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Hitachi

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2011年6月9日

金属内部の状態をリアルタイムに三次元画像表示する
超音波探傷システムを開発

  株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、工業用金属部材を切断することなく、超音波によりその内部の状態をリアルタイムに三次元画像で表示する超音波探傷システムを開発しました。本システムは、256個の振動子*1の超音波センサーによって生成される超音波ビームで金属部材を三次元で走査*2し、データ収録から三次元画像表示まで高速で繰り返し処理することで、金属部材内部の状態を、従来に比べ約50倍の毎秒5フレームという速さで画像表示するものです。将来、本システムを発電プラントや鉄道車両などに用いられる金属部材の保守、検査作業で適用すれば、検査精度が向上するとともに作業効率を改善することができるため、より安全・安心な社会インフラシステムの運営に貢献していくことが期待されます。

  超音波探傷とは、金属などの物体内部に入射した超音波の反射を用いて、物体を切断することなく内部の傷などの状態を検査する技術です。現在主流の検査方法は、物体内部を平面的に走査し断面画像で観測する「フェーズドアレイ法」です。フェーズドアレイ法は、超音波センサーに組み込んだ多数の振動子の動作タイミングをわずかにずらすことで、そこから生成される超音波ビームの角度を制御したり、任意の深さに超音波ビームの焦点を絞ることで、物体内部を平面で分かりやすく可視化する技術です。しかし、内部の傷などの状態を立体的に把握するには、複数の断面画像から評価する必要があったため、検査に多くの時間を要するという課題がありました。

  そこで、日立は2008年に物体内部の状態を数秒で検査し三次元画像で表示する超音波探傷システムを開発しました。今回新たに、画像処理速度を高める高速データ変換アルゴリズムと、オンラインで連続処理するプログラムを開発し、従来のシステムの約50倍の毎秒5フレームという高速で三次元画像を表示する超音波探傷システムを実現しました。

  本システムでは、256個の振動子を一度に動作させて生成する、微細で強度の高い超音波ビームを最大4,096本用いて三次元画像表示できることから、約0.5ミリメートルの空間分解能で、微細な傷まで検査することが可能となりました。また、3D-CAD*3と連携した超音波伝播経路解析*4により、初期設定が容易にでき、物体の材質や形状に合わせたリアルタイムな検査を行うことができることから、検査時間を短縮することが可能です。

*1
振動子:電気信号を超音波に変える、又は超音波を電気信号に変えるための素子。電圧をかけると振動する電圧素子が用いられる。
*2
走査:検査する領域を超音波ビームでなぞること。
*3
3D-CAD:3-Dimensional Computer Aided Designの略。コンピュータ支援による三次元設計のこと。
*4
超音波伝播経路解析:超音波が伝播していく経路を計算機による数値計算で求めるもの。三次元超音波探傷システムでは3D-CADデータを元に計算を行う。

三次元超音波探傷システムの使用事例

[画像上]応力腐食割れ加工した金属試験体(ニッケル基合金、板厚23mm)の内部を深傷、[画像下]表示画像

照会先

株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当:櫻庭]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
TEL : 0294-52-9127 (直通)

以上

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