
大学院では、数理最適化という手法を使ってロボットの動きを計画する制御工学の研究に取り組んでいました。大学3年の時の授業で数理最適化を学んだ際、応用分野の広い理論であることを知って興味を持ち、研究室配属後も勉強を続けました。就活では企業研究職を広く検討していましたが、最終的には「数理最適化」と、子どもの頃から興味があった「鉄道」を軸に進めました。
日立のインターンを志望したきっかけは、日立の海外鉄道事業に関する新聞記事を読んだこと。調べていくうちに、鉄道事業で運行ダイヤの作成など数理最適化の手法を用いた研究開発を行っていることを知り、それに関連したプログラムに応募しました。制御工学と鉄道ダイヤ作成というと一見関連がないように思われがちですが、私の場合、数理最適化という軸で結びついていたと思います。

私の時は3週間という長期のインターンで、実際の研究開発グループに加わり、実践的なテーマに取り組みました。鉄道会社の運行ダイヤを分析して課題を抽出し、その課題を解決するための数理最適化手法を検討するというものです。密度の濃いプログラムに加えて、私にとって刺激的だったのは、実際のフロアに自分の席を設けてもらい、先輩たちと同じ感覚で研究開発に向き合えたこと。入社後の働くイメージをリアルに感じることができ、ふだんの会話からどんなことにこだわり、大切にしているかなども知ることができました。
数理最適化の社会実装をテーマに、部署の若手メンバーとブレインストーミングする機会も設けてくれました。また、部署のメンバー20名弱と30分ずつ対話する機会があったことも貴重な経験でした。私は入社後に博士号を取得したいと考えており、日立ではそうした姿勢を尊重して多くの社員が取得をめざしていることを知って、ますます志望度が高まりました。

大学での研究と両立したいと考え、夏の長期インターンは日立だけに絞りました。その後も秋や冬に他社の短期インターンに参加しましたが、その時に比較の基準となったのが、日立のインターンでの体験でした。なかでも私が重視したのは、研究部門と事業部門の距離。それまで私は、企業の研究所は事業の現場から離れたようなイメージを抱いていました。しかし、日立の研究所は事業部との距離がとても近く、研究者たちも事業部の売上に貢献することを常に意識して取り組んでいました。また、日立の研究所では社会課題に直結したテーマが多いことにも気づきました。私は、「社会貢献ができる研究者」をめざしたいと考えていたため、この点も魅力に映りました。就活では、企業分析をする際の「尺度」を持つことが大切です。そのためにも、日立のような職場密着型で長期のインターンに参加することはとても有益だと思います。ぜひ、お勧めしたいです。

入社後は、インターンの時と同じ研究開発グループに配属され、1年目でありながら研究開発テーマの主担当を任されました。近年、環境意識の高まりから、鉄道の運行でも省エネ性が注目されています。従来から考慮されてきた正確性や利便性に加え、省エネ性を両立させる運行計画システムが、現在私が取り組んでいるテーマです。数理最適化をはじめとする手法を幅広く組み合わせ、鉄道会社のダイヤ作成担当者が容易に計画立案できるシステムの確立をめざしています。事業部の担当者を通じ鉄道会社様に私の研究成果が提案される可能性もあり、緊張感を持ちながらも、楽しくやりがいを持って研究開発に取り組んでいます。
私が目標としているのは、研究開発から社会実装まで一気通貫で担える研究者です。そのためにも、先ほども話した博士号の取得や、海外赴任にもチャレンジしたいと考えています。将来的には部署や国境を越えてグローバルに活躍できる研究者をめざしたいです。