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2008年10月21日

自動車のスムーズなコーナリングを実現する
自動ブレーキ制御システムを実証

ドライバーのハンドル操作にあわせて自動的にブレーキを制御

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、自動車のスムーズなコーナリングを実現することを目的に開発した、ドライバー(運転手)のハンドル操作にあわせて自動的にブレーキやアクセルの加減速を行う制御技術について、操舵性の向上、乗り心地改善等の効果を確認しました。具体的には、自動車がカーブ(曲線)に差し掛かった際に、ドライバーがブレーキを踏むことなく、代わりに制御装置がハンドルの操作にあわせて熟練ドライバーの運転技術と同様のスムーズなブレーキ制御を行うものです。
  本実証実験は、日立と神奈川工科大学(学長:小口 幸成/以下、神奈工大)が共同で見出した、熟練ドライバーのハンドルとアクセル・ブレーキの連係操作とそれにより実現されるスムーズな車両運動が、加速度の時間変化(加加速度*)と強い相関関係がある旨の理論を、ブレーキ制御システムに展開し、そのシステムを実験車両に搭載して確認したものです。この技術は、将来の自動運転や無駄なブレーキ操作によるタイヤ磨耗の軽減、燃費の向上など、安全で人と環境に優しい車を実現する次世代運転支援システムに道を拓く技術です。

  近年、地球環境問題の高まりから自動車には、安全性や乗り心地、快適性といった視点に加えて、エネルギーを効率よく使用するための技術が求められています。燃費の改善は、エンジン性能の効率化だけでなく、ドライバーの運転技術にも大きく依存しており、熟練ドライバーとの運転技術に差が見られるコーナリングにおいては、タイミングの悪いアクセルやブレーキ操作によって、大きな差が出ることが確認されています。また、ドライバーの技量は、乗り心地への影響だけでなく、ガソリンの消費、タイヤの磨耗などの点にも大きく影響すると考えられています。
  このような観点から日立では、スムーズなコーナリングを実現する自動ブレーキシステムの研究を進めており、2007年5月に、神奈工大と共同で、熟練ドライバーによるコーナリングのアクセル・ブレーキによる加減速操作が、ハンドルの動作によって発生する車両の横方向の加加速度と強い相関関係があることを見出しました。今回、この理論をブレーキ制御システムに搭載し、半径20mのコーナーに沿って走行する試験を行った結果、オーバースピードでカーブに進入してしまったときでも、制御によって適切な減速が自動的に行われること、車両の不快な傾き運動を低減できることを確認しました。
  詳細は以下の通りです。

  • * 加加速度 : 時間あたりの加速度の変化率

1.熟練ドライバーの運転技術から抽出したブレーキ制御システム

  日立と神奈工大は、熟練ドライバーのハンドルとアクセル、ブレーキの連係操作、およびそれにより実現される車両運動を、加加速度を用いて解析し、熟練ドライバーのアクセル・ブレーキによる加減速操作が、ハンドル動作によって発生する車両の横方向の加加速度と強い相関関係があることを見出しました。これに基づいて、横方向の加加速度からブレーキを制御するシステムを構築しました。

2.安全性の向上とともに不快な車両の傾きを低減

  実験車両では、ドライバーが自分でブレーキを踏む代わりに、制御装置がブレーキを操作する状態を実現しました。また、横加加速度については車速と車の左右への回転速度から横加速度を求め、それを単位時間あたりの変化量に換算することによって推定しました。
  開発したブレーキ制御システムを実験車両に搭載し、半径20mのコーナーに沿って走行する試験を行った結果、カーブに進入可能な限界速度が時速50キロメートルから時速70キロメートルに向上することがわかりました。これはオーバースピードでカーブに進入してしまったときでも、制御によって適切な減速が自動的に行われることを示しており、安全性の向上が期待できることを示しています。
  また、車両に加わる加速度を分析した結果、車両の左右の傾き運動と車両の前後の傾き運動が連係し、車両の不快な傾き運動を低減できることを実験で確認しました。さらに、「路面にはりつくように曲がる」「安心感を持ってハンドル操作ができる」という試乗体験者の感想を得ました。

  本成果は、2008年10月22日から名古屋国際会議場で開催される社団法人自動車技術会秋季大会にて発表します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 機械研究所 企画室 [担当:秋葉]
〒312-0034 茨城県ひたちなか市
TEL : 029-353-3047 (直通)

以上

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