
学生時代は、半導体材料に関連したイオンビームの研究に取り組んでいました。就活でも最初は半導体関連で調べていて、日立は半導体のイメージがなかったので候補には考えていませんでした。ところが、たまたま日立のインターンを調べているうちに、グループ会社の日立ハイテクが、イオンビームを用いたイオンミリング(以下IMと略)装置において世界トップクラスの技術を持っていることを知って、がぜん興味が湧き、インターンに応募したのです。インターンの選考面接では、趣味の話から専攻テーマまで幅広く聞かれました。私は技術系なので、とくに研究内容や装置については熱意を込めて語るように意識しましたね。

インターンでは、日立ハイテクの職場で実際の開発グループに加わって実務を体験しました。期間は2週間です。ある半導体メーカー向けに新しいIM装置の開発を計画しており、そのための事前調査がテーマです。実験室にあるIM装置を使って実験や評価、資料作成など行いました。まさに大学院での研究テーマの延長にある仕事。学生時代の研究とは違って、製品の開発では明確なゴールがあり、毎日が新鮮で刺激的でした。IMだけでなく、走査透過電子顕微鏡(TEM)など最先端の装置を触れられたことも楽しかったですね。インターンでこれほど濃密な体験ができるとは想像もしていませんでした。

インターンに参加する前は、大手企業ということもあり人間関係が無機質な会社かなと勝手に思い込んでいました。そこはよい意味でのギャップでしたね。インターンで接した社員は誰もが親しみやすく、わからないことなどで相談すると丁寧に教えてくれて、とても面倒見がよいのです。また、「熱さ」も印象的でした。製品に注ぎ込む情熱、世界最先端の技術に挑む姿勢。話の端々からひしひしと想いが伝わってきて、技術者としての誇りを感じました。こんな人たちと一緒に働きたい、そうすれば設計者として、一人の社会人として大きく成長できる。そう感じて、日立に入社しようと決意しました。インターンは、業界や仕事を知るだけでなく、職場や人を知る絶好のチャンスだと思います。日立に少しでも興味がある人は、ぜひインターンにチャレンジしてみるべきだと思いますね。

夏のインターンの後は、日立に絞って就活を進めました。いくつか壁はあったのですが、インターンでお世話になった先輩社員にも相談にのってもらい採用が決まりました。入社後に希望した配属先は、もちろんインターンの時と同じ開発グループ。というわけで現在は、半導体メーカー向けのIM装置の開発を担当しています。インターンの時の経験があるので、「お久しぶりです!」といった感じで職場にもすぐに馴染めましたし、装置の知識も身についていたので、設計業務などにも早くから携わることができたと思います。IM装置の開発グループは比較的少人数ということもあり、装置の設計開発だけでなく、多様なユーザーの要求を製品に反映するための製品計画や、原価の管理などを行う生産設計に関われます。このようにものづくりのすべてに携われることも楽しさであり、やりがいですね。まずはIM装置の設計者として独り立ちすることが目標。さらに将来は、多様な製品の開発プロジェクトにも関わり、設計者としての幅を広げていきたいと思っています。