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Hitachi

ダイキンと日立の協創で、
“匠の技”を世界に

2017-12-18

グローバル競争が激化するなか、製造業では市場環境の急速な変化に対応するため、開発期間の短縮やグローバルでの品質を向上させるデジタルファクトリーの実現や、熟練技術者の技能伝承を重要な課題と位置づけています。そこでダイキン工業株式会社( 以下、ダイキン)は、日立の「Lumada」のソリューションコア「画像解析システム」などを活用し、空調機の製造に欠かせない熟練ノウハウのデジタル化に着手。日立とともに技能の底上げとグローバル人財育成によるデジタルファクトリーの実現に向けた協創を進めています。

技術者のグローバルな育成が急務に

1951年に日本で初めてパッケージ型エアコンを開発したことで知られるダイキンは、世界150カ国以上で事業を展開し、売り上げの70%以上を海外で生み出す空調機・化学製品のグローバルリーディングカンパニーです。

ダイキンは2015年、他企業や大学との協創イノベーションに挑戦する場としてテクノロジー・イノベーションセンターを設立。従来の「モノづくり」に加え、継続的な技術革新によって顧客や社会に新しい価値を創出していく「コトづくり」の展開を図るなか、IoT*1 やAI*2 などを活用したデジタルファクトリーの実現や、海外80拠点以上における生産技術者の育成などに取り組んできました。

その流れを常務専任役員テクノロジー・イノベーションセンター 副センター長の稲塚 徹氏は「ITの急速な進化によって市場の主導権が供給者側から需要者側へと移行するなか、製造業では個々のお客さまニーズにマッチした高品質な製品を、より速く提供していかなければ勝ち残れない時代となっています。そのためには工場のデジタル化による生産力や品質力の向上に加え、熟練技能の伝承が必要となります。当社では国内外の拠点で空調機の製造に必要な、ろう付け*3 や溶接などの基幹技能を伝承する卓越技能伝承制度を設け、技能の底上げと世界同一品質をめざす取り組みを進めてきました。しかしグローバル拠点の急拡大に対応するには技術者育成のさらなる効率化が急務となっていたのです」と説明します。

*1
Internet of Things
*2
Artificial Intelligence
*3
接合する部材(母材)より融点の低い合金(ろう)を溶かして接着剤として用い、母材自体を溶解させずに接合できる技術

Lumadaを活用した「ろう付け技能訓練支援システム」

空調機の内部には冷媒用の銅管が多数入っています。これら熱に弱い銅管を接続するには、ろう付けと呼ばれる技術が必要です。

「ろう付けは冷媒漏れなどを防ぐ、品質を左右する戦略技能の一つです。このため全社で十数名しかいないマイスター(卓越技能者)が世界中の拠点を飛び回り、技能教育を行っていますが、ノウハウは人について回るため、なかなか技能伝承が進まないのが実情でした。そこに日立さんから、技能やノウハウをデジタル化することで技術者育成の効率化を図る協創のご提案をいただいたのです」と稲塚氏は経緯を振り返ります。

日立はダイキンのろう付け技能伝承の課題を検討し、かつてダイセルとの協創を通じて開発した現場作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆を検出するLumadaのソリューションコア「画像解析システム」の応用が、熟練技術者と訓練者の技能を3M*4 の観点から定量的に把握して、効率的な技能伝承のMethod(方法)につなげていく基盤になると確信。ダイキンの協力の下、空調機製造のろう付けプロセスにおける作業者の動作や工具の使い方などをデジタル化・モデル化する検証を踏まえ、「ろう付け技能訓練支援システム」を2017年10月に滋賀製作所に導入しました。

このシステムではまず、ろう付けマイスターの手の動きやトーチ*5 の角度・角速度*6、ろう材と母材の供給角度・距離などの動作や温度変化を、各種カメラやセンサーで時系列に収集・デジタル化し、標準動作モデルを構築します。次に訓練者のろう付け作業の動作や現象を同様にデジタル化することで、両者の違いを統計的に比較・表示し、より短期間での技能習得や作業の標準化、品質レベルの向上を図ることを目的としています。

*4
Man(人)、Machine(設備)、Material(材料)
*5
ガス炎でろうを加熱して接合を行う器具
*6
単位時間あたりで変化した角度

グローバルプラットフォームの協創を積極的に推進

「空調機には図面だけでは表せない複雑な内部構造があり、組立工程の中には技術者の感覚に頼る部分がまだまだ残っています。こうした製品をグローバルかつスピーディーに展開していくには技能伝承と訓練の効率化が非常に重要な要素となります。その意味でも日立さんにご協力いただいた今回のろう付け技能ノウハウのデジタル化は、今後のデジタルファクトリー実現に向けた大きな成果になると考えています」と語る稲塚氏。ろう付け技能訓練支援システムを活用することで、各拠点の訓練者はマイスターの手の動きとトーチやろう材の操作の細かな連動を動画やデータで参照しながら、客観的に高レベルな技能を効率的に習得できるようになります。またマイスターが日本に居ながらにして海外拠点の訓練をサポートできるようになれば、さらなる技能の底上げとグローバル人財育成のスピード化にもつながっていくと考えられます。

今後ダイキンと日立は、今回のシステムをダイキンの他の製造工程や国内外の工場にも適用していくとともに、今回の取り組みを第1ステップにし、先進のIoTを用いてグローバル拠点が情報と技術を掛け合わせて協調する次世代生産モデルの実現に向けた協創を進めていきます。

稲塚 徹 氏
ダイキン工業株式会社
常務専任役員
テクノロジー・イノベーションセンター
副センター長

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