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日立XML/Webサービスソリューション トレンド解説
「所有から利用へ」エンタープライズシステムを革新するWebサービスとSOAの時代

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掲載日:2004年09月02日

WebサービスとSOAの時代大場みち子
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トレンド解説

 
企業情報システムにおけるWebサービスの活用が一段と加速しています。企業内外のサービスを柔軟に統合できるWebサービスは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を推進する技術として、変化に即応するITシステムの実現には欠かせない要素となってきました。
そこでSOAがめざす方向性とWebサービスの適用形態、その実現を支えるCosminexusの特長について、日立製作所ソフトウェア事業部Java/XMLソリューションセンタ主任技師/工学博士の大場みち子が、わかりやすく解説します。
 
 

製品紹介インデックス

 
↓ eビジネスを支えるWebサービス技術
↓ 新しいビジネスプロセスをいかに早く作るか
↓ 粒度の単位が大きいSOAのサービス
↓ 「所有から利用」へのITマネージメント
↓ ビジネスプロセスベースでサービスを統合
↓ 信頼性の高いシステム統合基盤となるCosminexus
↓ ミッションクリティカルシステムを迅速に構築
 
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eビジネスを支えるWebサービス技術

 
いま、企業を取り巻くネット社会の現状を見てみますと、個人を対象としたネット販売や企業間の電子商取引だけではなく、金融や自動車など、業界単位でeマーケットプレイスが立ち上がっている状況にあります。
 そこでは、お客さまとの密な関係の構築、 パートナーとの柔軟な連携、さらには企業内業務の円滑な遂行が重要なポイントとなっています。 つまり、ネット社会でのビジネス競争で勝ち抜くためには、企業内のシステム連携のみならず、企業間や人がコラボレーションしながら、変化に即応できるビジネス改革が求められているのです。
 ここで、ビジネスを支える企業情報システムに求められるITインフラへのニーズを整理しますと、図1にあるような要件にまとめられると思います。
 しかしこれまでの企業情報システムは、それぞれの業務要件や技術トレンドに対応しながら、個別に開発・運用されてきた経緯があります。新規開発や機能追加、部門別の重複開発といった長年にわたる「部分最適」の積み重ねが、企業情報システムの複雑化を拡大し、いつしか企業戦略や経営環境の変化に即したコントロールが行えない状態を招いてしまっているのです。現在、インテグレーションのためのコストはシステム全体の40%にもおよぶと言われており、このままでは、企業戦略の変更に即した新システムの開発も、社内外との情報共有も進まず、運用管理コストとリスクの増大をますます招く一因となってしまいます。
 
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新しいビジネスプロセスをいかに早く作るか

 
 では、これからの企業情報システムは、どうあるべきなのでしょうか。
 競争戦略論の第一人者であるハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授は、企業戦略には大きく2種類あると論じています。ビジネスプロセスの効率化を図る「コストリーダーシップ戦略」と、新しいビジネスプロセスを創造する「差別化戦略」です。 コストリーダーシップ戦略とは、「できるだけコストを下げ、たくさん売ること」、差別化戦略は、「コストを下げず、他社との差別化で優位性を持たせること」と言い換えることができます。
 これをITの視点から見ますと、前者は「現状のプロセスをマイナーチェンジして効率化し、コストを下げる」という考え方、後者は、「新しいビジネスプロセスの創出によって他社とは違う製品を市場に送り出す、あるいはビジネスをいち早く立ち上げて、市場の先行シェアを獲得する」考え方と言えます。
 私は、これからの時代に企業情報システムがめざすのは、後者の「差別化戦略」にあると考えています。
 コストリーダーシップ戦略は、かつてBPR(business process re-engineering)というキーワードによって企業改革の推進役となりました。しかし現在は、この方法論だけでは企業の生き残りが難しい時代となっています。
 では、企業戦略を明確化し、実行に移すための新しいビジネスプロセスは、どうしたらスピーディに構築できるのか。ここで近年、大きくクローズアップされてきたのが、すべてのソフトウェアを「サービス」として組み立て、統合するというSOA(Services-OrientedArchitecture:サービス指向アーキテクチャ)の概念です。
 
 
 
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粒度の単位が大きいSOAのサービス

 
 SOAにおける「サービス」とは、従来からの「オブジェクト」や「コンポーネント」より、さらに粒度の単位が大きいソフトウェア部品を指し、「独立して稼働し、公開(標準化)された手順で呼び出せ、ダイナミックな統合が可能なソフトウェア部品」と定義することができます。
 つまり、より柔軟でコスト効率の高い企業情報システムを構築するための設計アプローチと言えるかもしれません。
 SOAを適用すれば、さまざまなサービスの組み合わせで企業情報システムが構築できるため、ビジネス環境の変化にすばやく柔軟に対応することが可能となります。
 ここまでお話ししたSOAのコンセプトは、いまや身近な技術となりつつある「Webサービス」とほとんど同じ内容であることに、皆さんすでにお気づきだと思います。
 Webサービスとは、SOAPという通信プロトコル、WSDL(Web Services DescriptionLanguage)というXMLを用いたインタフェース記述言語、そしてUDDI(Universal Description, Discovery and Integration)という他のWebサービスを発見するためメカニズムを利用して、ネットワーク上の自律したアプリケーションどうしを連携させる仕組みを指します。
 
 Webサービス最大の特長は、SOAPやXMLといったオープンな技術に基づくメッセージ交換を実現するため、ベンダーに非依存な“分散アプリケーションの部品”として利用することができる点にあります。
 また、W e b サービスによる通信はC O R B A( 分散オブジェクト基盤)やDCOM( D i s t r i b u t e d C o m p o n e n tObject Model)などとは異なり、ファイアウォールを越えられます。このため、インターネットを介したシステム連携が容易に行えるメリットも見逃せません。
 つまりWebサービスとは、標準化技術を利用してSOAを実現するための基盤技術と考えることができるでしょう。
 公開されはじめた当初は、異種プラットフォームのアプリケーションどうしを統合する技術として注目を集めたWebサービスですが、今ではWebやBtoB、BtoC、バックエンドの基幹システムとの接続など、幅広い場面でのサービス統合へと利用範囲が拡大しています。使い方としては図2にあるような4つのパターンがすでに実用化されています。
Webサービスの使い方のパターン
 
図2 Webサービスの使い方のパターン
 
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「所有から利用」へのITマネージメント

 
 これまでの企業情報システムでは、各企業がハードウェア/ソフトウェア資産を「所有」することが前提となっていました。
 しかしWebサービスを活用すれば、各企業はそれらの資産を必ずしもすべて所有する必要がなくなることに気づくはずです。
 各社が提供する優れたサービスを組み合わせることで新たなサービスを構築し、それを自社で利用したり、あるいはお客さまに提供することが容易になります。  これにより、「所有」から「利用」へと、今後のITマネジメントのトレンドは劇的に変化するのではないかと私は予想しています。
 また、レガシーシステムを含めた、社内外の異なるプラットフォーム上にあるシステム/サービスを効率的に統合したり、自社にとって強みのあるコア・コンピタンスのビジネスシステムをWebサービス化して他社に提供するなど、今までは考えもしなかった新たなビジネス開拓の可能性をWebサービスは秘めています。
 
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ビジネスプロセスベースでサービスを統合

 
 Webサービスの最も有効な適用先は、言うまでもなく、企業内外におけるシステム統合です。日立は以前から、EAI(EnterpriseA p p l i c a t i o n I n t e g r a t i o n )やB 2 B I(Business-to-Business Integration)に代表されるビジネスプロセスベースのシステム統合を提唱してきました。そして現在は、その新しい手段としてWebサービスの積極的な活用を推進しています。
 日立が考えるビジネスプロセスベースのシステム統合では、業務フローと業務ロジックを分けて開発したうえで、WebサービスやSOAのアーキテクチャを適用し、業務単位でアプリケーションを統合します。
サービス指向のシステム統合アーキテクチャ
 
図3 サービス指向のシステム統合アーキテクチャ
 
 これにより、図3、図4に示したように、短期間で効率的に新規の業務サービスを実現できるほか、業務の流れに変更が生じた場合でも、フロー定義を変更するだけで対応可能となる企業間オープンシステム統合(Open B2B Integration)、変化に柔軟なシステム拡張が実現します。できるほか、業務の流れに変更が生じた場合でも、フロー定義を変更するだけで対応可能となる企業間オープンシステム統合(Open B2B Integration)、変化に柔軟なシステム拡張が実現します。 変化に柔軟でスピーディなシステム拡張
 
図4 変化に柔軟でスピーディなシステム拡張
 
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信頼性の高いシステム統合基盤となるCosminexus

 
 Webサービスの構築や利用においては、それが何よりも「信頼できるサービス」かどうかが重要なポイントとなります。
 24時間365日のミッションクリティカル運用はもちろん、性能や安定性、セキュリティ、相互運用性なども考慮しなければなりません。
 また、企業がWebサービスを導入する際には、まず明確な企業戦略を描いてから、サービス単位に落とし込んでいく作業が必要ですが、そこでは、オブジェクト指向によるシステム開発のモデル表記法を標準化するUML(Unified Modeling Language)に加え、プラットフォーム非依存のモデリング・アーキテクチャMDA(Model DrivenArchitecture)などの技術にも注目していく必要があるでしょう。
 Webサービスの標準規格は、OMG、OASIS、W3Cといった標準化団体の手によって、これまで課題とされてきたセキュリティやWebサービスどうしの相互接続性、相互運用性を実現する新標準も含め、着々と仕様が固まりつつあります。もちろん日立も、これら標準化団体の活動に早くから参画し、幅広い技術とノウハウの蓄積を図ってきました。
 その成果を盛り込んだ製品の1つとして日立が提供しているのが、コラボレイティブEビジネスプラットフォーム「C o s m i n e x u sVersion6」です。
 Cosminexusは、日立のサービスプラットフォームコンセプトH a r m o n i o u sComputingに基づいた製品で、サービス指向、コンポーネント指向によるミッションクリティカルシステムを、迅速かつ高信頼に構築できる基盤となっています。
 
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ミッションクリティカルシステムを迅速に構築

 
迅速なビジネスプロセス構築を支えるCosminexus
 
図5 迅速なビジネスプロセス構築を支えるCosminexus
 Cosminexus Version6では、お客さまに、より柔軟な開発環境を提供するため、ワークフローやコンポーネントの開発環境を一段と充実させたほか、24時間止まらないWebサービスを実現するための信頼性も大幅に向上させました。例えば、日立のTPモニタとして数多くの基幹システム構築で実績のある「OpenTP1」の技術をCosminexusに融合し、瞬間的に大量のリクエストが発生した場合でも同時に処理するリクエスト数を一定にする「流量制御」、優先したい処理に専用のキューを割り当てる「優先制御」、キューを閉塞することでサービスを停止せずにシステムメンテナンスを可能にする「サービス閉塞」などの機能を搭載しました。
 また、ログ解析の容易性を向上し、処理性能のボトルネックや、障害発生の引き金となったリクエストを簡単に特定できる「PRFトレース」機能、多大な労力が必要だったJavaのメモリ見積もりや、障害時の原因究明をビジュアルなGUIによって効率化する「Java監視エージェント」なども、システム管理者の負担を大幅に軽減します(図5)。
 
顧客情報統合検索システムへの適用例
 
図6 顧客情報統合検索システムへの適用例
 C o s m i n e x u sの統合基盤は、E S B(Enterprise Service Bus)やHub &Spokeアーキテクチャを介して、Webサービスや各種パッケージ、レガシーシステム、コンポーネントなどを柔軟に結びつけることができるほか、その上位に位置するポータルやワークフロー、業務モデリングコンサルティングや業種別・業種共通ソリューションといったものも含めて、トータルでスピーディなシステム統合を実現することができます。
 例えばUFJ銀行は、Webサービスの時代を早くから予見して、2 0 0 0 年3月よりC o s m i n e x u sの統合アーキテクチャ(Hub & Spoke)を全面的に採用しています。豊通シスコムでも、Cosminexus PortalFrameworkで構築した社員の福利厚生サービス・ポータル・サイトに商用Webサービスを適用し、総務関連業務の効率化と社員の利便性向上を実現されています。
 (注)各事例の詳細は、ホームページをご 参照ください。 日立社内においても、すでにWebサービスを適用した複数のシステム構築を行っており、図6に示した「顧客情報統合検索システム」では、わずか2か月の開発期間で新サービスの稼働を果たしました。
 今後はこうした、サービス・オリエンテッド・アーキテクチャによる企業情報システムの構築、つまりはWebサービスの積極的な活用こそが、差別化戦略における重要なファクターとなっていくことは間違いありません。
 その意味でも、特に企業のCIO(ChiefInformation Officer:最高情報責任者)の皆さまには、Webサービスの本格活用に向けたビジョンの構築が急務の課題であることを改めてアピールさせていただきたいと思います。そしてその際には、Cosminexusをはじめとする豊富なミドルウェアとWebサービス関連ソリューションの数々で、日立がお客さまのビジネスを力強くサポートさせていただくことをお約束いたします。
 
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お問い合わせ先

 
(株)日立製作所 ソフトウェア事業部 販売企画センタ
TEL :(03)5471-2592 FAX :(03)5471-2395    E-mail : cosminexus-s@itg.hitachi.co.jp

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