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CFOメッセージ

サステナブル成長を支える、強固な財務基盤とリスクマネジメントキャッシュを最適配分し、株主還元の強化を実現 サステナブル成長を支える、強固な財務基盤とリスクマネジメントキャッシュを最適配分し、株主還元の強化を実現

執行役副社長 CFO兼CRMO

河村 芳彦

三菱商事株式会社執行役員、世界銀行エコノミストを経て2015年に日立製作所に入社。ハーバード・ビジネス・スクールなどでの経験も生かし、2018年からCSO(最高戦略責任者:Chief Strategy Officer)、2020年4月からCFO(最高財務責任者:Chief Financial Officer)として日立の経営改革をリード。2022年4月より現職。

2022年度は、CFOである私がCRMO(Chief Risk Management Officer)を兼務する体制となりました。
これにより、財務・非財務のリスクを総合的に把握し、迅速に意思決定を行うことができた、そんな1年でした。その結果はしっかりと財務成果としてお示しすることができました。
2024中計、さらにはその先の成長に向け、キャッシュ・フロー重視経営をさらに強化するとともに、日立のサステナブル成長のドライバーとなるLumada比率もますます拡大させていきます。

2024中計1年目を終えての成果と課題

 2024中計の初年度である2022年度は、売上収益108,811億円、Adj. EBITA8,846億円となり、親会社株主に帰属する当期利益は過去最高の6,491億円となりました。サプライチェーンの問題に加え、金利や為替の急変など、難しい経営環境が続きましたが、年間を通じてほぼ計画どおりに進捗させることができました。これは、リスクマネジメントなどが奏功した成果であると考えています。
 営業キャッシュ・フローは過去最高を記録し、コア・フリー・キャッシュ・フローも4,164億円と、2024中計で掲げる目標の1.2兆円(3年累計)に向けて順調な進捗です。創出したキャッシュをもとに、2022年度は2,000億円の自社株買いを実施し、年間配当は145円/株と、株主還元への配分拡充も着実に実行しました。
 2023年度には、継続した為替の変動や金利の上昇懸念、中長期的な地政学リスクの高まりや国際環境の不安定化など、事業環境の大きな変化が見込まれます。この厳しい経営環境の中で、資産規模の大きな4事業(日立エナジー、鉄道事業、日立ハイテク、GlobalLogic)を中心に、いかに進捗させていくか、ということは非常に大きな課題です。特に、日立エナジーや鉄道事業には豊富な受注残があります。適切なタイミングで売上収益として認識していくとともに、一時的な投資費用への対応や、プライス・コストコントロールなどの収益改善策をしっかりとフォローする、2023年度をそのような位置づけとすることで、2024中計の目標達成への道筋をきちんと作っていきます。2022年度7.6%だったROICは、将来的な利上げなどのリスク要素の影響を勘案した投下資本の最適化と収益性改善によって資産効率を向上することで改善を図ります。

2024中計目標達成のためのチャレンジ

 2024中計では、年率5〜7%の売上成長率とAdj. EBITA率12%以上の目標を掲げています。収益成長ドライバーであるLumada事業の成長および、GX需要を取り込んで日立エナジーや鉄道事業などのグリーン関連事業を拡大していくことでトップラインを成長させていきます。
 2023年度からは、経営の戦略重点を、従来の事業ポートフォリオ改革フェーズから安定的な成長フェーズに移行しました。具体的には、今後は、安定したボトムラインの成長をめざします。2024年度に600円以上のEPS(Earnings Per Share)、500円以上のCFPS(Core Free Cash Flow Per Share)達成に向け、低収益事業の継続的な見直しなど、利益率改善に向けた検討を継続します。加えて、投資判断の厳格化とロスコストの最小化によってボトムラインをコントロールし、当期利益÷Adj. EBITAのコンバージョンレートを60%以上に安定化させることも大きなチャレンジです。
 キャッシュマネジメントの強化も優先課題の一つです。コスト削減による収益性向上、リスクマネジメントによるロスコスト縮減、運転資本の圧縮、設備投資の厳選・原価低減といった基本動作の徹底によりキャッシュ創出力を強化します。CFPSの成長に向け、2024年度以降には80%以上のコアFCF÷当期利益のコンバージョンレートに改善していきます。

キャピタルアロケーション

 2024中計では、3年累計で1.2兆円のコアFCF創出を掲げています。日立Astemoの一部株式売却などを含めた資産売却による1.1兆円と合わせた2.3兆円の原資は、株主還元に0.8〜0.9兆円、成長投資に1.4兆円以上とバランスよく配分する方針です。株主還元については2022年度に続き、2023年度には、引き続きの増配をめざすとともに1,000億円を上限とする自己株式取得を進めています。配当と自己株式取得を合計した総株主還元は、中長期的な事業計画に基づいてコアFCFの50%と当期利益の50%の双方を還元の目安にしながら、事業成長により得られた利益をもとにしっかり株主の皆さまに還元していきます。
 成長投資に関しては、日立の方向性に合致したM&Aの機会があった場合には、財務レバレッジをフレキシブルに活用することも視野に入れています。ただし、今後は1兆円規模の大型買収ではなく、ボルトオン型(ボルトオン:もともとは工場用語で、切ったり溶接したりしないでそのまま使うという意味)の買収を戦略的に検討していきます。NPV(Net Present Value、正味現在価値)が黒字であることに加え、投下資本の回収期間やROICへの貢献度などを考慮しながら、意思決定を進めていきます。

非財務資本や環境目標に向けた取り組み

 人的資本や知的資本など非財務資本や環境目標達成に向けた取り組みを企業価値として定量評価することはチャレンジングな領域です。先行的な取り組みとして、日立は、京都大学と協力し、人財・環境面の対策が財務にどのような影響があるかを検証しました。その結果、社会価値や環境価値がROIC向上と相関関係があることが分かりました(京大日立共同プロジェクト)。
 今後の開示の拡充に向けては、例えば、CO2排出量削減などの具体的な社会課題に対して、日立の製品・技術が、いかにサステナブル社会の実現に向けて貢献できるか、プラスに働くのかを示していくことなどが考えられます。DEI(Diversity, Equity&Inclusion)にも配慮した日立の人的資本の高度活用も、積極的に発信していく取り組みだと考えます。

2024中計以降のチャレンジと、ステークホルダーの皆さまへのメッセージ

 2024中計以降は、Lumadaがより一層日立全体の売上と利益の成長を牽引していきます。Lumadaの拡大に加え、2024中計以降のさらなる企業価値向上に向けて、6つのアクション、すなわち、「トップライン成長」「収益性向上」「ボトムライン安定化」「キャッシュ創出力強化」「株主還元」「非財務的価値の創出」を同時並行的に進めています。
 まずは、2024中計の着実な進捗・開示と株主還元の実行が、ステークホルダーの皆さまと信頼関係を一層強化する上で非常に重要だと認識しています。私自身も株主・投資家の皆さまと直接お会いし、お互いの率直な考えで議論を交わすことを優先的に考えています。今後も、市場の皆さまの声を真摯に受け止めて、日立の将来や経営戦略などを一緒に議論していきたいと考えています。