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ブロックチェーンを使いこなす勘どころ、教えます
講師/日立製作所 Blockchain推進部 佃 美和

社会を変える技術として注目を集めるブロックチェーン。しかし、いざトライしてみると思ったような効果が出ない、というケースも少なくないようです。そこで、ブロックチェーンのメリットをビジネスでしっかり得られるよう、日立のエキスパートがその潜在能力を余さず引き出す勘どころをお伝えします。

Hyperledger Fabricの適応分野は広がり続けています

コンソーシアム型に最適化されたフレームワークHyperledger Fabricなら、B2Bビジネスでブロックチェーンの効果をしっかり得ることができる、と前回お話ししました。幅広い業界から期待が寄せられているHyperledger Fabric。その適用例をいくつかご紹介しましょう。

貿易取引

ステークホルダーが、契約→税関→決済に至る取引のステータス情報をブロックチェーン上で共有。それぞれのステータスにおいて手続きが確実に自動履行されるため、決済の厳正化、即時化が期待できます。また、煩雑な貿易実務も大幅に削減できます。

食料品のサプライチェーン

生産者、加工業者、物流、小売業者のすべての業務工程をブロックチェーン上で改ざん困難な形で記録し、透明性の高いトレーサビリティを実現します。不具合が発生した時、原因を突き止めるトレースバックも影響範囲を特定するトレースフォワードもスピーディーに行うことができ、消費者からの信頼性を高めることができるでしょう。

自動車保険

ブロックチェーン上で、保険会社や警察や修理業者などのステークホルダーが連携します。保険の加入から、万一事故が発生した際の保険会社間のやりとり、修理業者による加入保険の確認 、保険金の請求などの手続きを効率化。未払い・過払いリスクの低い厳正な処理を迅速に実行できます。

ブロックチェーンはSociety 5.0の実現も担っています

ブロックチェーンは社会インフラへの活用も期待されています。

いま日本政府は、あらゆる人が必要な時に必要なサービスを受け取ることができる豊かで快適な社会像として「Society 5.0」を掲げています。そして、「Society 5.0」に向けて社会課題を解決する技術として、ブロックチェーンは期待されているのです。

例えば、電力会社、金融機関、個人がブロックチェーンでつながり、個人間で電気を簡単に取引できるしくみをつくり、再生可能エネルギーの利用を促進する。あるいは自治体、病院、銀行、個人がブロックチェーンでつながり電子カルテや介護保険の情報を共有して、どこでも医療や介護サービスが受けられるようにする。

もちろんHyperledger Fabricも、社会インフラへの適用に対応した機能を数多く実現しています。

Hyperledger Fabricという道具を正しく使いましょう

このようにHyperledger Fabricには大きな可能性がありますが、すべてがかなう魔法ではありません。Hyperledger Fabricは道具なのです。正しい使いどころで、正しく使わなければ効果は出ません。例えば、こんなプロジェクトは成果を得られないかもしれません。

データベースと置き換えただけ

ブロックチェーンの導入ありきで、データベースで行っていたトランザクション処理を置き換えただけのプロジェクトが散見されます。ブロックチェーンのメリットは処理性能にはありません。まず、ブロックチェーンの威力を発揮できる使いどころをしっかり見極める必要があります。

ノウハウが不足している

社会インフラにおいてHyperledger Fabricを高いレベルで安定稼働させるためには多くのノウハウが必要です。ノウハウが足りない状態でプロジェクトを進めても開発に時間がかかり、コストもかさんでしまうでしょう。

関連プロダクトを使いこなしていない

取引の厳密性を引き上げたい、高いセキュリティを確保したい、スループットの増大に対応したい、などビジネスによってブロックチェーンへのニーズはさまざまです。こうしたニーズをかなえるために、関連プロダクトが存在しています。関連プロダクトを組み合わせた正しい使いこなしが必要です。

つまりブロックチェーン導入を成功させるためには、パートナーの選定がとても重要なのです。使いどころの見極めから正しい使いこなし方まで、確かなノウハウで相談に乗ってくれるパートナーを選んでください。

日立はHyperledger Fabricの機能強化に貢献しています

The Linux Foundationが主催するHyperledgerプロジェクトには、世界中から金融機関をはじめとするユーザー企業やITベンダー企業など約270社(2019年現在)が参加し、ブロックチェーンの基盤開発と標準化を進めています。

日立は、プロジェクト設立当初から最上位のプレミアメンバーとして参画し、世界第2位の貢献を果たしてきました。また、北米シリコンバレーにはブロックチェーンの情報収集および研究開発を世界規模で行うための研究施設を設置しています。

そうした取り組みで培ったHyperledger Fabricへの確かな知見と、金融分野をはじめとする豊富なシステム開発経験を生かして、日立は関連プロダクトやサービスを次々と開発。さまざまな業界でブロックチェーン導入をお手伝いしています。

次回は、ブロックチェーンがビジネスで威力を発揮するために日立が開発したサービスをいろいろとご紹介します。

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