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お客さまのビジネスに成果をもたらすビッグデータ利活用

第3回 お客さまとの対話から本音をひきだし、ソリューションにフィードバックする

永年培ってきたデータベース基盤技術やフィールドサポートのノウハウに加え、最新のAIテクノロジーやデータ分析技術を駆使しながら、ビッグデータをお客さまのビジネスに役立てるソリューションを提供する日立の新しいビジネス。今回は、そのビッグデータソリューション事業のマーケティングとプロモーションの担当者にお話をお伺いします。

第3回目は、ビッグデータのユニークなプロモーションについてお話を伺いました。


中川さん(左)、佐山さん(中央)、水野さん(右)

──ビッグデータに関するユニークなプロモーション活動をしていると伺ったのですけれど、どのようなものかお話しいただけますか。

中川 はい。私たちは主にビッグデータ利活用ソリューションのプロモーションを担当しております。「ビッグデータ」という言葉は非常に漠然としていますよね。私たちの所属している部署は、主にプラットフォームを扱っているものですから、お客さまにとっての嬉しさを伝えるためには工夫が必要になります。

また、ビッグデータを利活用する目的はお客さまそれぞれに異なります。もっといえば、所属されている部署やお立場によっても考えていらっしゃることが異なりますよね。そのため、こちらから一方的に発信するのではなく、お客さまと積極的に会話することで、私たちも学ばせていただいています。その学びは職場へ持ち帰り、ソリューションへとフィードバックしています。各種展示会やセミナー、定期的に開催しているワークショップはそのような位置づけで企画、運営をしています。

ただ、展示会に来場されるお客さまも、各種イベントに参加されるお客さまも初対面になりますので、緊張されています。特に展示会では、単にブースに立っているだけではお客さまは心を開いてはくださいません。無表情で立っていては、足を止めていただくこともできないでしょう。

そこで、今までと同じことをやっていても何も変わらない。まずは私たちがコミュニケーション力を向上させ、女優になりきろう!と考えました。これが「女優部」誕生のきっかけです。

──女優部ですか!

中川 はい(笑)。女優ですから、表情やお話しする時の声は重要です。まずはコミュニケーションの土台作りということで、お客さまの前に立ったときにお客さまの緊張をほぐすような笑顔を作る訓練のために「顔ヨガ」をしたり、「発声練習」や「早口言葉」などで滑舌をよくするトレーニングをしています。お腹から声をだせるように腹筋も毎日鍛えていますよ(笑)。

──なるほど。だから女優部と言うのですね。

中川 昨年の日立イノベーションフォーラムでは、お客さまとのコミュニケーションの他に日立独自の人工知能やPentahoソフトウェアの旗とエプロンを自作したりもしました。この活動はFacebookで広報の方に取り上げていただきました。それからシステムコントロールフェアでは、YouTubeに出演させていただき(新規ウィンドウを開く)、ブースの紹介をさせていただきました。

──小物まで自分たちで作られるのですね。そこまでされるようになったのは、きっかけが何かあったのでしょうか。

佐山 サービス業に携わる方々の接客は、気が利いていて本当に素晴らしいと思います。お客である私のことを大切に扱ってくださる。よい気持ちにさせてくださる。距離感の取り方が絶妙。そのようなサービスに触れる度に、我々のプロモーション活動の中にも、もう少しおもてなしの精神を取り入れていくべきではないか、と思っていました。セミナーや展示会にわざわざ足を運んで我々の話を聞いてくださるお客さまに、行ってよかった、有益だった、と思ってもらいたい。プロモーションの目的は単に企画を実施することではなくて、お客さまの心に響くメッセージを発信すること。そのためにはどうすれば良いか。どのようにコミュニケーションを取っていけばよいか。

無表情な人の顔って、実は怖いよね。やっぱり笑顔は重要だよね。お客さまに安心して近づいてきてもらうには、分かりやすさも重要だよね。旗を立てたら目印になるんじゃない?エプロンをしたら目立つし、自分自身も役割になりきれそうな気がする。お客さまに好きなカードを選んでもらって、それに合わせて説明すれば会話っぽくなるんじゃない?少し飾り付けもしてみようか。こんな風に、これまでの枠にとらわれないアイデアを出し合ううちに、私たち自身の気持ちもどんどん乗ってきました。私たちが楽しんでやっていると、周りにいる他のスタッフにも気持ちは伝染していきます。もちろん、お客さまにもその想いは伝わるはず、と思っています。

女優部では、自分自身が女優になるのはもちろん、活気があって、居心地がよくて、しかも有意義な、そんな空間作りにもチャレンジしていきたい、と思っています。

──女優部は日立ではどのような位置づけなのですか。

佐山 日立では小集団活動というものを推進しておりまして、女優部もその一つです。上からの指示ではなく、個々人やチームで行うボトムアップの活動で、何か変えたいね、もっとこうしたいたいね、といったテーマを見つけて活動します。女優部の活動を立ち上げたときは、賛同してくれる人がいなくても私たち3人で活動しようと思っていましたが、メンバーを募集したら全員で9人になりました。女優部ですが男性部員もいます。でも俳優部と言っても面白くないので、名前はあくまで女優部です。

──プロモーション以外の業務の方もいらっしゃるのですか。

佐山 はい、お客さま先を訪問してソリューション提案をしている人、Webサイトのコンテンツを制作している人などがいます。共通する目標は会話力の向上、それからアンチエイジング(笑)。すぐに緊張してしまう自分を変えたい、表情豊かになって自分の印象を良くしたい、そうしたさまざまな気持ちを共有しながら、活動しています。

──プロモーションではワークショップの開催にも力を入れているということですが。

中川 お客さま主体のワークショップの開催ですね。データ利活用についての関心や課題というテーマで、お客さまから参加者を募りました。日立側でファシリテートし、課題や解決方法についてお客さま同士で対話をしながら、お客さま自身で気付いていただく、というような取り組みです。事前課題を確認し、ミニセミナーを行い、お客さま同士でのグループ討議に入ります。

水野 これまで開催してきた通常のセミナーは、ベンダーの売り込み色が強く、こちらから一方的に情報をお伝えするというものがほとんどでした。お客さまにとって、情報収集できる場という意味では良かったと思いますが、お客さま自身の悩みを共有したり、他のユーザー企業さまの取り組みなどを知ることはできません。そこで私たちのワークショップでは、お客さまが主役となってディスカッションしていただく場にしようと企画しました。参加された皆さんにはたいへん喜んでいただきました。お客さま同士で、「自分たちはこう取り組んでいる」とか、「このような壁にぶつかったけど、こういった方法で回避した」といった、生の声、泥臭い話を聞けたことがとてもよかった、と。私たちにとっても、勉強になることの多い、とても良い機会でした。

──参加者は情報システム部門の方が多いのですか。

水野 やはり情報システム部門の方が大半ですね。とは言っても、システムの課題ばかりではなく、実は業務部門の方たちとの調整が大きな壁である、といったことも生の声で聞くことができました。そのおかげで私たちも、情報システム部門だけでなく業務部門の方にもメリットを実感いただけるようなプロモーションメッセージの必要性や重要性を認識するなど、学びのきっかけを得ています。

──ワークショップはこれまでに何回くらい開催されたのですか。

水野 2015年には6回実施しました。ここまで売り込み色の薄いワークショップは、なかなかないですよ、というお声もいただき、「こういう場なら、部下にも勧めたい」と言われ、次の回に同じ企業の別の方が来られたこともありましたので、満足していただけたと思います。

──参加される方のビッグデータへの知識のレベルなどは揃っているものですか。

水野 ばらばらです。すでにチャレンジしているお客さまはもちろん、今後使って行きたいがどうすればいいか悩んでいるお客さまもいらっしゃいます。後者の方の中には、進んだ取り組みをされている人たちの生の声を聞くことによって、見えなかったトンネルの出口が少し見えて「少しずつ取り組んでみます」というコメントをくださった方もいらっしゃいました。いろいろな企業にとってビッグデータの活用を推進するきっかけや力になっているのではないかと思っています。

──参加されたお客さまとのワークショップの後のお付き合いは?

水野 ビッグデータの案件は足が長く、お客さまがすぐにやりたいと思っても、予算化して実現するまで何年もかかるケースもあります。ワークショップ後にお客さまを訪問させていただいていますが、すぐに着手は難しいという場合でも継続的にお客さまとお付き合いさせていただき、お客さまと同じ目線で最適かつ有益な情報を提供できるよう心掛けています。

中川 このワークショップはお客さまが主役の、お客さま同士のディスカッションの場です。だからあまり製品の売り込み色を出していません。このコンセプトを貫いた結果、お客さまにはこのワークショップの場を非常に信頼していただき、真の課題や背景を本音で語っていただけます。そして私たちはお客さまの生の声からお客さまの業務や諸事情を学ぶことができます。その上で、例えば、「この範囲からスモールスタートで始めましょう」ですとか、あるいは、「お客さまデータのこの煩雑なクレンジングは日立側に任せてください」というお客さまの課題に沿った提案を差し上げることができるのです。

──こうした新しいプロモーション活動をされた手応えはいかがですか。

水野 私たちは皆、もとはエンジニアですので、お客さまと直接お話しする機会はそんなに多くはありません。ですので、システム以外に困っていることについてのお話などはなかなかできませんでした。そうした意味で、この一連のプロモーション活動は、従来の拡販のやり方に風穴を開けることができたと思います。
こうした活動によって会社対会社というよりも個人対個人という関係が生まれて、お客さまから直接「ちょっと相談に乗って欲しいのだけれど」とメールをいただいたりします。そんなこと今まで絶対にありませんでした。その結果、商談がスムーズに進んでいくこともありがたいのですが、仕事に非常にやりがいを感じるようになったことも大きな効果ですね。

──お客さまに役立つことは何かを真剣に考えてこられた結果、新しいコミュニケーションのチャネルが生まれたわけですね。すばらしい取り組みだと思います。(次回は新サービスについてお話を伺います)




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