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2010年12月2日

ウォークスルー型の爆発物探知装置と監視カメラ網を連携した
リアルタイム人物追跡技術を開発

  株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、ウォークスルー型の爆発物探知装置と監視カメラ網を連携させ、服や手荷物から爆発物(手製爆薬*1)の成分が検出された人物の通行経路と現在位置をリアルタイムに追跡する技術を開発しました。本技術は、日立独自の爆発物探知装置に類似画像高速検索技術*2を組み合わせ、さらに、施設内の監視カメラの画像の中から、爆発物が検出された人物の画像を繰り返し検索する検索アルゴリズムを新たに開発し、実現したものです。本技術により、多くの人々が利用する駅やイベント会場などにおいて、歩行者の流れを妨げることなく、爆発物の探知と爆発物が検出された人物をリアルタイムに追跡することが可能になります。

  近年、国民の安全・安心に対する関心が高まる中、主に空港など限られた施設で利用されていた高いレベルのセキュリティ技術を、駅やイベント会場など、不特定多数の人々が集まる施設でも利用するために技術開発が進められています。

  日立は、文部科学省の「安全・安心科学技術プロジェクト」に2007年より3年間参画し、高感度の質量分析技術*3を応用して、服や手荷物に付着した手製爆薬の成分を、探知装置通過後3秒以内に検出するウォークスルー型爆発物探知装置の開発に取り組んできました。従来の装置では約20秒を要していた検出時間を1/6以下に短縮できることから、歩行者の流れを妨げることなく高いセキュリティを提供する技術として期待されています。しかし、探知結果が判明した時には、対象者は装置を通過し3m程度進んでいるため、他の歩行者の通行を妨げることなく運用するには、装置を通過した対象者を確実に追跡することが課題となっていました。

  そこで日立は、まず1,000万枚の画像から、わずか1秒で類似画像を見つけ出す類似画像高速検索技術をウォークスルー型爆発物探知装置と組み合わせました。さらに、爆発物が検出された人物の画像をもとに、施設内に設置された多数の監視カメラで撮影された映像の中から対象者の画像を繰り返し検索する検索アルゴリズムを新たに開発することで、爆発物の探知後も対象者をリアルタイムで追跡する技術を実現しました。
  装置を通過した人物から手製爆薬の成分が検出されると、通過時の対象者の画像をもとに、施設内の各監視カメラの画像に対して類似画像検索が繰り返し行われ、対象者の画像(類似画像)が撮影されたカメラの位置と時刻情報から、対象者の通行経路と現在位置をリアルタイムで追跡します。

  本技術により、多くの人が利用する駅やイベント会場などにおいて、歩行者の流れを妨げることなく、爆発物の探知と爆発物が検出された人物のリアルタイムな追跡が可能となり、高いレベルのセキュリティを実現することが期待されます。

  なお、本研究成果は12月9日より山口大学にて開催される社団法人電子情報通信学会のパターン認識・メディア理解研究会にて発表予定です。

今回開発した技術の詳細

1. 爆発物探知装置と類似画像検索技術の連携によるリアルタイム人物追跡技術

  ウォークスルー型爆発物探知装置で手製爆薬が検出された場合、装置通過時に撮影した画像の中から複数枚をキー画像として選択します。その後、施設内の監視カメラが撮影した画像の中から、キー画像を用いて類似画像の検索を実行し対象者の画像を見つけ出します。画像の撮影時刻と監視カメラの位置情報から、対象者の移動経路と現在位置を特定します。画像検索は繰り返し実行され、リアルタイムで対象者を追跡します。

2. 複数のキー画像を用いた高速・高精度検索技術

  装置通過時に撮影された画像の中から、複数枚を検索のキー画像として利用することで、検索精度を高めています。

今回開発した技術の概要図

今回開発した技術の概要図

用語

*1
手製爆薬 : 日用品から合成できる爆薬。
*2
類似画像高速検索技術 : 画像の色の分布や形状など、画像自体が持つ情報を自動的に抽出し、高次元の数値情報として表現した画像特徴量に基づいて、見た目が似ている画像を検索する技術。本研究では経済産業省の国家プロジェクト「技術研究組合新情報処理開発機構」(RWCプロジェクト)に参画して得られた成果を利用しています。
*3
質量分析技術 : 化学物質の種類に応じて特徴的なイオンの質量とその信号量を測ることで、何がどのくらい存在するかを高精度・高感度で計測する技術。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当 : 木下、工藤]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 042-327-7777 (直通)

以上

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