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2012年12月13日
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
株式会社日立製作所

東京都立産業技術研究センターと日立、
超高速無線通信評価システムの共同開発を本格化

  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(理事長 : 片岡 正俊/以下、都産技研)と株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、次世代の無線LAN周波数として期待される60GHz帯を利用した超高速無線(ミリ波)通信の評価技術確立に向けた共同研究(以下、本共同研究)を、本格的に開始しました。
  本共同研究は、膨大なデータの送受信が可能な周波数に対応した新しい無線通信デバイス(スマートフォン、タブレットPC、組込み用無線モジュール等)が、業界標準規格*1に基づくものかを検証するための取り組みの一つであり、今後の超高速無線通信の普及に貢献するものです。

  近年、スマートフォンやタブレットPC等の普及に伴い、高精細な写真、動画などの大容量のデータをインターネットで視聴・共有したり、モバイル端末間でやり取りするニーズが急増しています。現在、これらの通信環境には、2.4GHz帯や5GHz帯の無線LANやLTE(Long Term Evolution)等のデジタル携帯電話網が利用されていますが、通信スピードや周波数の帯域不足といった課題があり、これらの膨大なデータをワイヤレスで送受信するための周波数として、新たに60GHz帯利用に期待が高まっています。
  超高速無線(ミリ波)通信環境が整うことにより、例えば、駅やコンビニエンスストアに設置されたKIOSK(キオスク)端末から手元にあるスマートフォンへハイビジョン映像などの大容量データのコンテンツを瞬時に転送することや、DVDレコーダーやゲーム機本体とディスプレイ間をワイヤレスかつ無遅延で接続することが可能になります。

  都産技研と日立は、2012年6月に、「超広帯域ミリ波周波数変換装置とその特性評価方法の開発」に関する共同研究契約を締結して、双方のこれまでの研究で培った60GHz帯無線通信に関するノウハウを融合し、共同で超高速無線通信の評価技術確立に向けた検証を進めていくことで合意しました。今回、都産技研において60GHz帯での通信品質評価環境が整ったことを契機に共同開発をさらに本格化させます。
  本共同研究では、今後、開発が進むと予測される60GHz帯に対応したデバイス(スマートフォン、タブレットPC、組込み用無線通信モジュールなど)開発企業向けに、無線通信品質の評価システムを提供することをめざします。具体的には、従来の無線LANと比べ周波数帯域が広く*2、かつ計測装置が高額なため評価測定の難しかった60GHz帯無線通信におけるEVM*3, アイパターン*4、コンスタレーション*5、スペクトルマスク*6といった通信品質測定方法の検討や、デジタル信号処理技術を活かした周波数変換デバイスの特性測定および性能向上、さらには高性能・低価格な通信品質測定用ミリ波コンバータ*7を共同で開発します。

  都産技研は、これまで、中小企業のものづくりを支援するために、アンテナ暗室、アンテナ評価等の無線関連の技術支援を実施し、次世代の無線LAN周波数として有望な60GHz帯でのサービス拡充に向けた開発を行ってきました。
  日立は、今後の利用拡大が見込まれる60GHz帯に対して、2010年7月に、総務省の「電波資源拡大のための研究開発」のうち、「超高速近距離無線伝送技術等の研究開発」を受託し、主として無線端末間の干渉回避技術に関する研究開発を行っています。その成果として、業界標準規格に基づく無線信号発生ソフトウエアを開発するとともに、60GHz無線通信評価用アップダウンコンバータを製品化しています。

  本共同研究は、2013年3月に終了を予定しています。都産技研は、2013年度内を目途に、ミリ波通信の性能評価を開始する予定です。また、日立も同時期までに、現在試作中のミリ波コンバータの製品化を行う計画です。今後も、ミリ波通信の普及・促進に向けて研究開発を進めていきます。

*1
業界標準規格 : IEEE802.15.3cおよびIEEE802.11.ad
*2
60GHz帯では国際的に1チャンネル当り2.16GHzが割当られており、2.4GHz無線LAN(チャンネル当り22MHz)の約100倍に相当する。
*3
EVM : Error Vector Magnitude デジタル通信で使用されるベクトル変調が、正しく行われているかを判定する数値指標。デジタル通信の品質を定量化するために利用されている。
*4
アイパターン : デジタル変調の信号波形を重ね合わせて符号パターンを表示したもの。伝送路や回路での信号劣化を可視化し、雑音や信号の揺らぎを視覚的に捉えるとともに、限界を示すパターンマスクによる統計的な信号品質評価にも使用する。
*5
コンスタレーション : 変調信号の復調結果を表す2次元の軌跡表現。デジタル通信で使用されるベクトル変調が、正しく行われ正確に伝達されているかを判定するために用いられる。
*6
スペクトルマスク : 送信電力のスペクトルが規定の範囲内にあるかどうかの試験を行う周波数毎の上限値。通常は通信規格と共に定められ、この範囲を超えた電波を隣接チャネルに漏洩させないための規定。
*7
コンバータ : 信号やデータの形式・周波数を変換するための装置。無線通信では、周波数を上げるアップコンバータと、周波数を下げるダウンコンバータがある。

システム概要

[画像]システム概要

お問い合わせ先

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 電子半導体技術グループ [担当 : 小林]
〒135-0064 東京都江東区青海2-4-10
TEL : 03-5530-2563

株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ワイヤレスインフォ統括本部 [担当 : 羽生]
〒212-8567 神奈川県川崎市幸区鹿島田一丁目1番2号 (日立システムプラザ新川崎)
TEL : 044-549-1880

以上

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