ページの本文へ

Hitachi

Hitachi IoT Platform Magazine

IoT、X-Techトレンドに象徴されるように、各業種でデジタルトランスフォーメーションが進んでいる。これに伴い、ビジネスを支えるITシステムにはニーズの変化に対応するスピード・柔軟性が不可欠となり、そのITシステムの安定運用を担保する「運用管理」にも変革が求められている。一般に、デジタルビジネス時代に即した迅速・柔軟な運用管理スタイルに変革するにはどうすれば良いのだろうか? ゴルフダイジェスト・オンライン CTOの渡邉信之氏と、日立製作所 JP1エバンジェリストである加藤恵理氏の対談に、その現実解を探る。

「ビジネス視点の運用管理」とは具体的に何をすることなのか?

テクノロジーの力でビジネス価値を生み出すデジタルトランスフォーメーションが各業種で進んでいる。ITシステムは「コスト削減・効率化」といった守りの手段から、「収益・サービス向上」を狙う攻めの手段となり、「ニーズの変化を受けてシステムをリリース・改善する」「トラフィックの増減など外的環境の変化に対応し、安定的に運用する」といったスピーディーかつ柔軟な対応が求められている。これを受けて、アジャイル開発やDevOpsの重要性が増すとともに、運用管理の在り方にもビジネス視点での変革が迫られている。

ビジネス視点で考えた場合の運用管理には、具体的に何がポイントになるのか? この答えを探るべく、ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)で経営戦略本部 本部長 CTOを務める渡邉信之氏と、日立製作所のJP1エバンジェリストである加藤恵理氏の対談を実施した。

周知の通り、GDOはゴルフ場予約サービスから、メディア事業、ゴルフ用品のインターネット販売などの他、ゴルフ場運営支援、レッスンサービスなど、ネットとリアルを融合させた事業を展開。国内に約760万人のゴルファーがいるとされる中、2016年12月現在、ネットチャネルの月間平均来訪者数は実に約600万人、リアルチャネルの利用者数は約44万人を数える。

こうした膨大な会員に向けて各種サービスを提供している同社の場合、サービスを支えるITシステムをどう安定運用させているのか? その豊富なノウハウ・知見を持つ渡邊氏と、多数のユーザー企業の実情を知る加藤氏の対談から、運用管理のビジネスインパクトと、「デジタルビジネス時代に向けたモダナイゼーション法」を明らかにする。

デジタルビジネス時代、運用管理で「ビジネスに寄与する」方法とは?

編集部  昨今、デジタルビジネスが進展する中で、システム開発・運用の在り方が大きく変わってきたと思います。お二人はこの変化をどのように見ていますか?

ゴルフダイジェスト・オンライン 経営戦略本部 本部長 CTO 渡邉信之氏
ゴルフダイジェスト・オンライン 
経営戦略本部 本部長 CTO 渡邉信之氏

2006年にGDOに入社。ITシステムには
汎用機時代から関わる。ベンダーとして
ITを提供する立場、ユーザーとしてITを
利用する立場、さらには経営視点でビジ
ネスを推進する立場から、ITシステムの
在り方を考え、実践してきた経験を持つ。

渡邉氏  「組織」「コスト」「人材」という大きく3つの点で変わってきていると思います。組織面では「役割に応じた縦割りの分業体制」だったものが、「各役割を持つメンバーで構成した小さなチームでビジネスを推進する」形に変わってきました。この狙いは縦割り組織で生じがちな壁を取り払い、スピード感を持って事業を進めていくことにあります。

コスト面では、例えば「人月単価120万円」といったブラックボックス化されたITコストへの意識が強まっています。これを受けて、内製化を進めたり、ニアショア、オフショア、クラウドを使うなど、開発に高いコスト効率を求める企業が増えていると思います。

人材の面では、テクノロジーや製品の目利き力、他社とのアライアンスを実現する力が強く問われるようになりました。これは、例えばクラウドのような既存のサービスを組み合わせることで、スピーディーかつ効率的にエンドユーザーのニーズに応える手法が広まってきたことが背景にあると感じます。


日立製作所 JP1エバンジェリスト 加藤恵理
日立製作所 
JP1エバンジェリスト 加藤恵理

システム開発者としての現場経験を持つ
ほか、「JP1」の企画、販売、プロモー
ションに携わる中で、多数のユーザー
企業とディスカッションを重ねてきた。
JP1エバンジェリストとして、IT運用管理
の現状や課題に深い知見を持つ。

加藤氏  ビジネスニーズに迅速に応えるために、ITを主体的に使うスタンスに変わってきたということでしょうね。こうしたスタンスが求められる背景には、事業部門からの要請が強まっていることも挙げられると思います。市場ニーズが多様化し、変化も速くなっているため、ITサービスをイチから作っていては間に合わない。ライバル会社が新しい取り組みを進め、新興企業も登場してくる中で、「いかに競合に先駆けてサービスを開発・リリースできるか」が勝敗の大きなカギとなっています。

これを受けて、多くの企業に危機意識が広がり、特に開発者の間では実際に行動に乗り出す例が増えていると思います。ただ運用管理はアプリケーション開発のように“ビジネスの成果”に直結する業務ではない点で、「ビジネスに寄与する」といっても取り組み方が難しい。危機感を持ちながらも具体的に何をすればいいのか、悩まれている方が多くいらっしゃいます。

編集部  それはメディアにおいても読者からよく寄せられる課題です。そうした危機感をビジネスへの寄与につなげていくにはどうすればよいとお考えですか?

加藤氏  前提として、運用管理は日々の業務に忙殺されやすいという問題があります。余裕がなくなってしまうと、新しい取り組みを検討する時間すら取れないのです。従って、まずは「日々の業務をどう効率化するか」が重要。その上で、「その結果をどう可視化するか」「運用管理のビジネス価値を、どう分かりやすく経営層に報告するか」といった取り組みを考えるのが現実的だと思います。


「ビジネスへの寄与」は、“忙殺されない仕組み”を作ることから始まる

編集部  ただ運用管理業務を効率化すると言っても、「何から手を付けるべきか」が重要なポイントになると思います。この点についてはいかがですか?

渡邉氏  例えばWebやモバイルを通じたITサービスでは、しばしば「トラフィックの波やピーク性の高さにどう対応するか」が課題だといわれます。しかし実際には、これらの課題はテクノロジーの力で解決できる領域です。例えばトラフィックの急増などはインフラを増強することで対処できます。つまり、テクノロジーで解決できる部分はテクノロジーを使えばいい。

効率化で最もやっかいなのは「人」の部分です。運用管理業務が属人化しており、その人の退職や移籍などがトリガーとなって運用が崩れていく。実際、弊社においても運用管理で常に“望ましい状態”を維持するのは、かなり難しいと感じています。

加藤氏  属人化の問題は、製造現場などでもしばしば問題になりますね。熟練者のノウハウを継承していくためには、単に自動化ツールを導入すればよいわけではなく、人に蓄積されたノウハウを棚卸しし、整理しながら、自社のITシステム/運用管理組織に最適なプロセスを作っていく必要があります。

同じ手順を繰り返すだけの定常作業なら、ある程度、機械的に自動化できますが、現在のようにITシステムの利用者の動向によって、運用管理作業も変わってくる状況だと、手順を標準化・自動化していくこと自体が難しい。

「運用自動化は、『人が行うべき部分』と『自動化すべき部分』の切り分けが適用のポイントになります」(渡邉氏)
「運用自動化は、『人が行うべき部分』と
『自動化すべき部分』の切り分けが適用の
ポイントになります」(渡邉氏)

渡邉氏  そうですね。人に依存せず、常に“望ましい運用管理の状態”を保つためには、ツールによる自動化は重要な手段ですが、いたずらに自動化を追求すると、多大なコストが掛かったり、自動化できても定着に時間がかかったりします。

よって、「人が行うべき部分」と「自動化すべき部分」の切り分け、さじ加減がポイントになると思います。周知の通り、自動化には属人性の排除以外に、作業ミスや人的被害を防ぐというメリットもあります。それらを含めて「自動化することで、作業効率・コスト効率が最も高まる作業は何か」を見極め、人手による作業とのバランスを取ることが重要です。


◆本編の続きはこちら◆「Hitachi IoT Platform Magazineメール」読者さま限定 コンテンツ

「Hitachi IoT Platform Magazineメール」読者さま限定で本コンテンツの続きをPDF形式にてご覧いただけます。

レポートダウンロード

  *
日立ID会員サービス、Hitachi IoT Platform Magazineメールに登録する必要があります。

特記事項

  • このページは、アイティメディア株式会社が運営する@ITに2017年1月23日 に掲載されたコンテンツを再編成したものです。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

オススメ記事