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2013年2月20日

災害現場における遠隔操作型移動装置のための
新たな無線通信システムを開発

  株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、新エネルギー・産業技術総合開発機構(理事長 : 古川 一夫/以下、NEDO)の「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」にて遠隔操作型移動装置が、長期的・安定的に制御・操作可能となるよう、多重性・多様性を有する無線通信システムを開発しました。
  本無線通信システムは、NEDOの同プロジェクトの下で開発した小型高踏破性遠隔移動装置等に通信機を搭載することで、各移動装置の遠隔無線操作が可能となる共通無線通信ネットワークとして災害現場における無人化システムを実現します。
  災害現場においては、可燃性ガス、温度・湿度、放射線等の環境調査や水、ガス等のサンプル採取、ガレキ除去等の作業が必要となりますが、苛酷な環境においては、遠隔かつ無人での装置等の操作が必要となり、各種の遠隔操作型移動装置が投入されます。
  本無線通信システムは、無線通信中継局と、無線通信中継局同士を接続するケーブル、システム全体を管理するコンピュータから構成されます。災害現場における各種移動装置の作業エリアに対し、本無線通信中継局を適切に配置し、必要に応じて複数の無線通信中継局を追加で設置することで、広範囲に安定的な無人化システム用の通信ネットワークが構築でき、各種移動装置の長期的・安定的な制御・操作が実現できます。
  今回開発した無線通信システムの特長は以下の通りです。

(1) 無線通信周波数の二重化
本システムは、無線LAN規格(IEEE802.11a/j)に適合する周波数帯から異なる2種類の周波数(5.2GHz、4.9GHz)を採用しています。2種類の周波数を相互バックアップ、もしくは、通信経路の拡張に活用可能なシステムとし、遠隔操作型移動装置の安定・冗長的な通信ネットワークの構築を可能とします。
(2) 断線時における通信機能の維持
本システムは、無線通信中継局との間の2系統の有線LANと電源を、1本のケーブルで接続する複合ケーブルを採用しています。無線通信中継局間の複合ケーブルが断線となる場合でも、通信信号は無線通信中継局間を無線LAN通信にて接続してバックアップできる、有線/無線ハイブリッド方式となっています。かつ、複合ケーブル断線による電源供給無しの状況でも無線通信中継局の機能を維持するためのバッテリーを搭載し、電源が切れてから8時間程度は動作可能とすることで、無線通信にて稼動中の移動装置が現場から帰還することを可能とします。
また、無線通信中継局内部機器の故障発生により、2系統の通信のうち片系統が機能喪失した場合でも、他方の通信系に情報を集約することで、通信機能を維持可能とします。
(3) 通信システムの遠隔モニタリング
本システムは、無線通信中継局が災害現場に配置され、無線通信中継局や接続用複合ケーブルの稼動状態を直接確認することが困難となるため、管理用コンピュータによる遠隔でのモニタリングを可能とします。モニタリング機能として、ネットワーク機器の状態監視、各移動装置への通信経路の監視、バッテリーの状態監視を行い、通信ネットワークの機能健全化を図ります。
(4) 移動装置搭載通信ボックスの1ボックス化
本システムに使用する移動装置搭載通信ボックスは、各種移動装置への搭載性を考慮した形状としています。NEDOの同プロジェクトで開発される小型高踏破性移動装置には、設置面積を最小化するための縦型ボックス形状を、大型の荷揚台車や作業台車には、収納スペースを考慮し、設置高さを最小化するための平型ボックス形状を採用するなど搭載性を考慮した対応を図ります。また、各移動装置用通信ボックスは、1ボックス構成とし、移動装置上での配置を容易としています。
(5) 無線通信中継局の設置無人化
本システムを構成する無線通信中継局及び複合ケーブルについては、設置の無人化を可能とする工夫を図っています。無線通信中継局は直方体のボックス構造とし、簡易リフター、フォークリフターの機能を有する移動装置により輸送・設置を可能とするインターフェースを取付け可能としています。また、無線通信中継局に取付けられるアンテナ部には、ロボットアームによる伸縮を容易とする円盤状のガイドを取り付け、ロボットアームの簡易動作により伸縮を可能とします。さらに、無線通信中継局間を接続する複合ケーブルの接続部には簡易なロボットアーム/ハンド機構により着脱可能なガイドを取り付け、遠隔操作により着脱を可能としています。

  今回開発した無線通信システムは、災害現場における各種移動装置運用のための無線通信環境構築に向け、今後、東北大学大学院情報科学研究科応用情報科学田所研究室と協力し対応する予定です。

[画像]今回開発した通信システムの概念図

[画像]無線通信局の外観

無線通信中継局の主な仕様一覧
No. 仕様項目 仕様
1 適用周波数と
無線LAN規格
4.9GHz : IEEE802.11j
5.2GHz : IEEE802.11a
2 アンテナ数 4本(各周波数毎に2本)
3 バッテリー持続時間 8時間以上
4 材質・構造 アルミ・密閉型
5 寸法
(中継局部)

(バッテリー部)
※コネクタ部を除く
W300×D410×H200
(H : アンテナ収納時744、
伸長時1444)
W408×D538×H156
6 質量
(中継局部)
(バッテリー部)
約12kg
約16kg

[画像]移動装置搭載ボックス(平型) の外観

動装置搭載ボックスの主な仕様一覧(平型)
No. 仕様項目 仕様
1 材質・構造 アルミ・密閉型
2 寸法
※コネクタ部を除く
W268×D380×H50
3 質量 約4kg

[画像]移動装置搭載ボックス(縦型) の外観

移動装置搭載ボックスの主な仕様一覧(縦型)
No. 仕様項目 仕様
1 材質・構造 アルミ・密閉型
2 寸法
※コネクタ部を除く
W195×D135×H190
3 質量 約3kg

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 原子力事業統括本部 [担当 : 米谷]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町5丁目2番2号
電話 0294-55-5473(直通)

以上

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