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【Microsoft×日立対談】
ユーザー部門発のDX、ローコードアプリという新しいうねりをひも解く。

回 現場目線のDXがはじまっている。

DXが声高に叫ばれるものの、ユーザー部門の業務改善や働き方改革の進展は遅い…
その打開策として注目を集めているのがローコーディング(最低限のコーディング)のアプリ開発ツール、Microsoft Power Platformです。
ユーザー部門自らが、開発者に頼ることなく簡単な操作で業務を改善するアプリをつくることができるこのPower Platformは、企業にどんな変革をもたらすのか?
そしてユーザーがアプリを開発することで発生する課題とその解決策とは?
Power Platformの製品開発チームであるマイクロソフトの吉田大貴氏と日立製作所でPower Platformの活用支援サービスを開発している板橋正文が、語り合いました。

写真:吉田大貴氏

マイクロソフトコーポレーション
Power Platform Engineering - Power CAT
Senior Program Manager
吉田 大貴氏

写真:板橋 正文

株式会社 日立製作所
IoT・クラウドサービス事業部
働き方改革ソリューション本部 担当部長
板橋 正文

予算と人手の壁

板橋:Power Appsが、ローコーディング(最低限のコーディング)のアプリケーション作成ツールとして2015年に発表されたときに、おー、これはイノベーティブで画期的なツールだと思って自分のSNSに書き込んだ記憶があります。
WebアプリやモバイルアプリがPowerPointのお絵描き感覚とExcelのセル関数のようなロジック記述で簡単につくれる。これはユーザー部門の課題解決が加速する、と大きな期待を持ちました。
そして2019年には、周辺ツールとともにPower Platformとして再編成され、さらにここ最近ますます機能が充実してきて、今、まさに使わなきゃ、という環境が整ったと認識しています。

吉田:ありがとうございます。おかげさまで市場の反応も好評でPower Platformの成長率は昨年対比で95%となっておりまして、月間利用者数も1,100万人(2021年2月現在)に到達し、現在も急速に伸び続けている状況です。

板橋:確かに今、私の周りを見ていても、Power Platformが解決策になるであろう壁に直面しているお客さまが少なくありません。
例えば働き方改革ですが、サーベイをきめ細かく行って現場の課題の分析までは順調に進むものの、その先のデジタル化でプロジェクトが停滞するケースが多いのです。つまり、IT部門は予算や人手の問題から、社内のアプリ開発ニーズのすべてには応えられず、結局、課題の多くは放置され、働き方改革プロジェクト自体もそこで止まってしまう。

吉田:まさにPower Platformで打開できる壁ですよね。例えば、イギリスのロンドン・ヒースロー空港では、セキュリティ担当、ITセキュリティでなくて、手荷物のチェックなどをするセキュリティ担当の方が、自分でPower Platformを活用して、英語が伝わらない方をご案内する多言語対応モバイルアプリを開発しました。それまで担当者は分厚いカタログを使っていたのです。開発した方はその後IT担当者になり、たくさんのユーザー部門の「市民開発者」と一緒に、例えば、車いすなどのサポートが必要なお客さまに向けた設備利用申請アプリなどをPower Platformでどんどんリリースし、年間25,000枚の紙と850時間の残業の削減を達成しました。現在では100種類以上のアプリを空港内で展開しています。
アプリ開発ニーズが実現にいたらない理由として、「プロ開発者」を交えることによる費用対効果の問題が大きいと思いますが、案件の中には基幹システムに手を加えるほどの高い開発レベルを必要としないものもたくさんあるはずです。そういったときにユーザー自身が「市民開発者」として、ぱぱっとアプリをつくってしまおうというトレンドができつつあります。

板橋:日立でも、モバイルデバイスを使って製造現場のデータを集めるアプリや、業務部門においてTeamsを基盤にした情報共有のアプリなどをPower Platformで開発しています。これまで、例えばメールでデータを受け取り、Excelで集計して、ファイルサーバーに保管する、というような業務が格段に楽になったという声が出てきています。
ただ実際にユーザー部門の人々が、独学でアプリの開発や保守を行うというのはローコーディングとはいえ、なかなか厳しい面もあるようで、Power Platformに興味を持ったお客さまからもプロのサポートを借りたいという声をいただいています。
そこで日立でも今、業務部門のデジタル化を推進するためにPower Platformの活用支援に力を入れています。Power Platformを社内でどう利用すべきか、という活用シナリオや運用ルールの策定をはじめ、トレーニングやワークショップ、ハンズオンセミナーのサポートなど、環境の整備だけでなくローコードアプリ開発の現場定着まで、Power Platformの効果を最大限引き出すためのサービスをトータルに提供しています。

テレワークの今こそPower Platformを

板橋:このコロナ禍で多くの従業員がテレワークで働いているような企業では、情報共有の難しさによる困りごとが発生しがちですよね。そうした悩みこそTeamsとPower Platformの連携によるローコードアプリが解消してくれるのではないかなと考えています。

吉田:おっしゃる通りです。コロナ禍の中、紙文書の処理のために出社されている方をニュースで見かけましたが、例えば紙の代わりにスマホ画面に必要事項を入力し、ワークフローを使って担当者にデータを送信する、というような情報共有や承認申請のアプリは、経験が浅い方でもつくりやすいタイプのアプリだと言えます。ウィザード形式で必要な要素をドラッグ&ドロップするだけでほとんどつくれてしまいます。
例えばフランス国鉄(SNCF)では、紙で行っていた車両の保守業務管理をPower Platformでデジタル化し、そのアプリを全国で採用していますし、イギリスのオートグラス社、こちらは車の窓ガラスの修理、取り替えを行う整備会社ですが、現場作業員の報告を紙からモバイルアプリに変えることで、年間1.5億円の費用対効果を得ました。情報共有アプリはスモールスタート的に取り組みやすいと同時に、業務を変えるインパクトも大きいと思います。

板橋:日立はTeamsとPower Platformを組み合わせた活用サービスの一環として、お客さまがすぐに利用できるローコードアプリのテンプレートをいろいろと揃えている最中ですが、中でも力を入れているのがテレワークに対応した情報共有アプリで、例えばその中に「プロジェクトの進捗管理」があります。
プロジェクトもリモートで推進することが当たり前になった今、その進捗確認に煩雑さを感じている企業は多いのではないでしょうか。これまでプロジェクトメンバーが同じ場所で作業していたときにはチーム内やチーム間で臨機応変に直接対話して調整作業を行っていたわけですが、テレワークになってからは定期的な進捗確認の会議が必要になり、さらに詳細は別会議を開きましょう、などどんどん会議が増殖していく傾向が見られます。ただ個々の会議の内容は、単に各作業者の状況を聞くだけだったりして、調整というよりは単なる進捗確認時間の増加という印象です。
そこで、Teamsのチャットで各作業者に定期的に自動で進捗確認のメッセージが飛ぶようにして、その回答をスタッフが閲覧できるようにします。そうすれば停滞しそうな課題が顕在化したときだけテーマを絞って会議を開くことができ、増え続けるオンライン会議を削減する一助となるのでは、と考えています。
こうした情報共有アプリがPower Platform だとつくりやすいのは、コミュニケーションやファイル共有機能を持つMicrosoft 365(旧名Office 365)とシームレスに連携可能だからということもありますよね。もしかしたら情報共有アプリをつくるというよりも、ExcelやTeamsなどMicrosoft 365の機能をワークフローやBIで拡張する、というイメージがPower Platform初心者の方にはとっつきやすいかもしれません。

吉田:そうですね。ヒースロー空港のアプリ開発も最初はMicrosoft 365の範囲内からスタートしました。まずはそこで成功体験を積んでいただいて、より上のレベルに挑戦していただきたいですね。
Power Platformは、One Microsoftとしての包括的なサービスの一環ですから、例えば、Azureに構築されたサービスをPower Platformのアプリで活用したり、Power Platformのアプリで生成したデータを業務基盤であるDynamics 365に連携したりすることも親和性高く実行することができますし、セキュリティも、別途用意しなくてもAzure ADの認証やアクセス制御の仕組みに乗せて確保することができます。ぜひ、One Microsoftのもと、最適な構成を見つけていただきたいと思います。

旧来のエンドユーザーコンピューティングと何が違うのか

板橋:今後、市民開発者によるPower Platformのアプリが、ユーザー部門にどんどん増えていくことが予想されますが、そうなったときに思い出してしまうのが、ITの黒歴史とも言えるエンドユーザーコンピューティング(EUC)です。
90年代、多くの企業がEUCの推進を掲げてユーザー部門が自らアプリを開発することを推奨し、その結果、数が多い場合には何千というデータベースが社内に乱立してしまいました。

吉田:あとユーザー部門が独自に導入したシステム、いわゆるシャドーITもデータベースを増やす要因となっていますし、バラバラなファイルになるEXCELのマクロによる開発もそのひとつですね。その結果データの分断が起きてしまい、欲しいデータの在りかがわからない、開発者がいなくなってアプリをメンテナンスできない、個人情報保護などセキュリティ面で問題がある、など今もEUC時代の負の遺産に悩んでいるIT担当者は少なくないと思います。

板橋:問題は、ユーザー部門が開発するアプリに対して、IT部門のガバナンスが効かなかったことに集約されます。ローコードツールと聞いたら、EUCの悪夢がよみがえってしまうIT担当者もいるかもしれませんが、Power PlatformはアプリのガバナンスのしくみもEUC時代のものとは全く異なると伺っています。

吉田:はい。Power Platformの開発チームの中でも、ガバナンスの機能については専任部隊を設けて、ここ最近でも非常にたくさんの機能をリリースしています。

板橋:ユーザー部門の課題解決のために立ち上がった市民開発者と、セキュリティやデータカバナンス維持のために日夜奮闘しているIT担当者の両者がWin-Winになれるような取り組みにつながるといいですね。次回は、そのあたりのお話をさせていただければと思います。

第2回 ローコードアプリの課題と未来。を読む

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