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導入事例:札幌市

敬老パス、障がい者助成を向上させた日立の対象者管理/ICカード管理システム

[写真]札幌市風景写真
提供:札幌市

高齢者や障がい者の外出機会と社会参加を促進するため、交通費の助成を行う自治体が増えています。この制度を早くから実施してきた札幌市は、磁気カードからICカードへの切り替えに際し、新たなシステム基盤に日立の「対象者管理/ICカード管理システム」を採用。多様な業務の効率化と自動化を進めることで、職員と市民双方のメリットを高め、より便利で使いやすい制度への改善を図ることに成功しました。

敬老パス、障がい者助成をICカードシステムへ移行

194万人以上の人々が暮らす大都市でありながら、四季折々の豊かな自然にも恵まれた北海道札幌市。札幌市の65歳以上の高齢化率は26.8%※(2019年1月時点)と、全国平均よりは低いものの、今後は75歳以上の後期高齢者が増え、急速に高齢化が進むと予想されています。
札幌市では、高齢者や障がい者に対する福祉事業や社会参加の支援を行う保健福祉局が主管となり、70歳以上の高齢者の外出を支援する「敬老優待乗車証交付制度」(以下、敬老パス)、障がい者などの社会参加と自立の促進を図ることを目的とした「障がい者交通費助成制度」(以下、障がい者助成)をそれぞれ実施しています。
利用対象となる交通機関は札幌市内の地下鉄、市電、バスで、敬老パスと障がい者助成を合わせて約35万人が交付申請を行い、利用しています。敬老パスは、利用者負担金を支払うことで1〜7万円の範囲で希望額をICカードにチャージし、地下鉄・市電・バスを利用できる制度です。
2016年度まで各助成は磁気カードとして利用者に交付されていましたが、2017年度よりICカードに移行し、システム基盤も刷新されることになりました。その背景を、札幌市保健福祉局 高齢保健福祉部 高齢福祉課 長尾 大平氏と障がい保健福祉部 障がい福祉課 岸 龍馬氏は、次のように説明します。

[写真]札幌市保健福祉局 岸 龍馬 氏
札幌市保健福祉局
岸 龍馬 氏

「市内の公共交通機関で利用されてきた共通磁気カードが2015年に利用停止となり、札幌市交通局が発行するICカード乗車券SAPICAの利用範囲が地下鉄から市電、バスへと拡大するなか、敬老パス、障がい者助成においても、より利便性の高いICカードの導入が求められていました。そこで両制度の安定運営を確保し、利用者から要望の多かったカード再発行や助成ポイント・チャージの繰り越しなどの改善も含めた新システムの開発に着手することとなったのです」
2015年、開発案件一式を受注した日立は、2016年10月に対象者の交付情報管理や窓口処理を行う「敬老福祉対象者管理システム」、2017年3月にICカードの発行やチャージ情報を管理する「ICカード管理システム」をそれぞれ稼働。SAPICAの機能をベースに、両システムの複雑な運用を一元的に管理できる新システムをスタートさせました。

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出典:北海道ホームページ「北海道の高齢者人口の状況(高齢化率順)2019年1月1日現在 住民基本台帳人口」より
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この情報は北海道のオープンデータを利用しています。

職員と市民双方の利便性を向上

[写真]札幌市保健福祉局 長尾 大平 氏
札幌市保健福祉局
長尾 大平 氏

新システムでは、SAPICA共通利用センターとのネットワーク構築で、使用履歴を翌日にはシステムで確認できるようになりました。また、障がい者助成では障がいの程度に応じてタクシー券やガソリン券の助成も行っており、I C カードの発行か、SAPICAへのチャージか、いずれかを選択できるようにしました。
運用側と利用者側の双方のメリットについて長尾氏は「システムを導入するまで、敬老パスの対象者は主に紙の台帳で管理しており、毎年対象者全員に申請案内を送付していました。そのため、毎年の申請受付作業や申請内容に応じた磁気カードの交付、交付枚数に応じた返還金の計算などは煩雑で時間を要する仕事でした。新システムでは、磁気カードではできなかったカードの再発行はもちろん、対象外となった方のカードの自動停止も可能となりました。定期的に札幌市の基幹システムと対象者情報が連携されるので、既存の対象者情報は自動更新となり、新規申請のみを受け付ければよく、返還金などの算出も自動計算され、事務作業が大幅に軽減されました。さらに、カードの有効期限もなくなり、残額やポイントを繰り越して利用できるようになって利用者の利便性も上がりました」と満足そうに語ります。

「障がい者助成についても、以前は更新が4月に限定されていたため、更新時期は窓口が非常に混雑しましたが、新システムでは誕生月による更新が可能となり、緩和されました。また、市役所の窓口端末で担当者がボタンひとつでICカードの利用状況、自動算出された金額などを迅速に把握できるようになったことも、事務作業の効率化と利用者へのサービス向上に役立っています」と岸氏からも評価の声をいただきました。
利用者アンケートでも、「カードの有効期限がなくなり、残額を翌年度以降に持ち越すことが可能となった」「1年を通じて必要なタイミングでチャージできるようになった」「カード紛失の際、以前はできなかった残額を残した状態での再発行が可能となった」と、高く評価されており、敬老パス・障がい者助成ともに、以前より申請数が増加したとのことです。

制度変更やシステム改修などにも迅速に対応

一連のシステム開発を支援した日立に対して岸氏は、「2年に及ぶ開発期間中は、仕様がなかなか定まらず、当初の予定が変わるようなこともありましたが、日立はそのつど、こちらの要望を熱心にくみ取り、真摯に対応してくれました。その結果、問題点や細かい運用方法がすべて整理され、非常に良いシステムに仕上がったと考えています。稼働後も、保守対応や制度変更にともなうシステム改修に迅速に対応いただいて、信頼できるパートナーとしての関係は現在も良好に続いています」と高く評価します。
今後も日立は、札幌市保健福祉局との連携のもと、より使いやすく安定的な制度運用をシステム面から力強く支えていきます。

[お客さまプロフィール]札幌市

[イメージ]市役所外観
提供:札幌市

[所在地] 北海道札幌市中央区北1条西2丁目
[人口] 1,969,793人(2020年3月1日現在)
[世帯数] 964,436世帯(2020年3月1日現在)
[職員数] 22,483人(2019年4月1日時点)

特記事項

  • 2020年6月1日 株式会社 日立製作所 ICT事業統括本部発行情報誌「はいたっく」(株式会社 日立ドキュメントソリューションズ印刷)掲載
  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、すべてのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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