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Hitachi IoT Platform Magazine

発売から20年を超える歳月の中でお客さまとともに磨き上げた、統合システム運用管理JP1。時代のニーズを先取りしたVersion 11が2016年1月に発表されました。ITシステムの運用を自動化・省力化する一方で、企業価値をさらに高めるためのツールとしても期待されています。今回は、JP1の開発、品質保証、プロモーションを担当するそれぞれのチームの皆さまにお話をお伺いします。

第1回目は、JP1の概要と品質保証の役割についてお話を伺いました。


國井さん(左)、管(すが)さん(右)

──お二人の職務を教えていただけますか。

 私はJP1などの日立のミドルウェア製品全体の品質保証を担当しています。日立のソフトウェア開発は、1969年にソフトウェア工場が誕生して以来、「お客さま品質」を最優先に、他者に責任を転嫁せず、常に当事者意識を持って誠実にことに当たり、社会から信頼をかち得るための基本姿勢として「誠」を掲げ、お客さまの視点に立って行動することを信条としています。さらに、私たち品質保証部門は2016年度から「日立グループQF(Quality First)イノベーション運動U」の品質向上運動を展開しており、開発から出荷までの開発品質、メインフレームで培った信頼性の技術の活用、お客さまの立場に立ったフィールド品質保証の実践を通じて、品質管理活動の改善に取り組んでいます。

國井 私はJP1の品質保証を担当しています。最新のVersion 11では、先ほどの管の話のように、開発のスタートにあたる製品企画の時点から関わっていきました。

──普通、品質保証部門というと、出荷時の検査を行う部門という印象ですが・・・。

 製品コンセプトやエンハンスに至った背景や内容を正確に理解しないと、お客さま視点の品質保証をどのようにすればいいのかが曖昧になります。新製品開発は事業戦略・企画段階から始まり、開発段階へと進みますが、品質保証部門も各段階の会議に参画しています。今回のJP1の場合は、新バージョンの商品コンセプトのレビューと商品デザインのレビューに参加し、お客さまや市場に受け入れられるものかどうかを一緒に検討しました。そして開発計画の段階で品質計画を立て、不良を作りこまないための設計技法、独自のツール、ノウハウやチェックリストを活用して、実際に製品を動作させ品質を確保します。さらに障害があった場合のトラブル対応時の迅速な対応や、脆弱性の排除などセキュリティ要因の作りこみ防止も重要な役割です。

國井 品質検査は開発の初期工程から行っています。面倒なようですが、結果的にはその方が、製品を市場に出すまでの期間短縮に貢献できます。

──いま、ソフトウェア製品のセキュリティ対策も大きな課題です。

 製品セキュリティについては、日立全社レベルの専門組織を持つと同時に、各事業部にも組織を置き、常に監視を行って対応しています。

國井 セキュリティは外部の攻撃に対応するものですから、これで終わりということがありません。新しい攻撃にいかに迅速に対応してお客さまのシステムを安全に動かすかが問われています。以前なら脅威の把握からおよそ一週間で対応すればよかったものですが、今ではその日のうちに対応するようにしています。

──なるほど。それでも障害が発生する可能性はゼロではありませんよね。

 障害が起こった場合には、品質保証部門が率先して行動し、開発部門とともに対応します。しかも、サポートサービス商品である「日立サポート360」ではハードウェア、OS、ミドルウェアとまたがった障害を他社製品も含めてワンストップでサポートします。また、重大な障害が発生した際には、横浜事業所の「障害対策室」に各分野のエキスパートが集まって製品をまたがる問題解決に取り組みます。障害対策室からはお客さまや各事業所拠点とのTV会議が行えます。そして、横浜事業所の建物自体は免震構造ですし、自家発電システム、衛星電話を備えていますので、BCP(Business continuity planning)に対応しています。お客さまの事業継続を何よりも考慮した体制づくりに努めています。熊本の地震が発生した際にも、全社で連携をとって対応しました。

──他社製品も含むシステムの問題解決は難しいのではないですか。

國井 問題が発生したお客さまの環境に近い環境を構築してテストし、問題点を絞り込んでいきます。全く同じ環境にはできませんが、とにかく逃げずに必ず問題解決まで持っていきます。

 常にお客さまの視点や立場で考えていますから、自社製品にこだわらず問題解決を図ります。私たちの品質保証部門には、難解な障害の調査や製品の不具合の解決だけでなく、問合せや製品に対するクレームも寄せられますが、お客さまの声を聴くことは今後の改善のための貴重な良い機会だと認識しています。なぜならば、私たちの中には、日立の伝統である「落穂の精神」が根強くあるからです。製品不具合の起因によりお客さまのビジネスに多大なご迷惑をおかけした場合は、昔から弊社経営幹部を交えた「落穂拾い」の会議を開き、多角的視点での不具合に至った原因の洗い出し、再発防止に努めると同時に、そこから貴重な教訓を得て、失敗に学ぶ姿勢を伝承して、お客さま満足に努めています。

──JP1の品質保証は、製品に留まらずお客さまの事業を守る要なわけですね。

 ITシステムには「守りのIT」と「攻めのIT」があります。守りのITは安全安心、業務効率向上のためのものです。攻めのITは、お客さまのビジネスの価値を創り出すためのものです。正常に動いて当たり前のITからビジネスや経営の根幹に関わるITに革新していくということでもあります。これまでJP1は守りの印象が強かったと思いますが、これからは攻めにも力を注いでいきたいと考えています。その流れの中で品質保証の役割も変わって来ています。

國井 JP1の初期の段階では機能検査が品質保証部門の業務の中心だったのですが、次第にユースケースやユーザインターフェース、使い勝手の良さなどが問われるようになってきました。システム管理者以外の方がJP1を操作することも増えてきているからです。Version 11は画面のデザインもそうした観点で見直しています。以前なら管理者の方はマニュアルなどの製品に関するドキュメントをかなり熟読されていましたが、今は必要に応じてドキュメントを読み、製品の機能の理解を深められています。そうした時代に対応していくことが必要です。

 ITは経営の武器や社会インフラになりました。だからこそ、敏速な対応を可能にするために、直感で理解できるインターフェースにしなければなりません。これからはユーザエクスペリエンスも品質だと思っています。そのためJP1は4、5年前からユーザのペルソナを想定しながらの反復開発を行っており、開発の段階を追って開発部門と一緒に品質保証部門が確認しています。これからは、「感動」、「喜び」、「嬉しい驚き」をどう付け加えていけるかということが品質として問われてくると思います。

──なるほど。その歴史が20年を超える今、JP1は大きく変わりそうですね。

 JP1は業務システムがオープン化に進み始めた1994年にVersion 1を発表しました。高度化、広域化するシステムを、メインフレームで築いたノウハウを活かして自動運用する製品として生まれたのです。その後、熱意のあるJP1ファンの方々からの貴重なご意見やご指導を頂き、マルチプラットフォーム対応、インターネット対応、クライアントPC対応、さらにクラウド対応などの機能を付加するたびにバージョンが上がり、2016年の1月にVersion 11を発表しました。この先、求められるものは何かをお客さま視点で考え抜き、クラウド時代のビジネスへ革新をもたらす攻めのITとしてJP1を打ち出しています。

──クラウド時代のJP1ですか。詳しくお聞かせください。

 私たちは”JP1 as a Service”というキーワードを掲げて、JP1をSaaS型で、あるいはパブリッククラウドに置いて従量課金型でサービスをご利用いただけるよう進化させています。これにより経営にスピードが求められる時代、お客さまの変化への対応力を大いに高めていただけると思います。また、新製品のJP1/Operations Analyticsは、クラウドを利用して集約された複雑なシステム環境を監視し、予兆を検知し、万一の際の解決までをサポートします。ユーザエクスペリエンスを追求したダッシュボード画面で、複雑なシステム内で今起きていることを直感的に把握できます。

國井 JP1は攻めのITにも注力しますが、でも一番の基本は「業務を止めない」ということです。「俊敏性」や「柔軟性」などビジネス価値を高める重要な要件はありますが、それらも「業務の安定稼働」という基本があってのことです。現在のビジネスはクラウドを活用していますから障害発生時の影響範囲が大きくなっています。その中でお客さまの業務を止めないために、どんなデータを採らなければいけないかなど、日立がこれまで長年培ってきたノウハウを新しいJP1には組み込んでいます。安心安全を確実なものにした上で、お客さまのビジネス価値を上げるための新しい機能を擦りこんで製品提供をしています。

──安心安全を守りながらお客さまに対して新しい価値を提供しようとする姿勢は落穂精神から生まれているのですね。ありがとうございました。




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