な短縮が可能になり、被検者の負担軽減と検査者のワークフローの改善、さらには病院の検査スループット向上が期待されています。
  日立グループは今後も、技術開発を通して、科学技術および産業の発展に貢献していきます。

*1
3D経胸壁マトリックスプローブ: 超音波ビームを照射し反射生体信号を受信する役割を担う振動子を2次元に並べることで、超音波ビームを3次元方向に制御し、胸に当てて心臓の3D画像を得ることが出来るプローブ。
*2
心拍ごとに心臓が送り出す血液量(心臓の拡張時の左心室容積から収縮時の左心室容積を差し引いた容積差)を、心臓が拡張したときの左心室容積で割った値。心臓が体内に血液を送り出す能力を表す。

関連情報