栃木銀行の営業店ナレッジシステムは、2002年9月から稼働を開始。営業店端末の入れ替えが完了した支店で利用されはじめており、2003年9月までに、すべての支店へ行き渡る計画だ。
電子化された情報は、事務マニュアル、コードガイダンス、事務規程集、Q&Aなどである。
以前に業務を標準化したときに作成した業務フローを画面に表示し、そこから必要な情報が参照できるようにした。これにより経験の少ない担当者でも、業務ごとに全体の作業の流れを理解でき、経験者と同等の業務が行えるようなナビゲーションが可能である。そして、特定の作業プロセスのアイコンをクリックすると、そのプロセスで必要となる帳票名、記入例、注意事項が画面の右部に表示される。また、ボタンをマウスでクリックするだけで、事務規程集の中のいま参照している作業プロセスに関わる部分に飛んだり、Q&Aや詳細情報などを参照することができる。なお、詳細情報とは、ベテラン行員が業務上の注意点を特記したもので、ナレッジのかたまりである。
また、どの情報も業務フローからとは別に、キーワード検索もできる。事務規程集とQ&Aは全体の目次を表示させて、必要な箇所に進みながら読んでいくこともできる。読んでいる途中で、業務フローの画面に戻ることも可能だ。
営業店ナレッジシステムの利用が全店に広がれば、紙の事務規程集は廃止する。印刷費は削減され、事務統括部の改訂作業も大幅に省力化できる。
「事務規程Document Management業務ナビゲーション」は、DocumentBrokerという強力な文書管理システムをベースにしているため、確実な改訂履歴管理ができる。しかも改訂作業自体は、メニュー選択の操作とMicrosoft(R) Wordで文書を作成する作業が中心であり、誰でもすぐに使いこなせる。上司の承認を得る作業などもワークフロー化されているため、マウスのクリックだけで確実な更新作業ができるのである。また、承認された情報で事務規程集が更新される日時は、開示日に合わせてあらかじめ指定しておくことも可能だ。業務フロー画面も、Microsoft(R) Visioを使って簡単に作成・変更ができる。
「これからは、変更が発生すると同時に、事務規程集本体をスピーディに変更できます。それを92支店で即座に、イントラネットのWebブラウザを使って見られますから、業務の『堅確化』が実現できるのです」と阿久津氏は自信を込めて語る。窓口担当者がいちいち離席して不明点を調べに行かなくても済むため、窓口対応がスピーディになり、来店客の待ち時間も短縮できると期待される。
今後は、電子化されていないマニュアル類を積極的に取り込む一方で、新人教育に利用するなど、使い方も広げていく計画だ。
「DocumentBrokerを中核にしたソリューションにしてよかったと思うのは、後からナレッジを加える作業が非常にスムーズにできることです」と、栃木銀行 事務統括部 係長 山口 貴史氏は言う。柔軟性の低いパッケージとは異なり、「事務規程Document Management業務ナビゲーション」は後から機能を追加して、完成度を高めていくことができる。「これまで本店に集約されていたナレッジを全店で共有することで、新たなナレッジを蓄積できるのが楽しみです」と、山口氏は意欲的に語った。
業務フロー画面例(普通預金)新規口座開設
作業プロセスのアイコンをクリックすると必要な帳票名、記入例、注意事項が画面の右部に表示される。また、関連する事務規定や詳細情報が参照しやすく設計されている。
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