販売管理システム基盤にHCIを導入
ハウジング費用40%削減、耐障害性向上
1946年創業、医療機器・理化学機器の専門商社として歩む宮野医療器。販売管理システムなどのインフラを、ベアメタルのサーバーからHCIによる仮想基盤に刷新した。HCIの採用では、ベースとなる日立製サーバーの信頼性を高く評価。ハウジング費用40%削減、耐障害性で業務継続性が向上、さらにHCIを利用しセキュリティ強化に向けて検討を開始した。
時代とともに医療機器・理化学機器は進化を続ける。宮野医療器は、専門商社として先進的なニーズに応えながら、創業以来受け継ぐ「生命を支える使命感」は今も変わらない。現在、同社は関西を中心に関東から九州まで拠点を展開。幅広い商品ラインアップに加え、独自の営業体制「マトリックス販売システム」もお客さまから高い評価を得ている。担当エリアをカバーするルート営業と、製品ごとの専門知識を持つ販売促進営業が連携し複眼的にお客さまをフォロー。お客さまのベストパートナーであり続けるとともに、生命と健康を守るため更なる貢献に向けて邁進する。
宮野医療器株式会社
情報管理部 システム運用グループ 課長
小笠 公人氏
同社においてビジネスの根幹を支えるのが、受発注や在庫管理を行う販売管理システムだ。2021年に、販売管理をはじめとする物流、資産管理などのシステムが稼働する、物理サーバー29台がリプレースを迎えた。重要な課題となったのが、データセンターのハウジング費用の削減だ。「今後も、ビジネスのニーズに合わせて拡張は必要です。システムの需要とコストのバランスをいかに図るか。10年にわたり、当社のシステム導入支援を行ってきたニッセイコムから、リプレースに向けてHCIを活用した提案を受けました」と宮野医療器 情報管理部 システム運用グループ 課長 小笠公人氏は振り返る。
HCIでシステムを集約することにより、データセンターのハウジング費用の削減が図れる。「コストメリットを試算し宮野医療器さまにご提示しました」とニッセイコム 関西支社 神戸支店 営業第一課 主任 木村亮汰氏は話す。「ライセンスなどを考慮した結果、HCIへの移行に適していたのは物理サーバー29台のうち12台でした。HCIに12台を集約することで、サーバーのリプレースと比較し、ハウジング費用削減により2年間でHCIの初期投資の回収が可能です」。
株式会社ニッセイコム
関西支社 神戸支店 営業第一課 主任
木村 亮汰氏
ニッセイコムの提案(日立HCIソリューション for VMware vSAN)は、物理サーバー3台のクラスタ構成で、ストレージ仮想化ソフトウェアVMware vSANによりHCIの仮想基盤を構築。コスト面だけでなく、耐障害性、業務継続性にも注目したと、宮野医療器 情報管理部 システム開発グループ 課長代理 浮田秀昭氏は話す。
「HCIは複数ノードによる冗長化構成で耐障害性を実現し、1台の物理サーバーが故障しても自律的に各ノードが補完し合うことで業務を継続できます。またVMware vSphere vMotionを利用しライブマイグレーションを行うことで、稼働中の仮想マシンを別の物理サーバーに移動し、システムを止めることなくメンテナンスが行える点もメリットです」
サーバー調達のプロセス変革への期待も大きい。「ビジネス要件に合わせて新しいサーバーを追加する際に、物理的に調達する手間が不要です。必要なときすぐにHCIの仮想マシンを提供できます」(浮田氏)。
HCIはもとより、本格的な仮想化も今回初めて導入した。採用する決め手の1つとなったのが、日立製サーバーの高信頼性・高品質だ。「10年間、販売管理システムで日立製サーバーを使ってきましたが、一度も故障したことがありません。複数システムが稼働する仮想基盤には、高信頼性・高品質が不可欠です。日立製サーバーなら安心して利用できます。また、販売管理システムも日立グループが提供する Aptage.MDⅡ(*)という医療機器卸売業界に特化した製品です。ニッセイコムを窓口に、ワンストップでハードとソフトの両方のサポートを受けられることも、大きな安心につながります」(小笠氏)。
2021年4月、「日立HCIソリューション for VMware vSAN」の採用を決定。「HCIへの移行では、動作確認、リハーサルを実施。またWeb会議を利用し、宮野医療器さまとプロジェクトの進捗に関して情報共有と打ち合わせを綿密に行いました」(木村氏)。
HCIへの移行、データセンターの物理サーバーの更新は2022年1月に完了。HCIによるコストメリットはすぐにあらわれた。「データセンターのラックが3本から2本となり、ハウジング費用を40%削減できました」(小笠氏)。
宮野医療器株式会社
情報管理部 システム開発グループ 課長代理
浮田 秀昭氏
また、今回バックアップ環境も併せて見直しを実施。HCI環境で実績のある日立バックアップソフトArcServeUDPと、重複排除機能用にSSDを搭載した日立アドバンストサーバHA8000Vとの組み合わせで、効率的なバックアップ運用を実現した。「バックアップIO処理がSSDを介することで性能が向上し、処理時間を60分から30分に短縮、夜間のうちに作業を完了できました。しかも、バックアップソフトの重複排除機能によりバックアップデータ容量を約55%削減、バックアップ先のストレージ容量の有効活用も図れました。時間削減と容量削減が実現でき、期待通りの成果を出すことができました」(浮田氏)。
さらに、サーバー調達も大きく変わった。「あるシステムの更新においてサーバーの拡張が必要でしたが、コロナ禍では物理サーバーの調達に約3ヶ月もかかるため、HCI上の空きリソースを使って仮想マシンを作り、約1カ月でシステムを構築できました。物理サーバーを追加する費用も発生しないため、構築コストを大幅に軽減できました」(小笠氏)。
日立のサポートを通し、HCIへのシステム集約およびバックアップの効率化を実現
浮田氏は次のリプレースにおける大幅な工期短縮に期待を寄せる。「物理サーバーに関しては、新しいノードを追加し、古いノードを抜くといった交換作業でリプレースが行えます。仮想マシンを停止させずに交換でき、業務に影響を及ぼすこともありません」。
今後の展開について浮田氏はこう話す。「HCIへのシステム集約をさらに進め、物理サーバー台数削減によるコストメリットの最大化を図っていきます。また医療機器を扱うことから、セキュリティ対策の強化は重要な課題です。コストを抑えて、端末にデータを残さないVDI(仮想デスクトップ)を構築するためにHCIの活用も検討中です。HCIの導入は、現在の課題だけでなく将来のニーズに応えます」。
運用効率化の観点から、同社でもパブリッククラウドの活用が検討されている。だが、すべてクラウド化できるわけではないと小笠氏は話す。「個人情報といった重要データを扱うシステムなど、コンプライアンスの観点から適材適所でオンプレミスの活用はこれからも必要です。オンプレミスの基盤として、耐障害性、柔軟なサイジングなどのメリットからHCIは有効な選択肢となります。日立、ニッセイコムには、安定稼働の支援はもとより、当社を理解したうえでコスト削減や効率化につながる提案をこれからも期待しています」(小笠氏)。
生命と健康を守る現場を支援する宮野医療器。日立はニッセイコムとともに、HCIソリューションの提供を通じて同社の発展、社会への貢献を支援する。