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Hitachi

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2009年3月24日
株式会社日立製作所
Opnext, Inc.

次世代高速光通信規格である
100ギガビットイーサネット向け光受信器を開発

伝送速度25ギガビット/秒(1波長)で、10kmの光ファイバー伝送に成功

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)とOpnext, Inc.(CEO:Harry Bosco/以下、オプネクスト)は、このたび、次世代高速光通信規格である100ギガビットイーサネット(10km伝送)用光受信器を開発しました。100ギガビットイーサネットでは、1.3µm帯の異なる4つの波長の光信号を1波長当たり25ギガビット/秒で発信し、10kmの光ファイバー伝送を行います。開発した光受信器は、実用化を想定し、パッケージへの実装が容易な面入射型フォトダイオード*1を採用しました。また、光信号を素子内で反射させる構造にすることにより、面入射型の課題であった受光感度の向上と、光信号から電気信号への変換速度の高速化を両立させました。今回開発した光受信器と、伝送速度25ギガビット/秒の変調器集積型の半導体レーザを用いた光送信器(開発済み)を組み合わせて実証実験を行ったところ、100ギガビットイーサネットに必要な信号レベルを満たしながら、1波長当たり、伝送速度25ギガビット/秒で10kmの光ファイバー伝送が可能であることを確認しました。
  今回開発した光受信器は、国際標準化が進められている100ギガビットイーサネットのキーデバイスの一つであり、情報通信社会のさらなる発展に向けて、光通信機器の高速化に貢献する技術として期待できます。

*1
面入射型フォトダイオード : 光吸収層に対して垂直方向に光を入力することを特徴とするフォトダイオード。低コストな同軸型パッケージへの実装に適している。

  近年、インターネット接続サービスの普及とともに、データ通信や動画配信などのサービスが多様化しており、これにともない、ネットワーク上の通信容量は1年半ごとに2倍の速度で増加するといわれています。このような通信容量の増加に対応し、IT社会をさらに発展させるため、現在、IEEE *2標準化委員会は、次世代の高速光通信規格として、100ギガビットイーサネットの規格策定を進めています。これは、インターネットに代表されるイーサネット形式の通信規格において、通信速度を従来の10ギガビット/秒から、10倍の100ギガビット/秒にするものです。これまでに、伝送速度が25ギガビット/秒で、1.3µm帯の波長の異なる光信号を4波長多重化し、1本の光ファイバーで10kmの伝送を行う方式の採用が決定されています。日立とオプネクストは、2008年2月に、100ギガビットイーサネット対応の光送信器向けに、伝送速度25ギガビット/秒の変調器集積型の半導体レーザを試作し、12kmの光ファイバー伝送実験に成功しています(OFC(Optical Fiber Communication Conference)2008にて発表)。

*2
IEEE : The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略。米国に本部を置く電気・電子技術の学会。

  今回、日立とオプネクストは、100ギガビットイーサネットに対応した光送受信器の実現に向けて、25ギガビット/秒の光信号を受信し、電気信号へ変換する光受信器を開発しました。本技術の特長は、以下のとおりです。

  100ギガビットイーサネットでは、通信速度の高速化・大容量化を実現するため、4つの異なる波長を伝送する波長多重が用いられます。そこで、100ギガビットイーサネット用光受信器には、4つの波長を分離する光分波器が不可欠ですが、この部品を組み込むことにより、光信号が減衰します。さらに、100ギガビットイーサネットでは、10ギガビットイーサネットと比較し、1波長当たりの伝送速度が2.5倍と大きくなるため、雑音成分が増え、信号対雑音比が小さくなります。このため、現行の10ギガビットイーサネット(伝送距離40km)用光受信器と比較し、光受信器の高感度化が求められます。今回、光受信器の受光素子に、パッケージへの実装が容易な面入射型フォトダイオードを採用するとともに、光信号を素子内で反射させる高反射ミラー構造*3を新たに開発しました。これにより、面入射型の課題であった受光感度の向上と、光信号から電気信号への変換速度の高速化の両立を実現しました。また、パッケージには、低コストな同軸型パッケ*4を採用しました。これまで、同軸型パッケージは、20ギガビット/秒を超える高速通信向けの光受信器では、電気信号の伝送損失が大きく、適用が困難でしたが、今回、実装方式を工夫することにより、採用を可能にしました。

*3
高反射ミラー構造 : 電極用金属膜と誘電体膜の組み合わせを最適化することにより、ミラーの高反射率化を実現するもの。
*4
同軸型パッケージ : 円筒形の構造部品を積み重ねるようにして構成するパッケージの一種で、簡易な構造のため、製造しやすい。また、低コストで量産性にも優れている。

  今回、新たに開発した光受信器と、開発済みの半導体レーザを用いた光送信器を組み合わせて実証実験を行ったところ、100ギガビットイーサネットに必要な信号レベルを満たしながら、1波長当たり、伝送速度25ギガビット/秒で10kmの光ファイバー伝送が可能であることを確認しました。

  本技術は、3月22日から26日まで、米国サンディエゴで開催されている光ファイバー通信会議「OFC(Optical Fiber Communication Conference)2009」にて発表します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下、工藤]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 42-327-7777 (直通)

日本オプネクスト株式会社 マーケティング本部プロダクトマーケティング部 [担当:江良]
〒244-8567 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地
TEL : 045-865-7000

以上

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