ページの本文へ

Hitachi

閉じる

オンデマンド配信

アーカイブ配信中。Hitachi Physical AI Day。2026年8月31日まで、ご好評につき公開期間を延長!

研究者が見るイベントレポート

【C-03】IWIM:フィジカルAI時代の社会インフラ知能モデル

2026/06/26

<はーい。こちら天野です。>
Hitachi Physical AI DayのBreakout Sessionをレポートします。
今回は「IWIM:フィジカルAI時代の社会インフラ知能モデル」のセッションを聴講した所感を、発表者にヒアリングした内容を交えてお伝えします!

突撃潜入レポート(記事の部)

「IWIM:フィジカルAI時代の社会インフラ知能モデル」のセッションは、ミッションクリティカルな社会インフラ設備や、物理装置・ロボットなど、多数の条件が複雑に組み合わさる環境を扱う方々にとって、非常に興味深い内容だったと思います。特に、「フィジカルAIを活用したいが、何から着手すべきか悩んでいる」という方には、ぜひ聞いていただきたいセッションでした。

社会インフラや産業システムでは、データ・通信・AIなど情報を扱う「IT」、設備や工程を監視・制御する「OT」、そして現場で実際に稼働する「プロダクト」が相互に関係しながら動作しています。
これら3つの領域が組み合わさることで、考慮すべき条件やアルゴリズムは膨大となり、従来の設計やプログラミングだけでは対応が難しくなりつつあります。そこで期待されているのがAI活用ですが、一方でAIにはハルシネーション(誤った推論や生成)という課題もあり、特に社会インフラ領域では大きな懸念事項となっています。
今回紹介された社会インフラ知能モデル「IWIM(アイウィム)」は、その解決策の1つとして提案されていました。

IWIMの特徴は、保守運用、社会インフラ、プロダクト、物理モデル、工学・化学法則など、多層的な知識を階層構造と相互関係を持った“知識モデル”として保持している点です。さらに、エージェンティックAIと連携しながら動作する構成が紹介されました。
特に印象的だったのは、発表資料における「フィジカルAIシステム」と「エージェンティックAI」の位置づけです。

資料では、「フィジカルAIシステム」が、ユーザーや実際の制御対象に近い位置に配置されている一方、「エージェンティックAI」はIWIM内部でオーケストレーションを担う存在として描かれていました。この構成から、AI単体ではなく、知識モデルを中心とした全体協調によってシステムを成立させようとしている点が伝わってきました。
また、IWIMの適用シーンとして、「社会インフラシステムの設計・構築」と、「社会インフラシステムの制御・運用」の両方が挙げられていた点も印象的でした。

活用事例として紹介された電力需要シミュレーションでは、単に電力供給を最適化するだけではなく、電力を大量消費するデータセンターの処理タスクそのものを、複数拠点間で最適配置する「ワットビット連携」についても説明されていました。

エネルギーと計算資源を一体で最適化するという考え方は、フィジカルAI時代ならではのアプローチであり、非常に興味深い内容でした。

突撃潜入レポート(発表者インタビューの部)

天野
複雑な知識データモデルの構築と活用に挑戦するのは、研究所らしいと感じました。IWIMは研究所主導で進められている構想でしょうか、それとも、実際のお客さまからの要望により進化した構想なのでしょうか?
発表者
両方の観点で進化した構想です。
研究所として以前から考えてきたテーマではありますが、実際にはお客さまや事業部門の現場課題を受けて、より具体化してきました。ミッションクリティカルな社会インフラで安全、高信頼を実現するには、AIだけではなく、OTの知見や物理現象の理解が欠かせないので、そこをきちんと扱える形にしたい、という思いがIWIMにつながっています。
天野
発表資料では、「フィジカルAIを、物理世界との相互作用による経験学習に基づき、自律的に行動し、物理世界に作用するAI」とし、「エージェンティックAIを、目標達成に向けたプロセスを生成し、実行するAI」と描いていました。これを一緒にせずに2つに分けた思いを教えてください。
発表者
この2つを分けているのは、担う役割が異なると考えているからです。フィジカルAIは状況を認知・判断して制御する役割を担います。一方で、エージェンティックAIは、世界基盤モデルや大規模言語モデルなどの予測器として最適に構成・実行する役割を担います。社会インフラでは、現場での即応性と、全体影響を見た将来予測の両方が必要になります。それぞれの役割を明確にしながら連携させやすくしています。
天野
エージェンティックAIは、目標達成に向けたプロセスの生成だけでなく、タスクを分割したり、各タスクを実現するためのAIエージェントのオーケストレーションも実行するイメージでよいのでしょうか?
発表者
はい、そのイメージです。
目標に対して必要なタスクを分けて、どのモデルや知識をどう組み合わせるかを調整していく役割を想定しています。IWIMでは、物理モデルやシミュレーション、OTナレッジなどを組み合わせる必要があるので、そうしたオーケストレーションが重要になります。
天野
同時に複雑な状況を制御する必要がある状況は多いと思いますが、具体例の電力需給やワットビットの他に、ぜひIWIMを知っていただきたいお客さま像があれば教えてください。
発表者
複数の設備やシステムをまたいで、全体として安全、高信頼、高効率なAI制御の実現を検討されているお客さまに、ぜひ知っていただきたいです。
例えば、さまざまなマテハン*や自動化設備を混在・協調制御するプラントや、倉庫、データセンター、さらには、エネルギーとの掛け算での制御ニーズが高まっている鉄道や物流などの業界のお客さまにIWIMはフィットしやすいと思います。
  • マテリアルハンドリング(Material Handling)
天野光司

レポーター 天野光司

日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット Strategic Alliance 事業開発部

2004年、日立製作所 システム開発研究所に配属。大みか工場で製造する高信頼多重系システムや多数決システムの研究開発に従事。
2010年頃からは複雑なITシステムや工場DXの高度化に取り組む。
2018年頃からは、グローバルテクノロジーパートナーとの連携や、お客さまとの協創型プロジェクトを推進。
2026年より、研究者として培った知見をベースに、生成AIを活用した新規事業創出や、グローバル企業との連携、顧客協創、社内チームビルディングを横断的に企画・推進する役割を担っている。

  • *

    全ての製品名、サービス名、会社名、ロゴは、各社の商標、または登録商標です。

  • *

    製品の仕様・性能は予告なく変更する場合がありますので、ご了承ください。